2024年4月26日発売!
dZEROの4月新刊、
山口謠司著
『30歳からの漢詩エントリー――それは「どう生きるか」を考えること』
が発売されました!
書店さんによってはすでに数日前より店頭に並べていいただいております。
今回は「漢詩」をテーマにした書籍です。
著者紹介
内容紹介
目次
病に臥していた漱石
目次をご覧いただいくとわかるとおり、中国の漢詩だけでなく日本の文豪・夏目漱石や、経済学者であり活動家の河上肇の漢詩もとりあげています。では早速、ここで漱石の漢詩をひとつご紹介します。
無題
仰臥人如啞
黙然見大空
大空雲不動
終日杳相同
無題
床について、その人は話をすることもできないでいる。
黙ってただ、大空を見ているのだ。
大空で、雲は動かず。
一日中、暗く遥かなところにじっとある。
これ以外にもまだまだ漱石の漢詩が本書には載っています。
正岡子規との出会い、別れ。そしてそれが漱石の漢詩に大いに影響を与えたことなどのエピソードも添えて。漱石が洋行の際に受け取った子規からの手紙もたまりません。この想いを漱石は「漢詩」に昇華しています。
そして漱石の漢詩が遥か昔の中国の漢詩人たちに思いを寄せていることも本書からわかります。
陸游「莫 莫 莫」
続いて中国は南宋を代表する詩人、陸游の漢詩をどうぞ。
釵頭鳳(さとうほう)
春如旧
人空痩
涙痕紅浥鮫綃透
桃花落
閑池閣
山盟雖在
錦書難託
莫 莫 莫
(部分)
釵頭鳳
毎年、変わらずやってくる春。
それにしてもずいぶん痩せてしまったのではないですか。
あのときの悲しい別れ、あなたの涙が薄絹を濡らして、
艶めかしくも肌に透けていったことをいまさらながらに思いだします。
桃の花ももう散ってしまい、
池のなかに建つ東屋にももう人はありません。
あなたとの愛の誓いはこの胸のなかにあるとはいえ、
お手紙を差し上げることもできません。
ああ、どうすればいいのでしょうか。
「莫 莫 莫」、中国語では「モー、モー、モー」。
なんてキャッチーな詩でしょう。日本語での意味も「もう、どうしようもない」といった意味で、中国語がわからなくても心にスッと入ってくるような感覚になります。
しかしながら、このキャッチーさとは裏腹に本書に書かれている陸游の「もう、どうしようもない」と思い至るエピソードはとてもとても苦しいものです。
まとめ
上記二つの漢詩と、それを解説する文章を読んでいただけると、ただ技術的に漢詩を学ぶのではなく、漢詩が書かれた背景も一緒に読むことができます(終章には技術的なことも書かれています)。
そして、李白をはじめ、杜甫、陶淵明、周邦彦など他にさまざまな漢詩人の作品ものっています。
内容紹介の最後は山口先生の「はじめに」の言葉で終わりにしたいと思います。
装丁・装画
装丁:ニマユマ(大口典子)さん
装画:izizさん
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