[Vol2. 否定形(not)の本質]

皆さん、こんにちは!第二弾は否定形の本質に迫っていきます。普段何気なく否定形を使っている皆さんは恐らくある程度のルールを教わった通りに使っているのでしょう。ですが、実は奥が深いのが否定形です。その中でも今回は'not'を使ったものに絞ってお話ししていきます。お付き合い下さい。

まずは結論から。notは文末以外好きな所に置ける。置く所は何を否定したいかに依る。です。詳しく説明していきます。

まず、以下の文章をご覧ください。

I am a student. 「私は生徒です」

Vol.1で見た例文ですね。Vol.1を見てない方は是非そちらもご覧ください。では、この文章を否定形に変えて下さい。

I am not a student. / I'm not a student. 

上記が否定形になります。二つ文章がありますが、短縮形にしているかどうかの違いなので、言っている事は同じです。そもそも否定というのは、肯定文を否定するという事ですね。「私は生徒である」を否定すると、「私は生徒ではない」となるから、'not'が'a student'の前に来ているという事です。つまり、'not'というものは、次に来る語を否定するというのが働きになります。

まぁ、ここまでは当たり前と言われれば当たり前なのですが、この文章では次の例文もあり得ます。

Not I am a student. 「私でない誰かが生徒である」

気持ち悪いかもしれませんが、これも可能です。'not'の次に'I'が来ているので、「私は」を否定しています。つまり、考えられる状況としては、私じゃないけど、別の誰か(?)が生徒だよというニュアンスを含みます。ここで、伝えたいのは、少なくとも私ではない誰かという事です。

では、次の例文はどうでしょう。

*I not am a student.

これは、容認不可、つまり、存在できない文章となります。今回は'not'が'am'の前に来ているので、'am'を否定します。すると、一見「私は生徒ではない」と考えそうですが、'am'は動詞なので、時制を決める役割も持っています。時制自体を否定してしまうと、そもそもこれがいつに言及した言葉かが分かりません。少なくとも過去か、未来か、今ではない事に加え、Be動詞の働きから考えると、'not'を含んだ場合、'I'と'a student'が同じ状態ではない事を示唆しますので、どっちが違うのか、または両方が違うのか、もはや考えれば考えるほど、この文章は全く意味を持たなくなります。

では、「私は生徒ではない」と言いたい時はどうするか。最初の否定でみた、"I am not a student."が当てはまります。厳密に言うと、'not'と'a student'の関係があるだけで、'am'自体はそのままの働きなので、日本語訳は、「私は学生ではない状態である」と言う感じで、最後は、肯定形で終わるはずです。ですが、いちいちそんな事気にしてられないので、「私は生徒ではない」と訳します。これが否定形の本質です。

実はこの本質を知っておくと、今までなんとなく覚えてきたものが一瞬でクリアになっていきます。例えば次の文章です。

He told me not to call him during his meeting. 「彼は会議中は電話をしないように私に言った」

よく受験では、「tell 人 to do」の形は、'to'の前に'not'を入れると説明します。この説明はあり得ないほど非合理的です。まず、文章を前から読むと、'He told me'「彼は私に伝えた(言った)」となります。そして、何を言ったかを'to call him during his meeting'「彼の会議中に彼に電話すること」で説明します。今回の文章、実は、'not'は幾つの選択肢もあるのです。

Not he told me to call him during his meeting.
He did not tell me to call him during his meeting.
He told not me to call him during his meeting.
He told me to call not him during his meeting.
He told me to call him during not his meeting.

まず、一番上の例文は、先ほども説明したように、'he'を否定しているので、少なくとも彼ではない誰かが私に言った事になります。
次の文は、単純に'tell'にかかっているので、伝えていないとなります。
3つ目は、'me'が否定されているので、私ではない誰かに伝えた事になります。
4つ目は、電話をする相手が'him'ではない、つまり、会議中彼以外の誰かにかけるように言われた事になります。
最後は、会議中が否定されているので、会議以外の間に電話するように伝えた事になります。

このように、'not'は何を否定したいかによってその位置が決まると言う事です。ただ、これらの'not'の使い方を見ないのは、これらがかなり回りくどい言い方になるからですね。例えば、先ほどの5つの例をもし言われた場合、まず、1つ目は、結局誰が伝えたんだとなりますよね。2つ目はあり得そうですが、3つ目は結局誰に伝えたんだよとなりますね。
4つ目、5つ目もツッコミが入るでしょう。このように言えなくもないですが、ツッコミが入るようなものは基本的にはストレートに言う事が多いです。しかし、'not'の本質を知ることで、これらが存在しうる形だと言うことがわかります。

最後に、この文章を例に挙げて終わりましょう。

I have a pen.「私はペンを持っている」
I do not have a pen.「私はペンを持っていない」

上記の文は、肯定文・否定文となっています。学校ではよく、一般動詞の前には、'do not' or 'does not'をつけると説明されますが、これは簡略化しています。厳密には、'not'をどこに置くかの本質が問われているだけです。ですが、'do not'をつけますよね。もしかすると勘の鋭い方は気づくかもしれません。

I do have a pen.

実は'do'が省略されているんです。この'do'は助動詞で、「本当に」と言う強調のニュアンスを含みます。例えば、朝電話で起こしてと誰かに頼んだとします。電話したのに起きなかった相手が、こう言いました。

「電話してって言ったのにしてくれなかったじゃん!」
「いやしたよ!けど起きなかったんでしょ。」

この時、強調して、したことを伝えますよね。こう言った時に、doは省略をせず言います。ですが、普通の文章で、いちいち強調を入れる事はないので、そう言う時は省略をします。

なので、"I do have a pen."は、「私は本当にペンを持っているんだ!」と強く訴えかけるような文になる訳です。

ここで、ペンを持っていない時には、当然ながら、持つと言う行為を否定しないといけません。なので、"I do not have a pen."となる訳です。ちなみに、ここでの'do'も強調ですから、訳としては、「私は本当にペンを持っていないんだ!」と100%否定の様なニュアンスになります。

先ほど、'am'を否定すると、時制自体も否定してしまうという話があったと思います。それをもっとわかりやすくするには次の例文を見てみましょう。

He called me. 「彼は私に電話した」
He did not call me. 「彼は私に電話しなかった」

これも同じ理屈です。つまり、He did call me.が隠されていると言う事です。ここで、注意なのは、'did'が省略(強調しない場合)される時は、時制を示す役割として、'to call'を過去形の'called'に直す必要があります。しかし、強調の'do'の過去形'did'を入れた場合、既に、過去であるというニュアンスは分かっているので、その後の'to call'は原形のまま'call'で伝わると言う事です。なので、"He did call me."が"He did not call me."となる訳ですね。'not'の位置は今までの説明通りなので、大丈夫でしょう。

つまり、"He called me."と言う文章に、*"He not called me."と入れた場合は非文となる訳です。これは、時制を示す'called'を否定するので、結局いつを表している文章かわからなくなってしまうからですね。これが、'not am'と同じ原理となる訳です。

さて、これで恐らく'not'については本質を理解できたのではないでしょうか。ここでもう一度冒頭に戻ります。

notは文末以外好きな所に置ける。置く所は何を否定したいかに依る。

これを理解できれば、また一つE-SPACEに入り込めた事でしょう。

是非、いいね、コメント等お願い致します!また次回!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?