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『時は金なり Il tempo è denaro 』


4月1日、日本では新年度、新しい環境で勉強、仕事をはじめるひとがたくさんいると思います。
新しい環境に飛び込むひと、迎えるひと、お互いに新しい刺激や新しい世界が待っていることでしょう。
こちらではコロナ禍と関係なく歓送迎会や入学式、入社式、ありとあらゆる式と呼ばれるものがないので、日本のことがとても懐かしく思えます。

新しい年度を迎えた、即ち旧年度が終わったばかり、多くの企業内の金庫番たちはこれから大仕事の『決算業務』が待っていることでしょう。
イタリアでは、会計年度は個人、企業、役所も1月から12月で、確定申告等は6月までに終わらせるのが一般的です。
大雑把見えるこの国ですが、確定申告は誰もが行う大仕事、イタリアでは会計作業がとても煩雑で個人では追い切れないことも多いため、会社勤めをしているひとでも税金の控除などを申告するために会計士、税理士、専門家にお願いするのが一般的です。


複雑な作業でない場合や特に会計士に依頼する必要がない場合は、町中にあるサポートをしてくれるC.A.F.(税務アシスタントセンターCentro assistente fiscale)に行き手続きをすることが多いです。
もちろんオンライン申告もありますが、税金や会計に関する法律が刻々と変化するの国なので素人では追いかけられない仕組みが現実と言えるでしょう。
その上、フリーランス(個人事業主)でも一定の収入を超えると申告は会計士を通すことが義務づけられています。
そもそも子どもから大人まで、国籍を問わず『総ゼッケン制度の国』ですのでいい加減なことができない事情もあります。
ここまで書くと『太陽のもとで大らかに、明るくクヨクヨせず人生を謳歌』していそうなイタリア人のイメージとは随分ギャップを感じるひともいるかもしれませんね。

イタリアで『税金ネタ』は日常会話の話題のひとつですが、これはどうしてなのかと少し考えたときに、世界的に使われている『複式簿記』を思い浮かべました。会計をしているひとなら必ず知っている言葉だと思いますが、遡ること12世紀、海洋貿易で栄えた『ヴェネチア商人』から発案されたと言われています。日本の場合は大西洋を渡り、太平洋を渡り、その方式が取り入れられたようです。


何世紀にも渡り今日のイタリア人に脈々と受け継がれているのかもしれませんね。ちなみに今日の礎となるイタリアの銀行、吸収合併、買収が進み、複雑な変遷については書きませんが、最古とされているのはヴェネチア、そのあとに続くのがフィレンツェ、ジェノヴァ、いずれも海洋貿易で栄えた証でしょうか。

決算業務や確定申告とは少し違いますが、この時期、集合住宅などの住人向け決算報告もあります。これもまた法律で厳しく定められており、4月中に3分の1の世帯が参加して実施する必要があります。報告だけでサラッと終わればいいのですが、とにかく『モノを言いたい』ひとが多いお国柄、ながーい夜となるのが一般的です。私はいつも心の中で『ショーが開演』とつぶやいています。イメージができないひとは80年代イタリアンコメディ映画『Fantozzi subisce ancora』で答え合わせをしてみてください。

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写真のフラッグキャリアさんのお話しもまたいつか。

イタリア語でも一応ことわざ『時は金なり Il tempo è denaro (イル・テンポ・エ・デナーロ)』が存在するのですよ。


『L'essenza della vita(レッセンツィア・デッラ・ヴィータ)~ 暮らしへのエッセンス ~』

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