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軽さという実用性

シェーカー家具の特徴、魅力の一つに『軽さ』があります。椅子やテーブルをはじめとした家具類も、オーバルボックスやオーバルキャリアといった収納道具類にも一貫して『軽さ』を感じることができます。
これは実際に手にとった重量にも明らかですが、また見た目の印象としても感じることができるのではないでしょうか。


シェーカーの人々にとって『軽い』ことは実用性に直結していました。これは彼らの暮らしの中で家具を移動すること、道具を持ち運ぶことが頻繁に行われていたからでもあります。


衣類やキャンドルと同様に壁にかけた椅子や、車輪をつけたベッドに見られる持ち上げやすい、動かしやすい『軽さ』は、清掃を特に重視するシェーカーにとって非常に実用的でした。
高齢の教徒が増えるコミュニティの事情としても、少しの移動でも負担の少ない『軽い』椅子は歓迎されたでしょう。
彼らが主に使用したロッキングチェアは、重厚感とは正反対にある軽やかさを持ちます。
集会の際には集会所に各々の椅子を持ち運ぶこともあったようです。



共有、共有を基本とする家具や道具は収納と整理が徹底されていました。
非常に軽く取り回しの良いオーバルボックスやオーバルキャリアーがシェーカーのどのコミュニティでも好まれた理由がよくわかります。




収納や整頓の徹底は、言い換えれば、頻繁に使わない物はその都度出して使うということでもあります。
組立式のベンチや、非常に軽量なドライラック、スタンドの上に設置するライティングデスクなど持ち運びや撤去のし易さを念頭に置いた家具も多く残っています。


シェーカー家具の多くは『軽い』というシェーカー的な実用性を追求した結果として、余分な物のない、シンプルで繊細な外観を持ちます。


一方で、現代の家具市場では軽すぎる家具に安っぽさが感じられることもあるようです。

シェーカーの人々が外部の市場に参入するのは後期のことで、コミュニティの最盛期の彼らのものづくりには重厚感や高級感といった視点はほとんど見受けられません。

これからの時代に家具を作って暮らしていくことと、シェーカーから学ぶこと、それぞれのバランスをとり、見極めていく力を養っていかなければと思います。












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