見出し画像

『マロングラッセ論争に決着?』

秋の三大味覚は人それぞれ違うと思いますが、『栗』がその中に入っている人は多いかもしれません。日本では栗ご飯はもちろん、和菓子、洋菓子もこの時期はとてもワクワクしますね。
コチラでは『マロングラッセ』、これはかなり手間暇かけて作られるお菓子なのでお値段も立派です。それでも秋に数度は菓子店に足を運び、口にしたくなるお菓子のひとつですね。

秋のカフェテリアでは、定番の小さなお菓子に加えて季節の味『マロングラッセ』も

 さて、『マロングラッセ(Marron glacé)』と聞くと、フランスのお菓子とイメージする人が圧倒的に多いと思いますが、実は、『マロングラッセ論争』なるものが、フランスとイタリアの間に長らく存在しています。厳密に言うと、イタリア人ではなく、ピエモンテ人です。

イタリアでは、16世紀にまで遡りますが、サヴォイア家のカルロ・エマヌエーレ1世が統治していた時代に宮廷料理人によりマロングラッセが誕生していたことが確認されているようです。
しかし、フランスの歴史によれば、16世紀にリヨンで誕生したと言われ、また、フランス料理に革命を起こしたとされる料理人フランソワ・ピエール・ラ・ヴァレンヌラ・ヴァレンヌ『フランスの料理人』―17世紀の料理書『マロングラッセ』が紹介されているようです。

そもそも、現在のイタリアに統一されたのは160年ほど前の話で、それまで現在のイタリアとフランスのあたりをサヴォイア家が統治していたり、どうなのだかと思ってしまいます。現にピエモンテ州と隣接しているフランスの県名は『サヴォワ』(サヴォイアはIT語/サヴォワはFR語)です。
いつまで続くのでしょうか…

老舗店でのマロングラッセは期待を裏切りません

少し贅沢な栗のお菓子もいいですが、より身近に家庭で楽しむ方法、栗を洗い、ナイフで切り込みを入れ、穴あきフライパンで焼くだけとシンプルです。

切り込みを入れる専用ナイフと焼き栗にするために使う穴あきフライパン


特にピエモンテ州・クネオは高品質の栗の産地としても知られ、栗のお祭りもあります。

巨大穴あきフライパンを使っての焼き栗

ちなみにイタリア語で栗を『カスターニャCastagna』と『マローネMarrone』と呼びます。見た目で言えば、カスターニャはやや小ぶりで毬の中に複数入っているタイプ、マローネは、毬の中に1‐2粒入っていて、大ぶりで丸みがあります。
 
少し優雅になれる味わい家庭の味わい、どちらも同じ秋にかわりありませんね。
マロングラッセ論争、いずれにしてもどちらもお国自慢のストーリー、決着がつくことはなさそうですが、誰もが口にしたときに笑みがこぼれるのは間違いないのが結論でしょうか。美味しい秋の味覚探しをそれぞれの場所でしてみたいものですね。

『L'essenza della vita(レッセンツィア・デッラ・ヴィータ)~ 暮らしへのエッセンス ~』


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?