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国立がん研究センターが肺がんを促進する受動喫煙の仕組みを特定

 たばこの煙で肺に炎症が起ることで、遺伝子に変異を起こす特定のタンパク質の働きが高まり、がん化を促すことがわかりました。良性腫瘍に作用して発がんリスクを高め、薬剤への耐性など悪性化にも関与しているようです。

 国立がん研究センター中央病院で、手術を受けた女性の肺がん患者約400人を対象に、受動喫煙歴と遺伝子変異の関連をゲノム解析で分析したところ、非喫煙者でも10代や30代に継続して受動喫煙の経験がある人は、非喫煙者に比べて遺伝子の変異数が約12%多かったそうです。

 研究チームは 「APOBEC」という遺伝子を傷つけるタンパク質に特徴的な変異をゲノム全体で確認しました。炎症により細胞で作られるこのタンパク質は、抗がん剤耐性など、予後不良の要因であることがわかっています。腫瘍形成に関わる遺伝子変異への影響は確認されず、受動喫煙は「すでにできた良性腫瘍でランダムな遺伝子変異を誘発させ、がん化と悪性化を促している」とみられているようです。

 受動喫煙は肺がんリスクを高めることが知られていますが、機序は解明されていませんでした。研究チームは男性にも同じ影響があるとみていて、今後は被験者数を増やし、子どもや大人に与える影響の違いなどを調べることとしています。

 他人のたばこの煙を吸うことで肺がんの発症リスクを高めることを知らなかった時代は、いつの間にか肺がんになっていた方もいたと思います。医学が発展している今、正しい情報を積極的に取り入れ、いつまでも健康でいられるよう身体のメンテナンスを心がけたいです。(H. S)
                                                                                                                                    
参照:日本経済新聞(2024年4月17日付)
日経電子版(2024年4月17日付)
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO80066850W4A410C2CT0000/
国立研究開発法人国立がん研究センター
https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2024/0416/index.html