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シェーカーの単純構造がもたらす働き方

シェーカーの家具や小物類の多くは、外観の印象だけでなく、構造的にも合理的で基本的な要素によって成立しています。

実際に工房で行う作業は、単純作業の反復が大半を占めています。こういった単純構造、単純作業のメリットとしては、技能習熟の早さ、作業効率、ルーティーンまたはその工夫の容易さなどが挙げられます。


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一方で、基本的な構造、繰り返しの単純作業には常に「やりがい」を見失ってしまったり、飽きてしまうといったネガティブな要素がついて回ります。

シェーカーの人々はこういった仕事、労働に関しての慣れについて、業務を積極的にローテーションすることや、機械設備を整えることによって、繰り返される単純労働に対しても具体的な刺激や変化をつけています。


より善い労働、暮らしを求め、とりわけ労働に神との結びつきを見出し、また一日の大半をその労働に費やす彼らにとって、精神面も含めた労働環境を快適に整えていくことは、重要かつ関心の高い要件であったと見受けられます。

これは他文化、他宗教が持つ苦行、修行的な労働や隷属的な労働の感覚とは正反対のベクトルを持ち、この時代から働きやすさやモチベーションに関しての労働環境の視点を持っていたことは非常に興味深い点です。


このローテーションや機械設備の充実は、つまり、コミュニティ内の誰であれ、その役割をシステマチックに担うことができるように準備されていたとも考えることができます。

『専門的で熟練した技能を持つ者』と『専門的で熟練した技能を持たない者』の両者が同じ基準を持ち制作できるように構成された工夫、がシェーカースタイルの一つの特徴でもあり、UNOHの作業もこの考え方に則り、治具や道具類が用意されています。この要素がシェーカースタイルの持つワークショップとの相性の良さにも感じられます。


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もちろん、部材の選定や専門的な作業、治具や道具類の準備など技能的、専門的な経験を要することも多々あります。

シェーカーのコミュニティーでも専門的な技能や知識を持った職人や、十分な経験を有する年長者が、若者と一緒に働く中で指導し、教えていく例や、一つの職種でエキスパートになった職人が、新たなことに挑戦する例もよく目にします。

私もUNOHで学ぶ中で、一つの作業を冗長に繰り返すのではなく、時に気分を変えて違う作業も行い、時には集中して一つの作業を行うような切り替えを持つように指導を受けています。特に、私はコーヒーや音楽といった全く異なることもしているので、木工やシェーカー以外のこともバランス良く行ない、私たちなりの暮らしを作っていくことを心がけています。


参考文献・資料

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