日本とドイツ、働き方の違いとは?日本はどう変わっていくべき?
【2022年5月25日投稿】
皆さんこんにちは、インターン生の紗羅です。
2019年4月より、「働き方改革関連法案」の一部が改正され、多様で柔軟な働き方を支持する動きがより強まってきました。
日本独自の文化ともいえる「年功序列」「終身雇用」「新卒一括採用」「サービス残業」といった規範も徐々に見直されつつあります。しかし、まだまだ課題は山積みです。
私はドイツの大学に進学をし、ドイツでバイトやインターンをした経験があります。
この記事では、ドイツと日本を行き来している私の視点で両国の働き方を比べて、新しい働き方をご提示できればなと思います。
「就活」は日本独自の文化
春になり、外でリクルートスーツを着た就活生を見かけることも増えてきました。そんな光景も日本の風物詩ですよね。
ドイツでは新卒採用は存在しません。日本より転職が一般的なドイツでは、仕事が必要になったらその都度探すというのが一般的です。企業も欠員が出たときにだけ募集をかけます。就職先は紹介や、インターンや学生バイトからそのままの場合もありますが、大手求人サイトを使うのも一般的です。
最近増えてきたのがLinkedinなどのSNSを使った求人です。普通の求人サイトとは違い、特定のカテゴリーで探して、企業や個人事業主が個人にオファーすることができます。個別でのコミュニケーションが可能になるため、中小企業にもスポットライトが当たりやすくなります。
採用方法が違えば採用基準も違う
日本は言わずもがな学歴社会ですが、ドイツもガッツリ学歴社会です。でも学歴社会の種類が少し違います。
日本は大学の名前や偏差値が重要なのに対し、ドイツは専攻と最終学位が重要です。日本では経済を学んでいた人が人事をしていたり、理系学部の人が営業をしていたりしますよね。それはドイツではあまり見かけません。もちろんキャリアアップの中で部署が移動することはありますが、自分の大学の専攻分野から大きく外れた会社に就職したり、部署に配属されることはあまりないです。
ドイツでは卒業学位のほうが大事
ドイツでは大学が4年よりも短いことが多い(学科にもよるが3年が一般的)ので、大学院に進む人が多いです。どの職種の求人を見ても修士課程を卒業したことが条件になっていることが多く、日本とは大きく違う点のひとつだと思います。
また、ドイツではインターンや学生バイトなど過去の職業経験も重要視されます。日本と違いインターンが盛んなドイツではインターンの経験で就職先が決まるといっても過言ではないです。なので、大学生がレストランや居酒屋などでバイトしていることも少ないです。
ドイツの就活を紹介しているサイトでは大学の成績も重要と書かれていることが多いですが、私の体感ではあまりないと思います。私の父はドイツのIT企業で人事をしているのですが、応募者の性格やモチベーションを見出す方が大事なので、書類選考の段階では最終学歴と専攻学科、職業経験を見て、あとは殆ど自己アピールやスキルに時間を割くと言っていました。もちろん企業によって採用基準は違います。
私は、就活という制度は周りと比べてしまいやすく、学生が自信を失って個性を出せない原因になっていると思います。数うちゃ当たれの精神で何十社も受けてもただエネルギーと気持ちが無駄になるだけです。そして転職をしたい人の足枷になっている可能性もあります。
短い労働時間でも国内総生産は高いドイツ
2016年のドイツの平均年間労働時間は1364時間で、日本の1713時間よりも約20%も短いのだそうです。にもかかわらず、経済協力開発機構によると一時間あたりの国内総生産はドイツは59.8ドル、日本は41.5ドルと、約44%も違います。この理由を私なりに考えてみました。
ドイツでは「係長」「部長」という言葉は存在しない
社内での役職がそもそもなく、上下関係もあまりないのです。5年早く入社している人も「同僚」と呼び、下の名前だけで呼ぶことが多いです。また、ドイツでは英語と違い一目でわかる敬語があります。
例えば「you」は「du」といい、複数人の「you」は「sie」となります。しかし、相手が目上の場合は一人に対しても「Sie」を使います。(この場合頭文字が大文字になるので区別をすることができます。)
基本学校の先生や取引先には敬語を使わなければなりませんが、会社内だとあまり使われないです。
私も学生バイトでドイツの企業で働いていた際に、自分の担当の方には「Du kannst duzen.(Duを使ってもいいですよ)」と言われました。
もちろん会社によりけりですが、社長に対して敬語や敬称を使うことも少ないと思います。会社のような一つのチームで働くのなら、下の名前で呼び合い、なるべくフラットな関係を築くことが大事だと考えられているからです。
労働時間が短い理由は整った法整備と国民性にあり
ドイツでは基本的に一日8時間以上働いてはいけません。法的規制も厳しいため、破る会社もそうそういないです。また、企業は社員に対し最低24日の有給を与えなければならず、有給消化率も100%なのだそうです。もし、有給を全く消化していない社員がいたら注意されるほどです。
これはドイツの国民性にもあるのかな、と思います。私の日本人の友人には父親が単身赴任だったり、朝早く仕事に行って夜遅くに帰ってくるのが当たり前の家庭で育った人がたくさんいます。しかしドイツでは個人や家庭の優先順位が必ず仕事よりも上です。仕事はあくまでも日常生活を不自由なく送るための手段なだけであって、自分の時間を割いてまで仕事に打ち込む人はほとんどいないと思います。そして、役職が無いのだから昇進という概念もないです。日本は昇進のために会社に求められたことはなんでもやるという雰囲気がありますが、昇進しないのだからなぜそこまでしなければならないというのがドイツ人の意見でしょう。
なので会社から移動を命令されることなんてまずないですし、会社にもそんな権限はないのです。
「社員ありきの会社」という考え方
Eプレゼンス代表の川北さんと初めてお話をしたときに、ドイツには「転職」という言葉はないという話をしたら凄く驚かれていたのが印象に残っているのですが、ドイツで転職という言葉がないのは、転職が当たり前だからです。
勿論職種によりますが、ドイツでは給与や労働環境ですぐに会社を変えてしまう人が多いように感じます。私の父なんかが最たる例で、私の父は「同じ会社に5年以上勤めない」という謎の自分ルールがあります。
もし、自分の分野でもっと条件の良い会社があればあっさり移ります。そして先ほど申し上げたように常に求人が出ているので転職という言葉が無くても仕事を見つけることができるのです。新卒より経験者の方が採用されやすい場合すらあります。
おわりに
日本は未だに終身雇用の名残が根強く残っている印象です。就活も就職難の時代には意味のある制度だったはずです。でも時代は変わってきていて、古いしきたりや制度によって失われる時間や労力がないように柔軟に時代の変化に対応していけるといいですよね。
自分の好きなことを仕事にできているなら良いのですが、それが出来ない人がほとんど。
ならば仕事に時間をかけるのではなく、プライベートを充実させた方がいいと思うのです。生産性をアップするのならばまず自分を大切にしなければいけません。未だにブラック企業の話はよく耳にしますが、それは就活等で自信を無くしてしまった学生に漬け込める隙間が社会にあるからなのだと思います。
もちろんドイツにも例外な会社はあります。私は、会社が人材を無下に扱えない制度と、人材に無下に扱わせない精神が必要だと考えています。
明るい未来を願って今日も頑張っていきましょう!
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