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ギュスターヴ・ドレ挿画*セルバンテス『ドン・キホーテ物語』 窪田般彌訳

この記事は、日本俳句教育研究会のJUGEMブログ(2019.09.07 Saturday)に掲載された内容を転載しています。by 事務局長・八塚秀美
参照元:http://info.e-nhkk.net/

本日開幕! 二代目松本白鸚さんが、喜寿にして挑むミュージカル『ラ・ マンチャの男』・50周年記念公演! 全国ツアーが始まります。

初日のチケットが手に入ったこともあり、ちゃんと読んだことのなかった『ドン・キホーテ物語』を読んでみることにしました。あまりにも知られた『ドン・キホーテ』ということもあり、全編が気になりながらも、岩波文庫でも6冊と長そうなので手が出ず……。結局(見覚えのあった)ドレの挿絵120枚が載せられているものなら、挿絵が理解を助けてくれるのでは! と期待して沖積舎版を選びました。

ドレの挿絵が左ページに載せられ、右ページに挿絵を解説するようなドン・キホーテの冒険が述べられているこの本。一枚一枚の絵がとても繊細で驚かされましたが、挿絵がメインになっているため、物語がプツプツ切れて脈絡を感じられないのが難点で、読み慣れるのにかなり苦労しました。物語を味わうために読む本というよりは、物語の全編を知った人が、挿絵を楽しむための本だなと感じました。とは言え、大まかな筋は分かりますし、美しい挿絵が、物語を想像させてくれるので、とりあえず、ドン・キホーテの世界に触れてみたい人にはオススメかもしれません。

やはり、作者セルバンテスのやりたかったものは、全編を読んでみないと分かりそうもありませんが、『ドン・キホーテ』のアレンジという意味で、ミュージカル『ラ・ マンチャの男』と同様に、本作もまたドレの挿絵を中心に置いた『ドン・キホーテ』の一つの解釈なのかなと思いました。ミュージカルでは、メタフィクションとしての『ドン・キホーテ』がまた舞台ならではの演出となっているようです。いよいよ18時開演です。『ラ・ マンチャの男』楽しみです!