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【戦評】 今対外戦の左投手打率.286。ハマの濱口攻略、ただいま課題克服中~3/4○楽天9-2DeNA

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投打かみ合う快勝ゲーム

静岡・草薙球場を舞台にした今週6連戦の2戦目。

当初予定より2時間前倒しの11時プレイボールになった背景には、午後から天気が崩れて雨模様になる気象予報を考慮に入れたものだと思う。

下水流、山下が今季1軍初スタメンした2時間42分は、久々に投打かみ合う好ゲームになった。

打線は今シーズン2度目の二桁11安打。
マルチヒットは山崎幹、ウィーラー、山下、内田の4人が記録し、ブラッシュ、太田、下水流が各1安打を弾き返した。

5四球、2死球、2失策と相手から貰った出塁を活かし、毎回出塁の波状攻撃。
合計5イニングで先頭打者が出塁に成功すると、得点圏進出も合計6イニングで作るなど、終始理想の攻撃で、初回2点先制、4回3点中押し、8回4点ダメ押しと順調に加点した。

投手陣にも安定感が戻ってきた。
沖縄では1試合平均5.38失点と心配されたが、直近4試合は2.25失点なのだ。
開幕まで約2週間に迫るなか、本来の姿を取り戻している。

心配された空模様も最後まで持ちこたえた。
対外戦の通算成績は6勝6敗に、オープン戦も3勝4敗とした。

◎両軍のスタメン

楽天=1番・小深田(遊)、2番・山崎(二)、3番・ウィーラー(三)、4番・ブラッシュ(指)、5番・ロメロ(右)、6番・下水流(左)、7番・山下(捕)、8番・内田(一)、9番・辰己(中)、先発・辛島(左投)

DeNA=1番・神里(中)、2番・オースティン(右)、3番・ソト(指)、4番・佐野(左)、5番・宮崎(三)、6番・ロペス(一)、7番・中井(二)、8番・高城(捕)、9番・大和(遊)、先発・濱口(左投)

◎試合展開

画像1

結果を出した辛島5回2失点の巧投

2/22に9点奪われたDeNA打線を、楽天投手陣がリベンジ。
好投・粘投で2試合続けて2点に封じた。

開幕ローテ候補の先発・辛島は、今季3度目の登板だ。

2/16阪神戦は2回4安打3失点、2/23巨人戦も3回5安打3失点でピリッとせず。
試金石になった3度目の本戦は、5回5安打2失点と、結果を出した。

2回に2死走者なしからカウント球の失投を長短3連打され2失点したときは、思わず頭を抱えそうになったが、3回以降が良かった。

1軍通算162試合819回の経験は、さすがに伊達ではない。
先頭打者にヒットを許した4回と5回は、いずれも後続を併殺網で一網打尽に。

とくに2-2の同点で迎えた4回無死1塁、5番・宮崎との勝負は見せ場になった。

フルカウント7球までもつれた対決は、低めへの徹底したコントロールが冴えるハイライトに。7球中6球が低めに決まり、残り1球は懐を突く布石球。最後の必殺チェンジアップも外角低めに操って、プランどおり4-6-3のゲッツーを打たせている。

枠を競う外国人3投手が揃って快投

1イニングをドミネートしたのは、宋家豪、シャギワ、ブセニッツ。
外国人枠を争うライバル3人組が、揃って素晴らしい快投だった。

1番・神里からの上位3人をわずか8球で退けたのは、早くも来日5年目の宋家豪である。

この日、宋家豪は昨年パリーグ2位の空振り率23.6%を誇った看板球チェンジアップを封印した。
最速142キロのストレートに2シーム、スライダー、カーブを散りばめての好投は、ペナントレースにつながるはずだ。

楽天の支配下投手の中では最身長190cmのシャギワは、10球のワンツースリー。

下記記事のとおりゴロを打たせるのが得意のシャギワは、本戦でもゴロアウト2個を獲得。これで実戦4登板・打者15人と対峙したシャギーは、被打率.118、ゴロ率58.3%になった。

わずか7球、あっと言う間に片付けたのは、ブセニッツだ。

前回2/29ロッテ戦では最速150キロを計測したが、本戦では151キロをマーク。来日2年目は他球団に研究されるが、ここまで調整は順調のようだ。

寺岡寛治の悪癖

この日、最も課題を残したのは9回を締めた寺岡である。

昨年8/4ロッテ戦でプロ初登板を踏んだ遅咲き右腕は、昨年ファームで先頭打者の被出塁率.421とかんばしくなかった。プロ1年目の一昨年も.342と高めだった。

その悪癖が本戦でも顔を覗かせたのだろう。
直前に4点取って貰い、リードが3点から7点に大きく広がり、後はさくさく終わらせてゲームセットといきたいのに、先頭打者に要らぬフォアボールを出した。

これで今季1軍対外戦の先頭打者被出塁率も.600になってしまっている(3/5)。

この後、無死2,1塁ピンチを三振、併殺で切り抜けた点は良かったが、継続課題が改めて浮き彫りになるマウンドだった。

こういう打球が見たかった!

前日腰の張りを訴えた浅村は今日も休場。
その病状がどの程度のものか心配されるなか、代わりにクリーンアップに並んだのは外国人打者三人衆だった。

なかでも、今季初の1試合2安打をマークしたウィーラーの活躍が印象に残った。
5回先頭でのコースに逆らわない右安も良かったが、先制点を挙げた初回の二塁打こそ、この人の一丁目一番地になる。

高めに上ずった相手先発・濱口のチェンジアップを引っ張る打撃で応戦。
ライナー性の鋭い打球が左翼線を襲ったが、こういうパワフルなプルヒッターのバッティングこそ、この人の本領だ。

NPBに順応し、状況に応じてセンターから右へ軽打応戦する姿も時には良いが、あくまでも真価は、左翼席めがけた打球になる。今季ようやく本当のウィーラーを目撃した一打になった。

ただいま弱点克服中

この日、敵軍先発はサウスポーの濱口だった。
三番手も元楽天左腕の濱矢で、楽天打線はハマの左投手を相手に21打数9安打の打率.429と攻略した。

昨年の打線の課題といえば、vs左投手である。

下記のとおり、左投手打率.235はパリーグワーストを記録。
12球団でも11位の戦績だった。

◎パリーグ 2019年 vs左投手打率
ソフトバンク .273
西武 .272
ロッテ .251
オリックス .249
日本ハム .241
楽天 .235

昨年の東京ドーム主催試合、5/16日本ハム戦(●E0-2F)は、この弱点を徹底的に突かれた。先発・加藤を皮切りに堀、公文、宮西と8回までオール左腕の前に逃げ切りを許し、惜敗を喫することもあった。

ところが、今年は左投手を良く打っている。
本戦終えて対外戦の左投手打率.286(147打数42安打)を記録している。
ぜひこの調子のまま、シーズン入っても左腕アレルギーを起こすことなく、攻略していきたい。

その他、打撃陣の寸評

今季1軍初のスタメン出場した山下の打撃が好調だ。
山下は2軍で練習試合に3試合出場し7打席で5安打を放って、2/27に1軍合流した。

その調子の良さは継続中のようで、本戦では濱口との左vs左を制し、センターから逆方向へ短長2安打をマーク。

下記のとおり、まだ10打席だが、驚くべき成績になっている。

◎山下斐紹 1軍2軍 対外戦 打撃成績の明細

画像2

この日、太田は途中出場。7回1死2,1塁では投犠を決めると、翌8回2死満塁では元楽天・濱矢を打ち砕く左中間フェンス直撃の2点タイムリーツーベースを放った。

これで対外戦の通算成績は、22打数6安打、3得点、8打点、6三振、5四球、1犠打、1二塁打、1三塁打、2本塁打、打率.273、OPS1.089になった。

対外戦の長打4本は、小深田(3二塁打1三塁打)と並ぶチームトップタイである。

山崎幹が2安打2四球、2得点1打点、1盗塁と躍動した。
2四球はいずれもフルカウントから1塁へ歩く内容あるものだった。

なかでも際立ったのは、3回1死走者なしの第2打席。

打球はショート大和の正面だったと思うが、全力疾走で駆け抜けた1塁は間一髪セーフに。
守備名人を気まずくさせる内野安打をもぎ取ると、その後、1塁で合計4球の牽制球を貰うと、4番・ブラッシュの中安で一気に3塁を陥れ、持ち味を発揮した。【終】

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