見出し画像

『今、何かを表そうとしている10人の日本と韓国の若手対談』

この記事は、日本俳句教育研究会のJUGEMブログ(2019.01.05 Saturday)に掲載された内容を転載しています。by 事務局長・八塚秀美
参照元:http://info.e-nhkk.net/

日韓国交正常化50周年にあたる2015年から3年間にわたって行われたプロジェクト「日韓若手文化人対話―ともに語り、考えを分かち合う」の記録です。
20代から40代前半の「今、何かを表そうとしている」クリエイター5組10人が、日本と韓国を行き通いながら行われた2度の対談の様子と、対談前後に交わした手紙が収録されています。

西川美和(映画監督)✖ムン・ソリ(女優/映画監督)
寄藤文平(グラフィックデザイナー)✖キム・ジュンヒョク(小説家)
光嶋裕介(建築家)✖アン・ギヒョン(建築家)
朝井リョウ(小説家)✖チョン・セラン(小説家)
岡田利規(演劇作家)✖キ・スルギ(アーティスト)

映像、アート、文学、建築、演劇……各分野の若手文化人の対談は、日韓の歴史問題などには一切触れることなく、それぞれが「今表そうとしている何か」について純粋に語り合っていきます。もちろん、文化の違いによる表現や発想方法の相違なども見えてくるものの、それ以上に、純粋に表現し続けるクリエーターとしての共通点の方が、読者には強烈な印象を残していきます。

また、携わっているジャンルによって、個人で作品を表したり(アートや小説)、人との関わりの中で自分の役割を果たして表したり(建築や映画や演劇)と、それぞれの立ち位置や考え方の違いや、完成の仕方の違いが詳らかにされていくのも大変興味深いところです。それぞれのクリエイターの拘りがたいへん面白く、読みどころです。一口に「表現」と言っても様々であることを、5つの対談によって様々な角度から眺めることができる一冊です。

朝井リョウさんと対談した、チョン・セランさんの『アンダー、サンダー、テンダー』はすぐに手に取ることのできそうなので、未知の領域だった韓国文学に触れてみたくなりました。