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【試合評】要所で善戦! 拙投釜田に白星を運んだ森原康平の快投劇~4月14日○楽天3-2日本ハム

MVPに選びたい森原康平の要所ワンツースリー


開幕ダッシュの1つの目安「開幕10試合」。
そのチェックポイントを、球団史上初の8勝2敗で締めくくることができた今夜のMVP、ぼくの中では、ドラフト5位・森原康平になっている。

今夜も7回表に登板した。
試合の主導権が敵軍に傾きかけないかねない気まずい雰囲気を、もはや代名詞になった『ワンツースリーの快投』で吹き飛ばしてくれた。

楽天は今季初勝利を目指す釜田。
日本ハムはプロ初登板の大卒2年目・吉田侑樹。
若き両右腕の投げ合いで始まった日本ハム1回戦、イーグルスは3-2と1点リードした6回裏に「最高のチャンス」を迎えていた。

日本ハムはこの回から三番手・公文。
巨人からトレードで移籍してきた左腕の立ち上がり、楽天の奇襲攻撃が鮮やかに成功した。

公文の初球だった。
先頭の7番・岡島が三塁線へ絶妙なバントヒット!
1点差の緊迫したシーンで決まった意表を突くセーフティバントに、公文はひどく狼狽したのだろう。次の8番・藤田への初球が、すっぽ抜けた。

心乱されたまま投じた外角狙いの変化球は、見当違いのインコースへ完全に抜けてしまい、藤田の頭部へ...
あの藤田が珍しく怒りを表明し、両軍あわや一触即発の事態をまねく危険球になって、公文はわずか2球で退場になったのだ。

イーグルスは岡島の創意工夫と藤田の怒髪天で無死2,1塁。
日本ハムは榎下がおっとり刀のスクランブル登板。
戦況が一気に楽天優勢へ傾いていく、そんな押せ押せ!の状況を作り出していた。

不測の事態で混乱状態に陥った敵軍は、喉から手が出るほどアウトが欲しいシーン。アウト1個を取り、まずは一息入れて仕切り直しをしたい場面である。
そんな心理を見透かしたかのように、送りバントの構えをした嶋がバットを引くバスターからの右打ちで、ヒットを運んだ。

はたして塁上は全て埋まり、今シーズン初のノーアウト満塁。
打席には本戦すでに3安打の1番・茂木。
2番・ペゲーロも前の5回に決勝点を叩き出す適時二塁打を弾き返しており、好調の1、2番を迎え、ファイターズを一気に突き放すだろうと誰もが信じた胸熱シーン。

しかし、その結果はまさかの無得点。
茂木が三飛に倒れ、ペゲーロ空三振、ウィーラーは一邪飛。
よもやの加点ゼロに終わっていたのだ。

両軍のスタメン

日本ハム=1番・西川(左)、2番・中島卓(遊)、3番・近藤(右)、4番・レアード(三)、5番・田中賢(指)、6番・岡(中)、7番・石井一(二)、8番・森本(一)、9番・清水(捕)、先発・吉田(右投)

楽天=1番・茂木(遊)、2番・ペゲーロ(右)、3番・ウィーラー(三)、4番・アマダー(指)、5番・銀次(一)、6番・島内(中)、7番・岡島(左)、8番・藤田(二)、9番・嶋(捕)、先発・釜田(右投)

1人完全試合も視野に入ってきた森原の三者凡退ロード

「ピンチの後にチャンスあり」は、古今言われてきた野球界の格言。
今夜の森原は、まさにそんな要所での登板になったのだ。

しかしだ。この人、冷静沈着だった。
出てきた森原は、まるで随分前から「勝利の方程式」を任されているような、落ち着いたマウンドさばきをみせ、自身の仕事にまい進する。

手始めに代打・森山を146km真っすぐで空三振に取ると、出塁を許せば何かと嫌らしく目ざわりな1番・西川、2番・中島卓をも、中飛、遊ゴであっさり退けた。
今夜は11球で仕事を完遂させ、勝利のバトンを8回のハーマンにつなげてみせた。

◎森原康平 試合別 投手成績

これで7試合7イニングを投げて防御率0.00を継続。
三者凡退記録は4月1日オリックス戦から6イニング連続に伸びた。
森原は開幕前の対外戦でも11イニングを投げているが、そのうち7イニングがじつにワンツースリーになっている。
開幕前と開幕後の合計18イニング中、三者凡退投球は72.2%に当たる13イニングを占めているのだ。

開幕戦で駿太を捕バゴに仕留めてから始まった「打者連続アウト切り」も、遂に19人にまで伸びた。
『1人完全試合』まで残り8人と快記録へのゴールも視野に入ってきた。

さらに言えば、ここまで四死球ゼロなのだ。
開幕前に対戦した打者41人、開幕後の21人、合計62人と対峙して、いまだに四死球を与えていない点が、素晴らしすぎる。
3ボールまでいったケースも62人中わずかに6人だけである。

13安打で3得点とつながらず...

ピシャリと零封した森原の好投を始め、6回の福山、8回ハーマン、9回松井裕とリリーフ陣は今夜も素晴らしい仕事をみせたが、一方、あまりにもお粗末すぎたのは打線の拙攻、そして先発・釜田の不甲斐ない今季初勝利だった。

4月1日オリックス戦のコークに続き、初顔合わせの敵軍先発投手を敗戦投手に追いやったのは良し。
これは昨年来からの良い傾向で、昨年来、初対戦の敵軍先発16人中、白星を献上したのは阪神・青柳晃洋1人だけである。
4試合連続となる二ケタ安打の13安打を打ったことも良しとして、イケナイのは13安打3四死球2暴投で塁を賑わせたのに、わずか3点にとどまったことなのだ。

2回を除く毎回スコアリングポジションに走者を送り込んだものの、あと1本が出ず、1点差の緊張を強いる場面で、リリーフ陣に要らぬプレッシャーを与えてしまう原因を作っていた。

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この後、打線の話と先発・釜田のピリッとしない初勝利について。

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