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00_はじめに 【山の日本語学校物語】

突然ですが、新たにマガジンを始めることにしました!

今回は「はじめに」として、この連載を始めようと思った理由やその想いについて、あれこれ書きたいと思います。
(有料設定になっていますが、最後まで無料でお読みいただけます)

これまでの経緯

私は、2017年10月から2020年3月まで、とある日本語学校で教務主任として働いていました。この学校では、日本のIT企業への就職を目指す、ITエンジニアの日本語教育を目的とし、PBL(Project-Based Learning:プロジェクト型学習)というプロジェクト型のカリキュラムに挑戦しました。日本語学校と地域との関わり方や、積み上げ式ではない、探求型の言語教育のあり方、専門日本語教育や他業界との連携などを模索してきました。

残念ながら、この日本語学校は、現在、学生の募集を停止しており、実質、休眠中となっています。それに伴い、私も同校を退職し、学校から離れることになりました。

開校準備の段階から3年間にわたって関わってきた学校ですし、教育内容については、一から構築してきた学校ですので、私にとって強い思い入れのある学校です。しかし、退職してしまった今は、そこで行われていた教育がどこにも引き継がれることなく、私個人の記録、記憶として残っているのみです。

退職した一個人がどこまで学校のこと書いていいのか悩みましたが、これだけの貴重な取り組みが何も残されないのは、日本語教育業界にとっても大きな損失だと思うようになりました。そこで、私の書ける範囲で書いていこうという結論に至りました。

これまで、この学校での取り組みは、noteにも書いてきました。しかし、noteに書いてきたものは、学校の実践の一部を切り取ったもので、断片的で、全体像がわかるような書き方にはなっていません。この学校について説明するのなら、なぜ、このような実践を行ったのかがわかるよう、全体の理念や枠組みをきちんと説明した上で、どのような実践が行われ、どんな学びがあり、そこから何が生まれたのか、など、順を追って説明しなければ、この学校が目指してきたものが伝わらないと思いました。

論文にすることも考えましたが、規定や枚数制限のある論文では、断片的な情報しか伝わらず、私の意図するものとは、違った捉え方をされてしまうと感じました。

マガジンで描きたいこと

そこで、noteであれば、私の考えを自由に表現することができると考え、この日本語学校での取り組みを「山の日本語学校物語」として連載していくことにしました。

私の手元には、カリキュラムを作成する際に使用した分析の記録、日々の授業記録や、授業で使用した資料などが残っています(膨大な量の記録です)。それらの記録をもとに、今現在の私の視点による分析を加えながら、「山の日本語学校」の実践を振り返っていきたいと考えています。私自身、ここでの実践をきちんと振り返って言語化しなければ、次に進めないという気持ちもあります。

連載にあたり、学校名に実名を使うかどうか悩みましたが、学校運営には多くの人が関わっています。実名を使うと当然検索にも引っかかってきますし、個人の匿名性を守れない可能性も出てきます。そこで、連載にあたって、このnoteで使用していた「山の日本語学校」という名前をそのまま使うことにしました。

もちろん、記述する際には、学生や関係者等、個人が特定されないように、配慮していきます。(公開の必要性がある内容については、当人に許可を得るようにします)連載にあたっては、運営会社の同意も得ていますが、あくまでも、運営に関わった一個人の考えとして書いていこうと思っています。「山の日本語学校」で私は、教務主任として教育の方針を考え、コースやカリキュラムをデザインする立場にありました。さらに、実践者としても、クラス運営や授業にガッツリ関わっています。そこで、このマガジンでは、私の体験も踏まえ、日本語学校で行われた教育方針や実践の中身を中心に書くつもりです。

実践について記述するにあたり、文中の固有名詞は、全て仮名とします。事実をそのまま書くと、個人が特定されてしまうこともあるかと思いますので、そのような場合は、少し脚色するかもしれません。

とはいえ、当時の記録をもとに書きますので、実践の内容はかなり具体的なものになります。そこで、不用意に内容が拡散されたり、断片的な情報であらぬ誤解を招いたりするのを防ぐため、また、自分のモチベーションを維持するためにも、有料で配信することにしました。有料であれば、公開の範囲を制限できるからです。

1週間に1本を目指し、書き進めていこうと思いますが、はじめにマガジンを購入していただくと、今後配信される全ての連載記事が読めるようになります。noteのアカウントをお持ちでなくても、読むことができます。

(2021.05.14追記)
👆に「アカウントをお持ちでなくても、読むことができます」と書きましたが、マガジンを購入するためには、noteへの会員登録が必要でした。記事単体であれば、会員登録がなくても購入することができるようです。


当面、下記のテーマを取り上げる予定です。

1. 「山の日本語学校」の概要
2. なぜPBLなのか

3. 言語目標の設定
4. ミッションの設定
5. PBLにおける教師の役割
6. コースデザイン

上に挙げたように、学校全体の理念や方向性をまず説明したいと思います。その上で、7. 以降、具体的な実践について、記述していく予定です。実践を振り返りながら、新たに気がついたことは、その都度、記事にしていこうと思っています。


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ということで、新たなマガジンの始まりです。また、あの学校が動き始めると思ったら、私の中でもワクワク感が高まってきました。一緒に、「山の日本語学校物語」を体験してください。

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