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4.

2階にはサム、ゼフィー、ジードの部屋がある。長のオーディンの部屋は3階だ。ディーンは2階の奥の部屋に通された。大きなベッド、少し疲れていたディーンはベッドに転がって目を閉じた。さっきまで多くの人に見られながら契約の儀を終えたことを思い出していた。そして自分があの程度のことで意識を失ったことを自嘲する。まだまだ精神力が足りないなぁ…と。
コンコン。誰かがノックした。ディーンにはそれが誰だかわかっていた。「どうぞ」そう声をかけるとゼフィーが入ってきた。「くると思っていました」「お見通しですか?」ゼフィーはそう言いながらディーンのそばまで来てベッドに座った。ディーンは半身を起こしてゼフィーに問うた「先程の続きですか?」と。「何でもお見通しなんですね」とクスッと笑うと、ディーンを押し倒して唇が触れるか触れないか、軽く口付けをした。「私の愛おしい人…」ゼフィーはそう言うと今度は深く激しく口付けをする。
ん…ふ…あっ…2人の吐息がもれる。
コンコン。誰かがノックする。ディーンにはそれが誰だかもわかっていた。ゼフィーを軽く押し離すと「どうぞ」といって呼吸を整える。入ってきたのはジードだった。入ってきたジードは驚いた。ゼフィーがディーンを組み敷いていたからだ。「もう手を出したのか?!」呆れるジードに「お前こそ何しにここへ?」と問う。「それは…オレのせいでこんなことになって申し訳ないと…」ジードは謝りに来たのだった。「ジード、あなたのせいではないですよ。私の精神力が弱いから…」そう言うと、ぽたぽたと涙がこぼれ落ちた。「ディーン…様?!」2人は驚いた。まさかこんなことで涙を流すなんて考えてもみなかった。「あ、やだぁ…こんなつもりじゃなかったのに…」ディーンは袖で涙をふきながら、涙目でジードに懇願する「少しの間、抱きしめていてもらえますか?」ジードはすぐにディーンを抱き上げるとゼフィーの横に座った。ディーンはジードに抱きしめてもらうと、少しホッとするのだった。
コンコン。3度ノックされた。今度はゼフィーが扉まで行って開けた。サムだった。それもディーンはわかっていた。「え?なんでゼフィーがいるの?」サムは困惑した。「ま、いいから入れ」ゼフィーはサムを部屋に引っ張り込んだ。強引に部屋に入れられたサムは、ジードがディーンを抱きしめてベッドに座っているのを見て、さらに何が起きているのかわからなくなった。「2人ともどういうこと?!」「どうと言われても……オレは夜這に、ジードは謝りに来て何でかこうなった」とゼフィーは苦笑した。「お前こそ何しに来た?」「えっ!えーと…ほらディーン様が倒れたのが心配だし…守護士になったからね、心身共に一緒だし…だから、あの…ねぇ?」サムはしどろもどろでゼフィーに答えた。「はぁん…お前も夜這いだな?」ゼフィーはニヤリと笑った。「バ、バカ!違うもん!!…ただちょっと大丈夫か気になっただけだよ!」ディーンはジードの腕の中でクスッと笑うと「今夜は4人で寝ましょうか?」と言って微笑んだ。
ディーンとサムを真ん中に、ディーンの横をジード、サムの横がゼフィーという形で寝ることにした。大きいベッドだが、流石に4人入るとギリギリだった。ジードはディーンを後ろから抱きしめていた。その方がディーンが安心できるからだ。
4人でベッドに入るとディーンは双子の兄上について語った。兄上には名前が無いこと。ディーンが覚醒している間は兄上が眠って、ディーンが眠りに入ると兄上が起きること。ディーンの覚醒している間は世界が始まり、その世界のバランスをとることがディーンの役目であること。兄上が起きると世界は滅亡し全ては無に帰すこと。
それから、ディーンには、シャイドとアシアンを含めた使徒が13人いること。彼らはディーンの仕事である『世界の安定』に共に務めていること。
話しておかないといけないことはまだまだあったが、ディーンは途中で寝てしまった。

朝一番に起きたのはジードだった。自分の腕の中で眠る愛おしい存在を確認すると微笑んでしまう。「朝からにやけるなよ」とゼフィーが言ったが、こんな幸せを味わったことがないのでつい微笑んでしまう。そう言うゼフィーとて、寝顔を見てるだけで幸せな気分になるのだった。そんな2人を後目に、サムはディーンにそっと口づけした。「あ!抜け駆けか?!」ゼフィーは後ろからサムを抱きしめた。「おい!静かにしろ!ディーン様が起きてしまうだろ。」ジードは小声で二人を制した。
ディーンは微睡みの中にいた。3人の会話も聞こえていた。そろそろ起きなければと思いつつも、この幸せな時間が永遠に続けばいいのにと思っていた。『でも、そろそろ起きないとなぁ…』目を開けて一番に飛び込んできたのはサムの元気な笑顔だった。「おはよう、サム」そう言ってサムに口付けをした。それからゼフィーにも軽く口付けした後、ジードに向き直して、首に手を回して唇がつきそうなほど間近で「おはよう、ジード…」と言ってとろけるような口付けをした。「ずるい〜!ジードだけ〜!」サムは駄々をこねた。「ふふっ。サムはさっき私に口付けをしたでしょ?」とディーンに言われサムは驚いた。「起きてらしたんですか?!」「微睡んでただけですから。それからゼフィーは昨晩私と…ね?だから、ジードだけしてないから」と言って微笑んだ。
「さ、オーディンが待ってるかもしれないので、下に降りましょうか。」と言ったディーンにジードは心配そうに聞いた「お体は大丈夫ですか?」と。「よく寝たおかげですっかり元気です。ジードのおかげですね。」そう言って微笑む。どこか空元気のような、痛々しさを感じるジードは、ついディーンを抱きしめてしまった。「大丈夫ですよ。3人がいてくれれば、心も体も元気になるんですよ。」そう言ってジードの背中をポンポンと叩いた。

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