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村田沙耶香『コンビニ人間』

この記事は、日本俳句教育研究会のJUGEMブログ(2018.09.29 Saturday)に掲載された内容を転載しています。by 事務局長・八塚秀美
参照元:http://info.e-nhkk.net/

第155回芥川賞作品の文庫化。
驚きました! 新しいものに出会えた喜び、という意味では(常に驚かされ続けている朝井リョウさんの作品をのぞけば、)西加奈子さんの『サラバ!』以来の衝撃度で、私のどストライクの作品でした!

社会が求めている「普通」とは? 幼い頃から「自分は何かを修正しなくてはならない」「治らなくては」ならない人間だと自覚している主人公古倉恵子。いわゆる「普通」からはみ出した自分を自覚しながら、「『普通の人間』の定型」に気付いていく主人公の目線は、無意識に社会不適合者をはじき出しそうとする「普通」の人間たちが、いかに乱暴でマニュアル的であるかをあぶり出していきます。

一体何が正常なのか……。そして、結局は一番見えていて、一番考えている主人公……。そこに関わってくるコンビニという存在……。コンビニについては、ネタバレになるので作品を読んでもらうしかないのですが、「普通」と私たちが信じている社会の隠された矛盾をつきながら、読者それぞれが問いかけられているような作品でした。本当に面白かった!