ChatGPTの先に待っている世界
はじめに
こんにちは、dZEROのHKです。今回は、「AI一茶くん」を開発した人工知能研究者の川村秀憲さんの『ChatGPTの先に待っている世界』を紹介させていただきます。
富の偏在はどうなる? 労働は? 教育は?
概要
人工知能は社会の仕組みや人間の価値観にどのように影響を与えるのでしょうか。自ら考える自律的な人工知能は実現するのでしょうか。そのとき、人間に求められるものは? 人工知能とも人間とも「仲良く」なれる力を身につけるには? 第一線の人工知能研究者が「見えてきた」と語る近未来の「人と人工知能」の「協働」シナリオとは?
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著者紹介
著者は、人工知能研究者で北海道大学大学院情報科学研究院教授の川村秀憲さん。川村さんは1973年、北海道に生まれました。小学生時代からプログラムを書きはじめ、人工知能に興味を抱くようになります。同研究院で調和系工学研究室を主宰し、2017年9月より「AI一茶くん」の開発をスタート。ニューラルネットワーク、ディープラーニング、機械学習、ロボティクスなどの研究を続けながらベンチャー企業との連携も積極的に進めています。
この作品のポイントと名言
現代のパソコンに比べると、PC-8001の性能はとても低いものでしたが、当時小学生だった私にとっては、格好のおもちゃでした。(まえがき、p1)
そして現在、ChatGPTを含めた人工知能の性能はさらに劇的に向上していて、見方によっては恐怖すら覚えるほどです。しかし、ディープラーニングを含め人工知能の基礎となっている仕組みは、ものすごく複雑かというと、そうではありません。(まえがき、p6)
この会議の期間中、ダートマスには入れ代わり立ち代わり多くの研究者が集まり、人工知能の原理や応用について熱心に議論が行われました。このとき初めて人工知能という分野が生まれたのです。(序章、p22)
過度の期待が寄せられていたこの時期、人工知能技術が目標に対して未熟であり、多くの課題が残っていることが明らかとなりました。この人工知能に対する失望感から、研究資金が減少し、人工知能研究が一時的に停滞する「人工知能の冬」が訪れました。(序章、p25)
言語モデルは、人間のように自然言語を流暢に生成したり、その内容を処理したりすることができる人工知能のモデルです。この言語モデルを大規模に拡大し、膨大な学習を行わせてつくられたのがChatGPT です。(序章、p32)
コンピューター上でニューラルネットワークを模倣する際には、生物の神経細胞で発生している複雑な化学反応は省かれます。神経細胞が情報をやり取りし、相互に複雑につながっていることだけに着目し、これを単純化して模倣します。(第一章、p43)
ところで、そもそも私たちの脳はどのような仕組みで機能しているのでしょうか。それを知ることは、人工知能の「知能」とは何かを考えるうえで重要です。(第一章、p45)
それではそもそも「知能」とは何でしょうか。どのように定義したらいいのでしょうか。国語辞典を調べれば、言葉としての定義は示されています。しかし、どの辞典を見ても、「知能」が明確に定義されているようには思えません。(第二章、p57)
そのような自律的な知能を持つ人工知能こそが、人を超えて私たちが解決できない問題を解決できるものとして期待されるのです。(第二章、p61)
ChatGPTなどの大規模言語モデルは私たちが何を「美味しい」と言ってきたかを大量に学習していますが、実際に食べて美味しいと感じた経験はないですし、また美味しいと感じる本能もありません。(第二章、p71)
ChatGPTは完璧ではありません。学習データの偏りによる不適切な発言や、最新の情報に即座に対応できないといった問題があります。(第三章、p90)
人工知能を代表とするテクノロジーが爆発的な発展を遂げる新しい世界に向けて、私たちはいまの状況をどう理解し、何を考えていくべきなのでしょうか。(第三章、p107)
人工知能はすでに、人間が生きる現実の世界とのつながりを深め、リアルな世界へと足を踏み入れています。近い将来には、私たちのスマートフォンや家、さらにはビル全体が、人工知能によって制御されはじめるでしょう。(第三章、p115)
汎用型人工知能と特化型人工知能の関係を現代のテクノロジーに当てはめると、プラットフォームとアプリケーションのような関係といえます。(第四章、p127)
いずれにしても、いまと同じ世界が続くことはありません。私たちは、新たな時代に合わせて新たな価値を見出し、策を講じていくことになります。(第五章、p143)
人工知能は現時点でどこまで「知能」を獲得しているのか、今後、どこまで進化するのか、そしてそのことによってもたらされる脅威は何か。本章では、人工知能研究の現在を紹介しながら、人工知能がより進化した世界を考えてみたいと思います。(第六章、p160)
世界中の人々が利己的に、例えば金銭的な利益追求のために人工知能を開発し続けると、その結果として人工知能と人間が資源を争うような社会が生まれ、人工知能が人を滅ぼす世界になるかもしれません。(第六章、p185)
ここで問いたいのは、たとえ人工知能が星野さんと同じような花の絵を描くことができたとして、人々はその絵に価値を感じるかということです。(第七章、p193)
ところで、私たちは一茶くんが俳句を「詠む」とは表現はせず、一茶くんで俳句を「生成する」という表現を使っていますが、それには理由があります。(第七章、p203)
そもそも人間が仕事をする理由は何でしょうか。(第七章、p204)
その現実を受け入れたうえで「学び」の本質を思い出し、子どもたちにとって望ましい未来を考える必要があるのではないでしょうか。(第八章、p216)
人工知能のさらなる進化が社会のフレームをどのように変えるのか、それはまだはっきりとは見えません。しかし、少なくとも社会の枠組みが変わることは確かです。(第八章、p223)
人間と人工知能が共存することができれば、私たちはより豊かで幸せな生活を送ることができるのはほぼ間違いありません。では、共存するために必要なのは何でしょうか。(終章、p227)
一人一人が明確な価値観を持ちつつ、その多様性を社会全体が認めることです。価値観の違いによる対立などせずに、互いに妥協点を見つけながら社会全体のバランスを保つような未来を目指したいものです。(終章、p230)
本書ではディープラーニングや生成系人工知能の技術的な側面よりも、社会的なインパクトやこれから予想される影響について述べてきました。とくにChatGPT は驚くべき技術であり、これからの私たちの社会や価値観に大きな影響を与えていくと思います。(あとがき、p231)
私が幼いときに夢見た「自分たちでつくったプログラムの振る舞いが、自分たちの想像を超えていく」世界が実現しつつあります。(あとがき、p234)
dZERO HKのひとこと
ChatGPTが登場し、人工知能はどんどん発展していくのでしょう。そのとき、私たちの社会はどうなってしまうのでしょうか。人工知能がなかったことにはできないなら、どのように人工知能と付き合っていくかを考えた方がいいと思います。映画や小説では人間と対立しがちな人工知能ですが、現実ではそのようなことはなく、協働していけるようです。人間と人工知能が協働し、新しい価値観や社会を作り上げていく未来がとても楽しみになりました。
おまけ
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