課題の設定と改善~トヨタ自動車の場合~

課題解決能力の重要性は言わずもがな認識されているはず。ところがなかなかそれを養っていくのは難しい。

では、日本国内の企業ではどのようにしてその「考え方」、つまり「課題の見つけ方」を身につけさせるのか、を考えてみる。

今回参考にしたのは「トヨタ式5W1h」という本。この本によるとトヨタ自動車では「5W1H」という考え方を浸透させているという。「5W1H」というと「where」「when」「what」「why」「who」「How」が一般的だが、トヨタでは「Why」×5と「How」で構成される。これはどういうことか?

単純化して言うと、一つの問題が起こった場合、「なぜ(why)」を5回繰り返し、その根本的な問題を「どのように(How)」改善していくかを考えさせるというものだ。

一つ例を見てみる。

<問題点>人気商品なのに利益率が低い

<なぜ?~その1~「なぜ?」> ⇒ 競合が多い、飽きられた

<なぜ?~その2~「本当にそれだけ?」> ⇒ 不良品が多いらしい。

<なぜ?~その3~「不良品が多いのはなぜ?」>

⇒ 壊れやすいから仕方がない。 価格が高くても売れると盲信していた。

《改善策》壊れにくい商品へと改善 ⇒ 新目標:不良品の廃棄をゼロへ


このように1つの問題を深く掘り下げ、かつ要素ごとにその改善策をクリアにしていくというもの。考え方のスキルだ。

この課題の設定には大きな前提があるということには注意が必要かもしれない。それは「トヨタの社員である」ということ。それは「会社のために尽くす」「社会のために尽くす」という意識をあらかじめ持っている人たちの中での話ということ。これを公教育にそのまま持ち込むことは難しい。なぜなら、高校には希望して進学してきた子どもたちばかりではないからだ。

確かに子どもたちに活かせるものかを考えると少し難しいかもしれないが、考え方とその進め方には大いに示唆を得るものだ。そして、もし関心を持っている内容について深く追求するならば最善の手法になるかもしれない。

そういう意味では実践する価値は大いにある。将来、企業で働くことを考えている人にはぜひ使ってほしい課題の発見と改善方法の1つだ。

社会人や勤め先で困難にぶつかっている人はぜひ問題点をクリアにするために読まれてはどうだろうか。

『トヨタ式5W1H思考 カイゼン、イノベーションを生む究極の課題解決法』


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