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高校生|オーサー・ビジット2019 in 福岡女学院高校

この記事は、日本俳句教育研究会のJUGEMブログ(2019.10.16 Wednesday)に掲載された内容を転載しています。
参照元:http://info.e-nhkk.net/

nhkk事務局スタッフ:
朝日新聞社が開催している本の著者(オーサー)が各地の学校を訪ねて特別授業をする「オーサー・ビジット2019」。

福岡女学院高校の谷口先生から届きましたレポートをご紹介します。


谷口先生:

2019オーサービジット
「夏井いつきの句会ライブ」福岡女学院高校


写真は福岡女学院高校HP「2019オーサービジット『夏井いつきの句会ライブ』が行われました」より

 この企画が始まった約三十年ほど前に「工藤直子先生」に応募したのが始まり、以来、「平田オリザ先生」をはじめ、多くの作家先生に生徒会役員達が中心となって応募してきましたが、叶わぬまま。俳句を学んでいる者として、「今年はどうしても、生徒達に敬愛するいつき先生と出会わせて俳句の楽しさを味あわせたい」と呼びかけました。プレバトの影響もあって、生徒達の反応も関心も今までよりも一番強く、四クラス同時に競って工夫をして応募致しました。

 八月末に朝日新聞社からのお電話で四クラス一緒にどうぞとのこと。教頭も即答、教務主任も音楽科まで入れて一年生全体五クラスでお願いしようと決定いたしました。

 さて、十月九日の朝は天高く晴れ渡り、いつき先生をお迎えするのに格好の句会ライブ日和。五、六時間目、シオン館視聴覚室は、生徒一五七名、先生二〇名、スタッフさん五名、記者さんやカメラマンさん、校内広報部の皆さんに囲まれ、始まる前から既に生徒達は高揚、緊張した雰囲気です。

 いつき先生は九泊十日の旅からお戻りになったばかり、二日松山滞在されて、すぐに出発されたれたとのこと、今回こちらに来ることができたのもたまたま日程が合って宮崎に行く途中立ち寄ることができたという絶妙な「ご縁」だったそうです。

 先生ではなく、「いつきさん」「組長」と呼んでくださいねと優しい語り口。プレバトの裏話、キスマイのアイドルの話題も出て、テレビで拝見する厳しい先生の雰囲気とは違う!といつき先生の軽妙な語り口に全員の緊張があっという間にほぐれ、笑いの渦。生徒達のテンションはいよいよ高まりました。

 ここから簡単に俳句を作る「取り合わせの方法」を学びます。すぐに数学の和田先生がその作り方の実践例としていつき先生のインタビューを受けました。貫禄のある和田先生もいつき先生の誘導により、笑顔で一句をつぶやいてくださいました。「からあげのランチを食べた鰯雲」その「俳句の種」に思い思いの季語をくっつけて、今度は季語の選び方を練習しました。
次は生徒ひとりひとりの「五分で一句」の実践です。「スタッフさん、先生達も作るんですよ」といわれ、急に大教室がしんとしずまりかえり、空気がきいんとした密度に変わって行きました。創作のエネルギーや俳句の神様が降りてくる瞬間でしょうか。途中トイレ休憩に行く生徒もいれば、いつき先生の選句をじいっと見ている生徒達もおりました。

 入選句が次々に読み上げられて、作者といつき先生のやりとりにさらに教室が笑いの渦。

 国語の好き嫌い関係なく皆満面の笑み。「勉強の悩み、お母さんとの口げんか、朝ご飯のおかずのこと、通学のありさま」日常の一コマが季語とのマッチングにより生き生きした俳句となりました。修学旅行に行けなかった英語の先生も「自由でも満たされない日隙間風」いつき先生の名刺をいただき、松山の施設のクーポンをもらって大喜び。

 最後は特選七句。一人一人が手を上げて好きな句の選評をします。そこから作品の世界が厚みを帯びて広がります。評を先生にも褒められた生徒さんもにっこり。評に作品が磨かれて立体的になり、作者の名乗り、解説で全員が「あーっ」と納得。そんな熱い時間が過ぎ、最後は多数決で一位を決めることになりました。一位は「駐輪場ドミノ倒しで秋さびし」に決定。いつき先生のサイン入りの俳句手帳、俳句の本をもらって特選のみなさんもさらににこにこ、大満足です。

 最後は全員でいつき先生を囲んで記念撮影。記者の方からインタビュー受ける生徒さんもいれば、そのあともしばらくはいつき先生を取り囲んで離れない生徒さんたちの笑い声が響きました。「わたし、いつき先生が大好きになった!」「プレバト毎週見ます!」「松山に遊びに行ってクーポン使い切ります」「いつき先生画面の向こうから応援しています。体に気をつけて長生きしてください。」「先生また会いたいです」そんな台詞が耳に残っています。

 夏井先生、朝日新聞社の皆様ありがとうございました。心からの感謝とともに。(谷口奈々美)

▼ 特選七句

いつまでも変わらぬ心春一番   一組
風薫る七百グラムの重き命   四組
駐輪場ドミノ倒しで秋さびし   三組
秋の朝リボンをなでるバスの波   二組
ドレス着てチョコをぱくっと夏来る   音楽科
数学のノートを閉じる冬林檎   四組
蝸牛くびを左右に雲はゆく   広報校友課

▼ 入選句

数学を不正解する秋さびし   一組
祖母のマネ針穴通し初桜   一組
勉強をしたら知恵熱冬ざるる   一組
油照埋まらぬ解答あと十分   二組
ここ数日毎朝ベーコン鰯雲   二組
母親の心を知らず隙間風   二組
舞う桜不安な私の背中押す   二組
人生は楽しめばよい春愁   三組
テスト後の解答用紙ソーダ水   三組
秋の蝶エレクトーンの躍る音   四組
何書こう紙を眺める空っ風   四組
母親へとりあえず言う秋の朝   四組
言えたこと褒めたたえる若葉風   四組
絵のような空撮りそこね空っ風   音楽科
星月夜我が身も踊る歌声に   音楽科
自由でも満たされない日隙間風   教員
数学の生徒の答曼珠沙華   教員

▼ スタッフさん・教員・留学生より抜粋

日本にりゅうがくしている春隣   タイの留学生
秋晴れにいつきの笑顔ゲットOK!   写真家
秋の昼カメラ片手に俳句詠む   教員・数学科
風食べて靴がかけっこ秋の空   教員・国語科
愛犬に留守番頼む秋の朝   教員・英語科
走りきり目標クリア風光る   教員・社会科

▼ いつき先生へメッセージ俳句

飼っていた羊が子を産み大量発生   一組(内面世界が広がったことの比喩)
先生とご縁で結ばれ秋うらら   二組
組長と過ごした二時間春の風   四組
初対面呼び捨てされし日鰯雲   四組
先生とご縁で結ばれ天高し   音楽科




■日本俳句教育研究会(nhkk)
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