[Blender]GreasePencilを使ってPrevisを作ってみた[7.グリースペンシル2]
前回の記事
仕込みは終ったので、次にカメラやアタリを動かします。
ここに前回仕込んだグリースペンシルで絵を描きつつ、エフェクト等の要素を足しつつ、アバウトだった内容を決めたりしつつ、編集しつつを最後まで繰り返すという流れになります。
前回の記事で触れましたが、グリースペンシルオブジェクトはこのアタリモデルにコンストレインしているので、3D空間をフルフレームで移動しています。この方法ならフリッカーが起きにくいと書きましたが、絵はフルフレームでは描かない(描いても良いですが)ので、体の動き次第ではフリッカーがおきます。特にカメラ前などで移動が速い場合に起きやすいです。
その時のデータが残っていないので、ちょっと再現してみたんですが、地味ですね。もっと酷かったと思うんですが汗
分かるでしょうか?
これを回避する方法としては、5つ考えられます。
1.フルコマで描く
大変です。速いアクションならまだしも、回り込みとか日常芝居をフルフレで描くのは思った以上に大変です。今回のテストで分かりました。
2.キャラの素材を別出しして、合成時にフリッカーのコマを抜く
試しましたが、ビューレイヤーやシーンのリンクコピーを使った素材出しのフローがどうもうまくいきませんでした。
ただ別出しはこれから必須になると思うのであとでちゃんと調べるつもりです。みんなどうやってるんだろう。
それに画ブレを後付けする必要があるので、オーバースキャンで大きめの素材を出してシーケンサーで2D画ブレを足す手間があって面倒でした。
下のアドオンが良さげなのでちょっと調べてみようと思います。
3.グリースペンシルオブジェクトのトランスフォームにスクリーンスペースでカウンターキーを打つ
なんのこっちゃだと思いますが、要はカメラから見てフリッカーでズレた分、戻すという事ですね。パワーでやるのは難しいので、開発が必要です。前回の余談にも書きましたが下記はその為のアドオンです。ただちょっと改善の余地があります。
4.カメラも2コマ、3コマ打ちにする
これが一番合理的です。プリビズなんですから。作画の割りとカメラの割りを合わせればフリッカーなんておこりません。
が、今回は技術検証も兼ねているのでやっていません。
5.フリッカーが起こる所だけ、グリースペンシルオブジェクトをカメラにチャイルドコンストレインする
今回はこの方法にしました。
カメラにグリースペンシルを張り付ける方法です。
下の様にしました。
色々面倒ではありますが、実務ではそんなにこだわらないと思います。
フルフレで描くのは大変と書きましたが、逆にもっと少ない枚数であればブロッキングとして認識出来るので、フリッカーと感じなくなるはずです。
方法4の様に、カメラだってフルフレである必要はありません。キャラと同じ様にブロッキングでも良いんです。
ただ今回は描く事でどういう苦労が発生してどういう対策が出来て、どんな準備をしておけば良いのかを調べるのも目的のひとつなので、この苦労も狙い通りといえば狙い通りです。
描く時に注意したい事
・今回の様にグリースペンシルオブジェクト自体を動かして描く場合、オニオンスキンは現在とは違う場所で描かれた絵が現在の位置に表示される事になります。(前回の記事参照)
という事はパースも別の位置のものになる可能性があるので、オニオンスキンに引っ張られて描いてしまうとパースに違和感が出てしまう場合があります。
・前後のオニオンスキンが一カ所に集まっていると、描く時に拡大しすぎてしまい、カメラから離れているのに近くにあるかの様なパースをつけてしまいがちです。
・立体的に動いている画のキーフレームの時間をズラすと、パースが合わなくなります。
例えばこれとか
右足が不自然に小さいですが、多分上に挙げた要因の複合でこうなったんだと思います。Xにアップしてから気がつきました。教訓として、直さずそのままにしておきます。
塗り
グリースペンシルの塗りはめんどくさいです。
使いこなしていないだけかも知れませんが、標準のフィルツールはシンプルな線画じゃないと上手くいきません。
BGにもよりますが塗らないと分かりにくい絵になってしまうので、塗らざるを得ない状況が度々あります。自分はストローク幅の設定に「スクリーン空間」をつかっているので、ビューの大きさによって線幅が変わってしまうため、ストロークを太くして線で塗りつぶすというのは基本やりません。(追記:Blender 4.3のGreasePencil v3から仕様が変わり、ビューの大きさによって太さが変わらなくなりました)
なので、マテリアルをフィルにして、線画に沿って囲む必要があるのですが、これが結構しんどいのです。
そこで、塗りを少しでも楽にする方法を自分なりに考えたので書いておきます。
線の周りを塗りの色で太らせる
参照用に、今一度今回の動画を貼っておきます。
この中でもやっている様に、線を白く太らせます。
こうしておくと多少ラフに塗っても気にならず、どんなBGにのっても見づらくなりません。
塗らなくても良いくらいです。下の動画は実際塗ってませんが見やすくなっていると思います。実務ではこうするかもしれません。
方法ですが、下の画像の様に影エフェクトの設定で太らせています。
ブラーXの大きさにキーが入っているのは距離に応じて調節するためです。
ブラーYは、Xの値と同じになる様にドライバーが入っています。
このエフェクト1つだけだと薄いので、複製して4つくらい重ねます。
それぞれのブラー値を調整するのは面倒なので、複製したエフェクトにドライバーを入れて、全て最初のエフェクトのブラー値を参照する様にすると楽です。その際、元の数値の2倍、4倍となる様に式を入れておくと良い感じになりました。
BGを白地と線画にする
紙に描く様に、白地に線画のBGがあって、その上にキャラを描くのであればキャラにとって邪魔なBGの線を消すだけで済みます。気持ち的にも楽です。
その手法を探っている所なので貼っておきます。
塗りに便利なアドオン
下記のアドオンを使うと塗りが楽になります。これと上記の方法を組み合わせると塗りの負担がかなり減ると思います。
あとがき
一連の記事は多分これでラストだと思います。何か思い出したらまた書きます。
便利なグリースペンシルですが面倒な部分も沢山見えました。
引き尻や誤魔化し方も割と分かりました。
絵を描きながら思った事は「全部CGでやればいいやん。」です。
でも全部CGでやっていると「描けばいいやん。」になるのでやはりどっちも使うのが良いと思います。
少なくとも絵の方は頑張ればまだ上達できるはずなので、伸びしろはまだあると思います。多分。
最後に、絵を描く時やアニメーションをつける時に(個人的に)便利なツールのリンクを貼っておきます。chatGPT産が多いです。スクリプトを使う場合はアドオン化する事をお勧めします。