20190228note表紙

【戦評】宋家豪「凱旋MVP」。強者対決初戦を好守・好投で制す!─ 2月28日○楽天3-1ラミゴ

沸かせた母国凱旋、どよめきの古巣登板

「強者対決」と銘打たれた今年の日台プロ野球バトルカップ。

昨年のCPBL覇者ラミゴと今年NPBで日本一をわしづかむだろう楽天。
両球団による2ゲームマッチの初戦が2月最終日の夜、台湾・天母棒球場で開催された。

結果は3-1でイーグルスの勝利!

2点リードの9回裏、宋家豪が母国のマウンドへ。
みごとにゼロを入れてセーブを記録し、初戦のMVPに選ばれている。

宋が凱旋登板を果たすと、古巣登板を記録したのは8回1イニング無失点に抑えたラミゴの三番手である。
そのマウンド姿はぼくら懐かしの顔、2016年に楽天に在籍したラダメス・リズだった。

試合前、旧知のウィーラーら楽天ナインと談笑する姿もあったリズは今年2月にラミゴと契約。
「李茲」という登録名で登板し、150キロ超えを惜しげもなく連発した。
空三振に退けた内田靖人には場内表示156キロを2度も披露し、場内をどよめかせる見せ場も作った。

楽天のスタメン

1番・オコエ(左)、2番・田中(中)、3番・浅村(二)、4番・ブラッシュ(一)、5番・ウィーラー(指)、6番・内田(三)、7番・辰己(右)、8番・足立(捕)、9番・村林(遊)、先発・岸(右投)


あなどることなかれ

ところでCPBLというと、どうしても格下に見てしまいがちだ。
しかし、あなどることなかれ。
ことラミゴの場合、王柏融が抜けても台湾代表級や実力ぞろいが多数在籍する。

たとえば、本戦の4番を務めた林泓育は代表の常連組。
昨秋、日米野球の直前に開催された台湾との壮行試合でも向こうの4番を任された。

本戦の5番に座った陳俊秀も同様だ。
昨秋、ぼくらの高梨雄平からホームランを放った昨年CPBLの首位打者である(打率.375)。

7番スタメン出場した林智平は2017年WBCの直前、侍ジャパンとのヤフオクドームでの壮行試合にCPBL選抜でプレーし、則本昂大、牧田和久、増井浩俊、岡田俊哉から4安打を放った実績の持ち主だ。

そんなタレントぞろいを6安打に封じた。
守り勝つ野球で最少失点で切り抜けたところは、開幕へ向けての朗報になった。

守り勝つ野球

投手陣も良かったが、守備陣の好守も光った。

難しいバウンドをうまくすくいあげ、5-4-3の併殺網を完成させたサード内田の守備。
中前ゴロ突破コースを逆シングルで懸命に追いつき、必死の1塁送球アウトにしたセカンド山崎剛。
本職の三塁で華麗なランニングスローを披露した渡辺佳明。

なかでもハイライトはドラ1の辰己涼介だ。

「肩は今すぐにでも、プロでもトップクラス」
昨秋のドラフト直後、平石監督がそうコメントした辰己評が4回にベールを脱いだ。

その光景は先頭打者の平凡な一ゴで始まった。
なんなく1アウトかと思った瞬間、長いプロキャリアの中で12試合しか一塁守備の経験がないブラッシュがトンネル...
この失態に乗じ、打者走者がいっきに2塁を狙うシーンだった。

助っ人の後逸に「マジかよ...」と沈鬱しかけたなか、勝負を諦めず猛然とチャージしたのが辰己だった。
白球を捕捉するやいなや大きく躍動し、2塁へ高性能レーザービームを発動。
間一髪のアウトにしてみせた。
高い身体能力に加え、そういうことも起きるであろうという事前準備ができていたからこその美技だ。

相手が遊撃手や左翼手などに拙い守備が続出するなか、犬鷲守備網は「理想の守り」をみせた。
(池田x足立バッテリーで1暴投あるが、これは相手走者の好走塁の度合いが強い)

メイド・イン・東北の高品質

日本の社会人野球を彷彿とさせる台湾独特の応援が彩る場内。
楽天にとって完全アウェーのなか、ゲームは5回までスコアレスが続いた。

楽天先発は岸、ラミゴ先発は左腕の葉家淇。
両先発の投げ合いになった。

岸は今シーズン初の実戦登板だ。

久米島では初日から飛ばす則本を傍目にスロー調整を貫いた昨年の最優秀防御率右腕。
本戦も球速や空振り奪取は抑え気味で、おそらく腹6~7分程度だったと感じる。
それでも、それを感じさせないほどの「Mr.安定感」を誇示した。

内容は3回を投げて2安打4三振。
2塁進出を許さない視界良好の無失点ピッチは圧巻の一言で、ラミゴの選手はそのクオリティに息を飲んだはずだ。

とくに2回、、、

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