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個人事業主は源泉徴収が必要なのかを解説

個人事業主として事業を始めると、税務に関するさまざまな疑問が浮かびあがりがちです。その中で源泉徴収が必要なのか?という疑問を生じる人もいるでしょう。個人事業主が源泉徴収に関してどのような義務があるのか、その必要性について解説します。

源泉徴収とは給与や報酬などを支払う者が、所得を支払う際に所定の方法で所得税額を計算し、支払金額から所得税額を差し引いて国に納付するものです。

【源泉徴収の該当例】
・書籍や新聞、放送などに使われた原稿に対する著作権使用料やデザイン報酬
・プロスポーツ選手に支払う報酬や契約金
・専門資格(司法書士、税理士、弁護士等)に支払う報酬
・広告を宣伝する目的での賞金や、馬主に支払う競馬の賞金
・特定の利子や配当金

上記以外にホテルの宴会でホステスを雇う際に支払う報酬など、さまざまです。

次に個人事業主が源泉徴収義務者になる基準を解説します。

【源泉徴収義務者になる場合】
・給与を3人以上の従業員に支払っている
・青色事業専従者に給与の支払いがある

いずれかに該当すれば、源泉徴収義務者です。

【源泉徴収義務者にならない場合】
・給与を支払うのが、2人以下で家事使用人のみである
・そもそも給与支払いをしていない
・給与は支払っていないが税理士に報酬を支払っている

給与ではない報酬を税理士やデザイナーに支払っている場合も、源泉徴収義務者にはなりません。

次に個人事業主が源泉徴収票を作成する方法をピックアップして解説します。

1.受け取る報酬の総支給額を書く
2.給与総額から給与所得控除額を引いた金額を書く
3.2の金額から所得控除を引いた金額を書く
4.源泉徴収税額を書く
5.控除の対象となる配偶者の有無を書く
6.控除対象となる扶養している親族の数を書く
7.給与から支払っている厚生年金や社会保険料などの合計金額を書く
8.生命保険や個人年金保険のような民間の保険会社で加入しているものがあれば書く

次に個人事業主の源泉徴収額の計算方法を解説します。

【給与の源泉徴収】
個人事業主は支払金額が100万円以下と100万円超で源泉徴収税額の計算方法が異なります。
・100万円以下:源泉徴収税額=支払った報酬額×10.21%
・100万円超:源泉徴収税額=(支払った報酬額-100万円)×20.42%+10万2,100円

ただし、ホステスのような一部の業種では、源泉徴収税額の計算方法が異なりますので注意しましょう。

次に賞与・退職金の源泉徴収税額の計算方法を解説します。

【賞与の源泉徴収税額】
1.所得税率の基準額を求める(所得税率の基準額=前月の総支給額-社会保険料)
例:前月の総支給額が29万円で社会保険料が5万3,650円の場合
29万円-5万8,250円=24万1,750円

2.所得税率を賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表で調べる
例:基準額が先述の1の24万1,750円の場合は税率が2.042%

3.課税される賞与の対象金額を求める。
例:賞与が40万円で社会保険料が6万5,730円の場合
40万円-6万5,730円=33万4,270円

4.所得税を求める。
例:対象金額が先述の3の33万4,270円の場合
33万4,270円×2.042%=6825.7934円=6,825円

【退職金の源泉徴収税額】
1.課税対象の退職金額を求める。
計算式:課税対象の退職金額=退職金総額-退職所得控除額×0.5

退職金総額から退職所得控除額を差し引いた金額が300万円以上の場合
計算式:課税対象の退職金額=150万円+退職金総額-(300万円+退職所得控除額)

2.税率および控除額を確認
課税対象の退職金額に応じた税率および控除額を国税庁のページで確認

3.退職所得の所得税額を求める
計算式:退職の所得税額=課税対象の退職金額(1)×税率(2)-控除額

【報酬・料金の源泉徴収】
報酬や料金の源泉徴収税額の計算方法は、基本的に賞与の源泉徴収税額と変わりません。
計算式:源泉徴収税額=報酬・料金×10.21%

解説したように個人事業主が源泉徴収義務者に該当するのは給与を3人以上の従業員に支払っているか、青色事業専従者に給与の支払いがあることです。

個人事業主が源泉徴収が必要かについて知っておきたい情報は、以下の記事でくわしく解説しています。

個人事業主は源泉徴収が必要?義務となる基準や作成方法とは

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