サンバイザーばばあの横行に注意

　来た。この季節。サンバイザーばばあの季節。今日も快晴。サンバイザーばばあ警報。ママチャリに固定されたでっかい傘。Tシャツの下にはアームウォーマー。完全防備で紫外線と対峙する。

　サンバイザーばばあが現れるのは、私の住む地域だけかもしれない。割と個性の強い地区だし。紫外線対策は大切だとも思う。サンバイザーをつけた奥様全てがサンバイザーばばあになる訳でもない。

　彼女たちは紫外線から自分の身を守るためなら、人の迷惑など気にしない。私は思う。もっと気にするとこあるやろ、と。真っ直ぐに固定された傘の下、無理に入ろうとするため前屈みでチャリを漕ぐ。めくれ上がったTシャツからでっかい背中が覗いている。もっと気にするとこあるやろ。ズボンのゴムに乗った柔らかそうなお腹。浮腫んだ足首がパジャマかと思うほどペラペラのズボンの裾からチラリチラリ。何でなん。もっと気にしようよ。

　日に焼けたくない気持ちはわかる。いくつになっても女ですから。綺麗でいようとする努力は尊敬できる。でも、人に迷惑かけてまで紫外線を避けるよりも、もっと気にするとこあるやん。

　朝のスーパー。駐輪場にはサンバイザーばばあ。日陰は絶対譲りません。歩行者の邪魔になろうが、後ろの人とぶつかりそうになろうが。日陰にはサンバイザーばばあのコロニーが出来上がる。

　横断歩道の信号待ち。ここでもサンバイザーばばあ。どんなに邪魔になりそうな場所でも、日陰からは動きません。タイヤの大きいママチャリで。歩道が通せんぼされていようが、関係なし。紫外線に当たると溶けちゃうのかな。

　これから増えるサンバイザーばばあ。彼女達の人目を気にしない逞しさには、少し憧れるところもあるけれど。私ならもっと違うところに気を使うかな。気をつけて生きて行こう。