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【48】からすパンダ

私は3歳と5歳の孫と過ごす機会を通して、私が子育て真っ只中の状況で同じ年齢だった息子と接していた時期を思い出し、記憶を重ねて改めて感じていることを振り返っています。
前回は、子どもは安らぎの中に包まれていて、大人たちから降り注がれる愛情をスポンジのごとくどんどん吸収しながら、社会性、人間性、協調性などを育む。そして、私の思う『慈しむ』は、愛情をこの上なく純度を高めて余分な部分を蒸発させ残った1滴、エッセンスオイルのような雫のイメージであり、それを子ども達に贈るものだとお伝えしました。
それを伝える方法の1つとして、子ども達と同じ目線で想像の世界を膨らませて、さらに一緒により大きく拡げながら楽しむことも書きました。
今回は最近の孫たちとの旅の思い出も、私のこの想いにつながっていたなぁと感じたので、文章にしてみようと思います。

双葉に光が注いでいる画像
Image from Adobe Stock

ある日たまたまスマホのシャッターを押して映った写真の中に、葉っぱが映りこんでいた。
拡大してみたその葉っぱの下に、動物の形に見えた陰に対して、3歳の孫は「ばあば?これ、なあに?」と聞いてきました。
孫は「パンダかな?」
子どもの想像の世界では、パンダの大きさは、小さくも大きくもあるみたいで、純粋に思ったままを投げかけてきました。
私はその時、3歳のこの子の中には何が見えているのだろう?という好奇心がわきました。
私は「パンダかな?」と返事してみました。葉っぱの下にパンダがいるわけもないのですが。
でも孫にはパンダのように見えていた。さらに私は、見えているのは影だからどんな形でも大丈夫かな?と考えて、「ほら、羽が生えているよ」と言ってみました。
すると思いもよらず孫は嬉しそうに、「ほんとだ!ほんとだ!ばあば、このパンダなんて言うの?」とキラキラした目で質問してきました。
「からすパンダだね!」苦し紛れの私の返事…。
「からすパンダ?? 描いて!描いて!」
要求される展開になり、私は苦し紛れながらでも、メモ用紙に羽の生えたパンダを描いてみました。
「ふ~ん。これが、からすパンダか!」と3歳の孫。
すると、孫で5歳になるお兄ちゃんが「なになに?見せて見せて」と加わってきました。
正直、私は5歳にもなると現実と想像の境はわかるだろうから、ばれるなぁと思っていました。
けれど、「ほんとだ!どこにいるの?からすパンダ。上野動物園かな?」と5歳の目をキラキラさせるので、この子たちの想像の世界のわくわくをこのままにしてあげたいと思う反面、ひとまずその場が無事に済んでほっとした気持ちで終わりました。

上野動物園の園内マップの画像
上野動物園の園内マップ(参照:上野動物園公式サイト)

その後、たまたま娘たちと孫、そして私たち夫婦で、上野動物園に行くことになりました。からすパンダの話は半年前のことだったので、孫たちが覚えているかどうかわかりませんでした。でも、上野動物園にパンダがいることを知ると、5歳の孫が「パンダ、飛んでるかな?」と嬉しそうに目を耀かせて話してきました。私はまたまた内心で、困ったな~と思いつつも「飛んでるといいね!」と返事しました。

「飛んでるかな〜」
「飛んでたらいいね」
5歳の孫は、パンダがいるところへ大急ぎで走っていきました。

いつもは、なかなか見ることができないらしい子どものパンダが、その日は私たちを含めた来場者の前に姿を見せてくれました。
これで、パンダには羽がないこと、からすパンダがいないことがバレちゃうかな?と思いましたが…。

「からすパンダがこっちにくる!僕のところに来たら飛んでくれるかな?」
「飛んでくれたらいいね〜」
「来た来た‼️」興奮するお兄ちゃん。
「飛んで!飛んで!ばあばもお願いして!」
こんなやり取りを、3歳と5歳の孫たちは楽しそうに話していました。

そんな孫たちの姿を見ていたらつい…
「ほら、羽が少し見えてるよ」
「どこ?」
と大人も子供たちの想像の世界に加わっていました。

「ほら、背中に小さく畳んでる」と指さすと、3歳の孫も「僕も見たい!にいに、どこ?」「ほら、あそこにいるパンダ」「ほんと!でも飛ばないじゃん!」「ちょっとだけ飛んでくれたら、みんなに見えるのにね〜」とお兄ちゃんの5歳の孫。
興奮して夢中でパンダを見つめる孫達。
そして、つかの間の観覧時間が終了になり、次の人たちと交代。

パンダの像と子供の画像
パンダを観覧してご機嫌の孫達

観覧時間が終わってからも孫たちはかなり興奮していました。
「からすパンダの背中に…こうやって…こうやって…羽が付いてたね〜‼️」と、3歳の孫。
「可愛かったね〜」と、私。
5歳の孫は「うん!また、今度来よう‼️今度は飛んでるところ見たい‼️」
「そうだね。また、一緒に観に来ようね。」
しばらく熱がおさまらず…。孫たちの楽しい思い出(+αの想像の世界)が過ごせたようで良かったと思い旅を終えました。

画像生成AIのAdobe Fireflyで描いたからすパンダ
画像生成AIのAdobe Fireflyを使って描いてみた、『からすパンダ』

あれから、4ヶ月ほど経った今でも『からすパンダ』の話を孫たちは時々しているらしい。いつまで想像の世界を膨らませ、拡がり続けていくのか??
キラキラした眼をしている子どもの頭の中は、どんな世界が広がっているのかは図りしれません。耀いた眼をみていると、もっと想像を膨らませて想像性の豊かさを育むことをサポートしてあげたいと接していたように思います。

遊ぶ子供の画像
からすパンダを演じて楽しんでいる孫

キラキラした眼は、子どもの年齢によって耀きに違いがあり、変化もします。その年齢にしかみることができない想像の世界を楽しめるように、精一杯ファンタジーの世界を広げてあげたいなと思っています。
残念ながら、いつかは現実を知るときがきます。その時までは…、子ども達の想像の世界を拡げ、想像力を培っておいてあげたいのです。

女の子の画像
Image from Adobe Stock

子どもたちはどの子も基本は純粋な存在です。周りの人達と同じ時間を共有しながら育っていく。
私は、子育てから卒業をしている今のこの時期だから時間に余裕ができています。文章にしてみて、こんな考えで子育てをしていたなぁ…と振り返り、その想いを踏まえて孫達に、私が考える「慈しみ」、そんな雫を贈ることもできているのだと実感します。
子育て真っ只中の時には、余裕もなく自分の感情コントロールも日常生活に流されて、とにかく必死に向き合っていた感覚を思い出します。

この思いから今考えると、祖父母のような一世代上の人達の目があったら、子育てにもっとゆとりがもてたのかなと思うこともあります。
サザエさんのような大家族だと、色々な時間感覚の視点をもつ大人の眼があって、子ども達はその雫を受け取りながらバランスを整えつつ成長していけるんだろうなと考えます。
私もまた核家族の中で育った為、祖父母のありがたさがあまりよくわからないままではあります。でも、この歳になって祖母の立場になって大家族の良さに気づけたように実感しています。

家族が並んでいる画像
Image from Adobe Stock

核家族がほとんどの今の時代、大人の目がたくさんあることはストレスだと感じることもあると思いますが、慈しむ気持ちのある大人たちから子どもに注げる愛情もあることもお伝えしたいなと思い、伝わりにくい部分もあったかと思いますが今回の記事に込めました。
今回も最後まで読んでいただいてありがとうございました。


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