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『市民の足、バス、トラム、地下鉄に乗ってみよう』

これまでと全く同じ暮らしとはいきませんが、それでも欧州も日本も随分と行動制限がなくなり、行楽地に足を運び、思い思いに秋を楽しまれていると思います。ここ2年近くは、最小限の移動、不要不急の外出を控えていた人も多く、これまでより公共交通機関の利用が減っていたと思います。
イタリアでも自動車、自転車を使うひと、徒歩のひとが以前より多いですが、大きく変わったのはそこにキックスケーターの利用が増えた点でしょうか。
個人的にはこれまでも、現在も公共交通機関の利用が多いため、今日はイタリアでの地下鉄、バス、トラムの利用についてご紹介します。

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日本では地下鉄は切符、ICカード、定期券などの乗車方法があり、その点はイタリアで同じですが、バス乗車方法や料金の支払い方法が日本とは異なるため、観光で来られる日本人の皆さまが敬遠することが多いのかもしれません。ただし、バスやトラム(路面電車)の乗り方さえわかれば、小回りがきく移動方法なのでとても便利です。

【イタリアでのバス&トラム(路面電車)乗車方法】
◦まず、乗車する前に町中で見かける「T」マークのあるお店「TABACCHI」と書いている看板を見つけて、バスの切符を事前に購入します。
🔑 町によりその他のお店で扱っていることもありますが、観光客にとってはわかり難いのでタバコ屋で買うことをおすすめします。
タバコ屋は専売権がある商売のひとつで、タバコの販売のほか公共交通機関の切符、切手、宝くじ、公共料金の支払い、少額の銀行口座引き出しなど様々なサービスを提供しています。
ただし、地下鉄切符は駅構内での券売機で購入もできますが、券売機が3台あっても全台動いていたら奇跡に近いので空振りしないためにもお店での購入が確実です。また、その日に使う必要もありませんので心配もありません。
なぜ、事前購入を書いたのかと言うと日本のように車内で現金で支払うことはできないからです。
👉 これが1つ目の異なる点です。
乗車券の種類は町によりさまざまですが、1回券でも何分有効なのかが書いてあります。
市内移動であれば乗り換えが必要な場合でも1枚の乗車券で大丈夫だと思います。
これは各町により乗車券ルールが異なるので滞在する町で確認してみましょう。

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さて、乗車券を購入したら、乗車するバス停で待ちます。
バス停にある停留所表示を見て現在の停留所と降車する停留所を確認して予めいくつあるか数えておくといいでしょう。
バスが到着と乗車する路線番号を確認しましょう。
町により乗車意思を示すために手で合図することもあります。これは他にバスを待っているひとの様子を観察しておくといいかもしれません。

乗車したいバスが停車すると、ひとまず降りる人を待ってから乗車しましょう。乗車口と降車口がはっきりと決まっている町もあれば、そうでない町もありますので気をつけてください。

乗車すると直ぐに乗車券を有効にしましょう。地域により異なりますが、打刻式とIC乗車券であれば機械にかざすと有効化されます。
これをせず抜き打ちの検査で見つかると即座に罰金徴収となります。最近はカードでの支払いも可能なので言い逃れは難しいでしょう。
後納は確か割高になる仕組みだったと思います。
👉 これが2つ目の異なる点です。


🔑 ここで打刻機械やICカード読み取り機が機能していないこともあります。その場合は、自分の状況、自分がどうしたかったか意思表示の意味を込めて少し周囲にアピールしましょう。運転士でも乗客でもいいです。
このアピールは、「私はきちんと乗車券があり、打刻しようとしたけれど機械が動いていないわ。」の意味です。
そうなると誰のせいでもないと言う雰囲気をほかのひとと共有するのがイタリアであり、イタリア語が少し話せるとどんどん話しかけられます。
相手がイタリア語をわからなくても一方的に話してくるケースもあります。
ちなみに運転士は乗車券のことにはノータッチ、あくまで運転が仕事なので、かけあったところ「私にはどうにもできないわ。」のお手上げ回答があるはずです。

目的地に向かうバスに乗車して不安な場合は、運転士か乗客に「XXXXに行きますか。」と確認してみましょう。
ここで確認を取れれば、ひと安心です。運転士がもちろん答えてくれますが、100%周囲の乗客ももれなく口々に参加してきます。

そして、降車する停留所のひとつ前の停留所を出発したら降車ボタンを押しましょう。
町により車内アナウンスがある場合もありますが、アナウンスがない前提です。ですから、乗車したときに降車する停留所の確認や周囲へのアピールをしていた方が、アナウンスより確実だとお伝えしたかったのです。
また、日本と決定的に違うのはここ、バスが完全に停車してから降車口にお進みください。と言うようなことはありません。
従って、ひとつ前の停留所に止まったタイミングで降車に備えます。
👉 これが3つ目の異なる点です。

イタリアでも当然無口なひとはたくさんいますが、全体的によくしゃべる国民性です。バスや地下鉄から降りる人は車内が混みあっていると「シェンデ? (Scende降りますか。)」とひと言声をかけるのが礼儀です。
また、降りる際も「ペルメッソ(Permesso 通してください。」と言うフレーズをかなり短縮した言い方)」と言うと必ず降りられるようにしてくれます。
これを言っておくと万が一、降りられないような状況になっても誰かが「まだ降りるひとがいるのよ。」ともれなく大声で運転士に聞こえるように言ってくれます。

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🔑 日本では考えられない状況とは思いますがコロナ禍以前は運転士の横で話しかける人がいたり、運転士も同僚が乗車してくるとアクリル板の扉を開けてよくしゃべったりしていました。乗客で運転士と話すひとは、大体乗り慣れない路線で降りるところがよくわからない場合です。これが確実に降車できる方法なので、イタリア人はよくやっています。
安全走行や安全運行を考えるともちろん賛否があることだと思いますが、大らかであり、他力本願のイタリア式公共交通機関の利用方法は、なかなか面白いと思っています。

今回はバス乗車を中心に書きましたが、トラムが走る町では、トラム乗車も同様だと思ってください。慣れない場所での移動はドキドキするのもで、また、地下鉄や電車に慣れている日本の人は特にそうかもしれませんが、時間に制限のない旅行だからこそバス乗車をしてみるのも旅の思い出になるかもしれません。

ただし、乗降時はもちろんですが、乗車時は必ず鞄の開口部に手を当ててほかの人に触れさせないようにしておきましょう。
リュックサックなどの場合ももちろん前にするのがいいでしょう。ここでその姿を見ておかしいと思うひとや笑うひとなどひとりもいません。
折角の楽しい時間を台無しにしないためにも、くれぐれもお手回り品には十分に気をつけて移動してください。

少しでもイタリアでのおしゃべりを楽しみたいひとは、市民の足であるバス、トラム(路面電車)、地下鉄を利用してみるのも手かもしれません。

お節介過ぎる国民性、自分と何となく外見が違うひとへの好奇心の高さは、イタリア以外にないかもしれません。ジロジロと見られたら、きっとおしゃべりしてみたい気持ちのひとだと思ってもいいかもしれませんね。


初トリノ地下鉄


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