【試合評】 なぜ松井裕樹は打たれてしまったのか?~2016年5月15日●楽天イーグルス8-9xロッテ

2013年を彷彿させた、3点差からの8回同点劇も...

昨日はあまりものショックで、試合評を書く気が萎えてしまった。今季はこういうゲームが多すぎる。本日も・・・なのだけれど、そんなことを言っているとシーズンが終了してしまう。萎える気持ちにムチ打ち、ノートPCのキーボードを叩いている。

3点差を同点に追いついた8回表の攻撃は、さながら2013年を彷彿とさせる、規律ある同点劇だった。

この回からロッテは三番手・松永が登板。そのサウスポーを先頭のウィーラーが中前へ弾き返すことで同点劇が始まった。

4番打者が5月4日ロッテ戦の二木撃ち左本以来となる初球安打で無死1塁に出ると、続く5番・銀次がアウトコースのスライダーを見切って1塁へ歩く。無死2,1塁、6番・聖澤に代えて代打・福田が進塁打を放った1死3,2塁後、魅せたのは7番・島内だった。

今季、北陸・金沢生まれの左打者は釜田先発試合で出場4試合連続出塁、2得点2打点と打撃で貢献していた。本戦でも先制3点劇になった2回には無死2,1塁で初球犠打、追加2点劇4回には先頭打者として泥臭いショートへの内野安打で出塁した。

第4打席になったこの場面では早々に追い込まれていたが、その後フルカウントまで持ち直し、ラストは外角低めスライダー。体勢崩されかけながらも上手くバットにひっかける形で拾い、右翼線へ運んでいく。気持ちで打ったこの一撃が走者2人を悠々ホームに返し、自身は楽々3塁へ。(楽7-8ロ)

1点差に迫ったイーグルスはその後2死3塁、9番・嶋のところで代打・枡田慎太郎を送り込む。

ここまで代打13打席で起用され、9打数4安打2打点、3三振、3四球、1死球、打率.444、出塁率.615の戦果を残していた背番号32が、このシーンでも「一振り稼業」の結果を残した。

代わったばかりの四番手・益田との「マスダ対決」を制し、甘く入った145kmをコンパクトなスイングで中前へ。これで3塁から島内が帰り、遂に同点! 
枡田はこれで代打安打5本目になった。 (楽8-8ロ)

なおも得点にはつながらなかったが、その後の2死1塁から1番・岡島、2番・藤田による連続左安も素晴らしかった。

まるであの日本一のシーズン、ラインアップに名を連ねた左打者が無駄のないスイングで徹底してセンターから逆方向で戦果を挙げ、各々が各々の持ち場でしっかり仕事をこなしたあの快進撃を連想させる攻撃シーンになった。

今日こそ逆転勝利!を確信した、というより強引に自分自身に信じ込ませた終盤8回の同点劇だったが、結果は2戦連続であらぬ方向へと向かっていく。

両軍のスタメン

楽天=1番・岡島(右)、2番・藤田(二)、3番・今江(三)、4番・ウィーラー(指)、5番・銀次(一)、6番・聖澤(中)、7番・島内(左)、8番・茂木(遊)、9番・嶋(捕)、先発・釜田(右投)

ロッテ=1番・根元(一)、2番・中村(三)、3番・清田(右)、4番・デスパイネ(指)、5番・角中(左)、6番・ナバーロ(二)、7番・鈴木(遊)、8番・吉田(捕)、9番・加藤(中)、先発・唐川(右投)

2試合連続で松井裕樹がサヨナラ打を浴びる

8-8からの最後の1点を奪ったのは、ロッテだった。

延長11回裏、楽天はこの回から六番手・松井裕。4試合連続登板のマウンドに立った背番号1が、屈した。

まるで6失点喫した5月5日ロッテ戦の悪夢と、前夜のサヨナラ負けを引きずった投球内容。

先頭は細谷。6回に満塁弾を打っていた右打者を追い込んだまでは良かった。しかし、決め球チェンジアップが甘い。バットに乗せて運ばれた打球は左越えフェンス直撃。これがツーベースになってしまう。その後に送りバント、3番・清田に四球、1死3,1塁で4番・デスパイネで勝負あった。内野前進守備の三遊間をゴロ突破される左前へのサヨナラ打を打たれてしまった。

デスパイネを敬遠して満塁策で左の角中と左vs左の勝負という作戦もあったはずだが、本戦の角中はソロ弾を含む2安打と調子が良かった。一方、今季の松井裕は制球に苦しみ、押し出しのリスクもあった。天秤にかけて穴の大きいデスパイネとの勝負を選択した判断は理解できるのだが、いやはやだ。

前日の今季パリーグ最長試合4時間57分、本戦の4時間27分、いずれも背番号1がサヨナラを浴び、これで松井裕は3敗目。防御率6.38へ。ロッテ戦の防御率に限って言えば21.60である。

試合後、梨田監督はまるで壊れたテープのように「配置転換はない」と繰り返したが、今から思えば5日ロッテ戦、1点差を追いつかれ、同点から代打・井口に2点決勝打を浴びた直後に替えるべきだった。あの直後に飛び出した中村3ランによる「ショックの上乗せ」が、昨日のサヨナラ負け、ひいては本戦のサヨナラ負けの遠因になっているように思えてしまう。

前日の今季パリーグ最長試合4時間57分、本戦の4時間27分、いずれも背番号1がサヨナラを浴び、これで松井裕は3敗目。防御率6.38へ。ロッテ戦の防御率に限って言えば21.60である。

チーム成績は4位そのまま、38試合15勝21敗2分。借金は今季最多タイ6に逆戻りだ。

ゲーム差は1位・ソフトバンクと9.5、2位・ロッテと6.5、3位・日本ハムと3.5、5位・オリックスと0.5、6位・西武と0.5としている。

各種戦績は、5月4勝7敗、ロッテ戦3勝7敗、延長戦1勝5敗2分、ビジター5勝13敗1分、先制した試合6勝7敗2分、1点差試合5勝10敗になった。

なぜ松井裕樹は打ち込まれてしまうのか?!

なぜ松井裕は打ち込まれるのか?

本戦終了後、ベースボールキングにさっそく下記記事が掲載されている。

◎楽天・松井裕が早くも3敗目…調子があがらない原因は?(ベースボールキング 2016.05.15. 19:30)

興味深いので是非一読をお薦めしたいのだが、本稿ではこの記事に補足する形で、今シーズン徹底できていない右打者の「ある投球」を御紹介したいと思う。

それは・・・

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