見出し画像

『GIGAスクール時代の情報モラルを考える会』キックオフレポート

こんにちは、e-とぴあ・かがわ広報スタッフです。e-とぴあ・かがわでは全国の学校で進むGIGAスクール構想に合わせて、4月から『GIGAスクール時代の情報モラルを考える会』を定期開催しています。先駆けて2020年3月20日(土)に行われたキックオフイベントの内容をご紹介します。

今年春から本格的に進むGIGAスクール構想


Society5.0時代を生きる子供たちに相応しい教育を目指すGIGAスクール構想。今年は多くの学校で「1人1台端末」「高速通信ネットワークの整備」の手配が進み、教育現場では授業での端末の活用方法やルール整備の対応に追われています。

子どもに専用の端末をもたせるとゲームや動画に夢中になって勉強に集中できなくなるのでは、と不安に思う方も多いのではないでしょうか?子どもたちがICT端末やネット環境を使って「新しい学び」を得るには、ICT活用の環境を整備するだけではなく、端末の正しい活用方法やネット環境での多様な考え方を伝える必要があります。『GIGAスクール時代の情報モラルを考える会』では、情報モラルの講師をお招きして、いっしょにICTを利活用した教育について考えていきます。

キックオフイベントでは情報モラルエデュケーターの今度先生による基調講演と県内学校の先生によるパネルディスカッションが行われました。

基調講演の様子

【講師紹介】
今度 珠美 先生

画像1

鳥取県教育委員会 鳥取県情報モラルエデュケーター
日本デジタル・シティズンシップ教育研究会 エデュケーター
鳥取大学大学院地域学研究科修了 修士(教育学)

「子どもたちにインターネットの良さを考えてみましょうと聞いてみると、戸惑ったような表情をした後で、おそるおそる答えます。どうして子どもたちはインターネットを使うことに後ろめたさを感じているのか、これまでの伝え方を振り返って見ましょう」と、今度先生は語ります。

これまで子どもたちに伝えてきた情報モラル教育は、その多くはICTの創造的な活用が想定されておらず、ネットやスマホ利用の悪影響のみを強調し、啓発、安全教育として伝えてきた実態があったと考えられます。

今では子どもたちもパソコンで調べ物をしたり、動画でさまざまな知識を得たりするのが当たり前の時代。利用時間のみで判断し、利用制限・禁止するのではなく、使う内容や背景を見て判断することが重要です。ネット・スマホ依存は端末やネット環境とは切り分けて考え、背景に家庭・個人・教育などに問題が生じている可能性を考え、個別にサポートしていくことが重要と語っていました。

画像2

その他にも、これからのICT利活用に合った教育として、国際的に標準な教育「デジタル・シティズンシップ」についての紹介も。オンラインで活用出来る「デジタル・シティズンシップ」教材や、今度先生自ら翻訳吹き替えを担当した動画教材も紹介されていました。

子どもたちがICT利用をポジティブに学び、消費するだけでなく創造的な利活用ができるように、これからのGIGAスクール構想に必要な考え方がぎゅっと詰まった講演でした。

パネルディスカッション


後半は県内の先生方を交えてのパネルディスカッション。e-とぴあにて情報モラルセキュリティ教育を担当し、保護者の一人でもある大美さんがファシリテーターを担当、大手前高松中学・高等学校の合田先生と丸亀市立城乾小学校の増井先生をお招きしてGIGAスクール構想の状況について話し合いました。

画像3

・「1人1台端末」「高速通信ネットワークの整備」について
城乾小学校では端末が揃い、準備を急ピッチで進めている状態で、コロナ禍で3年ほどの構想から前倒しで進めることになったと語ります。公立の学校の多くは自治体の備品として支給していて、生徒一人ひとりが自分のものとして大切に使ってもらえるような案(シールを貼ったり、壁紙を自由に変えられるようにするなど)を考えている最中とのことです。
大手前高松中学・高等学校では端末を導入して5年目。徐々に導入をすすめ、現在は全生徒に行き渡っている状況です。端末はそれぞれの家庭で購入していて、個人固有の端末なので盗難紛失など扱いに対しての問題はかなり少ない状況とのことでした。

・運用ルールについて
早くに導入が進んでいる大手前高松中学・高等学校ではルールの改定を重ねていて、勉学に関係の無い運用をしてはならない、客観的に遊んでいると思われる行動をしてはならない、など基本的なルールが設定されていました。
城乾小学校のルール設定はこれからの段階で、最初からルールで縛ってタブレットでの学びを阻害しないようにしたい、生徒自身がルールを考えたり先生たちと一緒に決めていけるのが理想ですと増井先生は語りました。

画像4

・今度先生の感想
パネルディスカッションの最後に、今度先生を交えて感想を語りました。これからのICT教育をすすめていくにあたって、深刻な事案が起きないか不安に思う方もいると思いますが、事案が起きたときには必ず背景に家庭環境・本人・人間関係のジレンマなどが考えられます。端末やネットワーク環境とは切り離して考えていきましょう。と今度先生は語りました。

また、保護者に向けても啓発活動をしていく必要がある、教員・保護者もいっしょに新しいものを学び続け、時代に合わせて順応していかなければいけない。その一方で、保護者側の負担も多くなることにも共感すべきで、コロナ禍で困窮している家庭も多い中、福祉的なサポートも必要ではないかと述べていました。今回のパネルディスカッションのような話しあいの場も非常に重要だと言う意見に、参加されていた皆さんが共感していました。

まとめ

画像5


『GIGAスクール時代の情報モラルを考える会』キックオフイベント、新しい情報モラルの知識や現場の先生の意見が詰まった、2時間の枠に収まりきらないくらいの充実した内容でした。

今後定期開催されるイベントでは、今回基調講演を担当された今度先生をお招きします。ICTを利活用した教育について、いっしょに考えてみませんか?ご参加お待ちしています!

次回勉強会情報
『GIGAスクール時代の情報モラルを考える会』 第1回学習会
※香川県独自の新型コロナ警戒レベルが引き上げられたため、内容を変更して開催いたします。(2021年4月7日更新)
開催日時:2021年4月25日(日) 午前10:30~12:00
会場:オンライン開催のみ(ZOOM)※後日、録画アーカイブを配信予定
申込:以下の申込ボタン、またはURLからお申し込み下さい。
申込締切:2021年4月24日(土)12:00
定員:定員なし
講義:今度 珠美先生(鳥取県情報モラルエデュケーター)

https://www.e-topia-kagawa.jp/lecture/gigaschool210425/


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?