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中学生|身体で季語を感じよう オンライン句会の実践③

この記事は、日本俳句教育研究会のJUGEMブログ(2021.01.09 Saturday)に掲載された内容を転載しています。
参照元:http://info.e-nhkk.net/

nhkk事務局スタッフ:
連日ご紹介してきました、東京都立大泉高等学校附属中学校の石鍋雄大先生の実践報告の最終回です。


石鍋雄大先生:
ある組の上位句と感想は以下のようなものであった。

▼結果と生徒の感想

オリオンの下で誰かを想う夜

日向ぼこ眩しい日差しと体育と

白黒のジムの広告冬の空

冬の空ソフトクリーム少なめです

かすんでるやまってどんな色だろう

生徒:
みんな、同じ季語を使っているのに全然違う句ができるんだなと思いました。クオリティーが高いと思いました。

生徒:
同じ落ち葉の季語で句を詠んでいたけど、落ち葉を「木の涙」と表現するのは、自分じゃ読めないと思いちょっとヤバいなと思った。また「空見上げ落ち葉のなかの蒼さみる」の「青さ」と「蒼さ」のちがいと意図が知りたいなと思った。

生徒:
どの句もレベルが高く、大人が作ったと言われても納得してしまうと思います。全体的に「日向ぼこ」が多いと感じました。同じ日向ぼこなのに作風が全く違くてとても楽しめました。みんなの語彙力の高さも垣間見え、少し危機感を覚えたりもしました。 機会があれば今後もやってほしいなと思います。季節縛りいいと思いました。

生徒:
漢字でも表せる部分をあえて平仮名にしたり、時間の一部や一瞬を切り取っていたりという工夫が多かった。自分の句にもぜひ取り入れたいと思った。そして誰か僕に時間軸の一瞬切り取ってうまく詠むコツを教えてほしいと改めて思った。

まとめ

オンライン句会は、一部運営上の難しさもあったが、それは教員の指示によるものであった。

①具体的には、年末という時期的問題とオンラインの活動への未習熟による提出率の低さ、
②指示通りに提出されない

等である。

しかし、課題に対して効果的な点が多くあった。

①オンラインのアンケート形式と句会という形式の共通点が多く親和性が高いため、スムーズに行えた点
②無記名のため安心して投句・選句ができる点
③授業時間外も使ってゆっくり考えられる点
④学校を超えた外部も巻き込んだ活動が可能になる点

等である。

また、生徒の作品は、身体感覚に着目した効果的に言葉を使えている作品が数多くあるように感じている。生徒の感性は、非常に豊かで瑞々しい。その瑞々しさをどれだけ保ったまま、また、より育てていけるかは、我々教員の指導が大きな役割を果たすように感じる。継続的に言葉に着目する指導をすることで、言語的な技術を高めるとともに、感性も豊かにしていきたい。そのために、俳句教育は非常に効果的なのではないなと考えている。教育のICT化が必須の現在だからこそ、オンライン句会もより効果的な活動ができるように更新していきたい。


nhkk事務局スタッフ:
石鍋先生、コロナ禍の今、正に私たち教員が模索している授業方法に示唆を与えるご実践をお送り頂きましてありがとうございました。

また、本実践を最後までお読みいただいた皆様も、ありがとうございました。ご覧になってのご感想などもお待ちしております。

■日本俳句教育研究会(nhkk)
「俳句」を教材とした様々な教育の可能性を研究する日本俳句教育研究会は、「俳句」を教材に教育活動を展開しようとする教師や俳句愛好家の情報交換の場になりたいと活動する任意団体です。

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