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椅子を編むーシェーカーチェアとペーパーコード

以前、ウェグナーやモーエンセンなどの北欧の現代家具でもよく利用されているペーパーコードでシェーカースタイルの椅子の座面を編む機会がありました。

ペーパーコード自体は第一次世界大戦のころ、20世紀初頭に作られた素材のようで、19世紀中頃に最盛期を迎えたシェーカーの椅子としてはあまり印象がありませんが、、、無いわけではなかったようです。

資料や図録などで確認できるシェーカースタイルの椅子の多くはテープによる座面で、UNOHでも基本的にはテープによる座面です。

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初期にはラッシュなどの植物由来の座面を採用していましたが、紡績技術の発展によりテープが開発されると、衣類を傷つけず、湿度の変化にも優れる点などからテープシートが歓迎され、その後もメインの座面として長く利用されました。

実際にペーパーコードによる座面は、テープシートに比べ負荷が大きく、従来のシェーカーチェアの細い円柱の部材構造では弱く、部材の変更や差し替えが必要になるなど細やかな問題があります。北欧の現代家具デザインにも影響を与えたと言われる「シェーカースタイル」の過渡期を実感させてくれるような仕上がりになりました。

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このような座面素材の移行の考え方は、シェーカースタイルの特徴的な要素とも言えます。

いち早く水力発電の設備を整え、機械の利用にも積極的だったシェーカーは技術的な側面においての「変化」については進歩的な考え方を持っていたようです。一方で、教義的な面の色濃い生活規範や共同体のルールは厳格に守られ、維持されました。

一般的な宗教コミュニティーに対して抱く、旧態依然といったイメージとは反した、この変化のコントラストはシェーカーの物作りや生活を捉える上で非常に興味深い点に思います。

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