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図書室

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俳句に関する書籍の紹介だけでなく、事務局長が出逢った書籍の感想などを思いのままに綴る、個人的な図書室です。好みに偏る傾向があります。
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#小説

志賀直哉『暗夜行路』

高校一年生の『現代の国語』に収録されている「城の崎にて」。授業で扱うたびに、脚注の解説に…

山本文緒『自転しながら公転する』

年末に放送された松本穂香×藤原季節のスペシャルドラマ『自転しながら公転する』。評判が良い…

川上弘美『三度目の恋』

背表紙には、次のように紹介されています。 『伊勢物語』の六段、「鬼一口」で知られる芥川の…

森博嗣『トーマの心臓 Lost heart for Thoma』

萩尾望都さんの『トーマの心臓』が、森博嗣さんによって小説となっていたことを今さらながらに…

出久根達郎『漱石センセと私』

直木賞作家である出久根達郎さんの『漱石センセと私』。月刊『パンプキン』に連載された「いと…

松浦寿輝『花腐し』

11月10日公開、綾野剛×柄本佑×新井晴彦監督の映画『花腐し』の原作が、第123回芥川賞受賞…

山田詠美『血も涙もある』

まさに、タイトル通りの「血も涙もある」小説でした。新潮社のホームページ紹介には、次のように紹介されています。 良い意味での「ミスリード」もある紹介文で、「血も涙もない」ような展開を想像していたのですが、全く違った種類の「後味」が待っていて驚きました。 いわゆる不倫もの(⁉)のようにスタートしますし、誰かを傷つけてしまう現実も描かれていくのですが、そこには残酷性というよりも、誰もが皆、傷つけたり、傷つけられたりしながら、血や涙を流す「血も涙もある」悩める人間であることが浮か

井伏鱒二『黒い雨』

本日8月15日は「終戦の日」。日本俳句教育研究会(nhkk)の旧ブログ記事の移行が完了し…

菊池寛『真珠夫人』

『文藝春秋』を創刊し、さらに『芥川賞』『直木賞』を創設した菊池寛。 彼を流行作家にした新…

宇佐見りん『推し、燃ゆ』

第164回芥川賞受賞の話題作です。私自身、絶賛推し活中ということもあり(笑)、ずっと気にな…

大江健三郎『燃え上がる緑の木』

前回の『「自分の木」の下で』を読んで、四国の森が舞台となった小説を再読したくなり手に取り…

平野啓一郎『ある男』

石川慶監督✖妻夫木聡✖安藤サクラ✖窪田正孝で映画化され、第46回日本アカデミー賞でも話題と…

角田光代『対岸の彼女』

第132回直木賞受賞作品は、小夜子と葵(アオイ)とナナコという女性たちの物語です。 主人公…

中勘助『銀の匙』

灘校で『銀の匙』を使って伝説の授業が行われていた、ということを知った時からずっと読んでみたいと思っていた作品でした。文庫本『銀の匙』だけを3年間かけて読むという授業の詳細は、多くの書籍になっているようですし、授業者である橋本武先生のインタビューも、まだネット上に残っています。 伝説の98歳灘校教師が教科書の代わりに『銀の匙』選んだ理由 文庫の裏表紙には次のように紹介されています。 小説は、病身で知恵の発達も遅れて臆病であった幼時から、体力も増して成績も伸びていった少年時