天邪鬼の眼☕️通信 ~教頭と学校行政文書 後編~

行政文書の処理をいかに効率的に能率的に果たすかは、大変大きな問題です。そこにかける時間が、平均時間外在校時間が12、13時間にも及ぶことが統計でも示される「在校時間」に直結しているからです。

天邪鬼の眼☕️通信 ~教頭と学校行政文書 前編~

前編で触れたように、行政文書の処理は、相当な業務負担です。
文書が届いてからの処理は文書管理規則で定められた流れに沿って処理されています。ネット上に埼玉県加須市の学校における規則が示されていましたので見てみましょう。

第2章 文書の収受(学校における収受)
第10条 学校に到達した文書の収受は、次の各号に定めるところにより処理しなければならない。
(1) 文書は、即日開封し、当該文書の余白に収受印(様式第1号)を押すものとする。
(2) 刊行物、ポスター及びこれらに類する文書は、前号の規定にかかわらず、収受印の押印を省略することができる。
(3) 親展文書その他開封を不適当と認める文書は、開封しないで名宛人に配布するものとする。(平成27教委規則11・一部改正)(文書収受台帳簿の記入等)
第11条 文書取扱主任は、文書の収受をしたときは、直ちに文書収受台帳簿(様式第2号)に所要事項を記入するものとする。ただし、第31条第1項の規定によりその所管に属する校長が定めた保存期間が1年未満である文書は、文書収受台帳簿への記載を省略することができる。
2 文書の収受番号は、学校ごとに4月1日から翌年3月31日までの一連番号を付する。

加須市立学校文書管理規則

ここで示されたような手順に従って、事務職員が文書収受し、収受印を押し、さらにこちらの行政区では、文書収受台帳簿に記入することになっています。同市の「文書収受台帳簿」は次のような様式になっていました。

文書収受台帳簿


とにかく、学校に文書が届いて、事務職員が上述のような事務処理をしてようやく教頭のもとに届きます。

余談ですが、現在では、殆どの文書がメールを使って届いているはずです。そうするとメールを開けて、本文を確認してさらに沢山添付されている文書ファイルを開いて印刷してクリップ止めしてという作業が生じていることでしょう。

学校に行政文書が押し寄せる年度初めには、メールを読み、添付ファイルを開き印刷して整えるだけで、2~3時間はかかるとベテランの事務職員さんは言います。

それ位、面倒な作業をしているわけです。収受して、教頭の手を通り、教職員への供覧にかけるまでの業務だけでも煩雑な流れを辿っています。それを2000通以上捌いているのですから、たまりません。

その処理は、文書取扱主任を担う事務職員、そして、取扱主任が収受した後の実務あたりから教頭が担うのが一般的でしょう。

問題は、ここからです。
文書を収受したあとは、その文書の内容によって担当者に振り分けます。出張の文書や周知文書は、担当者に渡れば内容は伝わりますが、その一つ一つをどう処理したかを確認しながら業務が進みます。
例えば、○月◇日にどこそこで出張がありますという出張文書が来たとします。これは、〇〇の仕事だから、△△さんに渡してと。その△△さんは、その文書を見て、「出張をしてよろしいか?」といった伺いを学校運営の責任者である学校長の決裁を受けます。そして、そうした予定を学校の予定に加筆して共有します。出張文書1つとってもこんな流れを経ていきます。

つまり、収受した行政文書は、ただ受け取って終わりではなく、だれがいつまでに何をするのか、回答の締め切りはいつで、その回答は済んでいるのかなどを管理しながら滞りなく回るようにしないとなりません。その要を担っているのが教頭先生というわけです。ですから、教頭の負担は、この業務だけをとっても並大抵のことではありません。

そうした夥しい文書の管理を各校の教頭先生方が工夫してい行っていることと思います。これだけ世の中がデジタル化していても、予算をかけて気の利いた校務支援システムが組まれていない限り、文書配布がメール添付で送られてくる先は、たいしてデジタル化の恩恵を被っていないのが学校の実情だと思います。

勤務していた自治体では、文書収受後、「文書収受台帳簿」的な管理台帳を各校の教頭がそれぞれにつくったり、ノートにそれぞれの業務のメモを書いて管理したりして、締め切りはいつなのか、その進捗はどうなっているのか確認しながら仕事を進めていました。ある程度PCにたけている人は、PCを有効に活用して業務をアシストしていましたが、完全な手作業、アナログで対応して混乱の極みに陥っている教頭先生の話も耳にしました。

行政文書データ一元化による働き方改革

全校には、ほぼ同じ行政文書がいくわけですから、その文書を送る市町村教委と各学校が連携して、そうしたデータを一元管理して共有する方法を取ることができるだけでも教頭先生や学校の業務を軽減できると目論むんですがいかがなものでしょう。

校務支援のシステムが導入できなくとも教育委員会の協力も得られ、教委学校間でデータを共有できる環境があれば、エクセルベースで一元管理「文書収受台帳簿」的な管理台帳を作成することは可能です。

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