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7年間担当してもらった理容師が3月に店を出す話

『俺の店 3月1日にグランドオープン決まったよ〜』

仕事中のお昼過ぎ頃の事だった。
唐突なLINEの通知がPCに映る。
半年前に東京から離れ、
地元の札幌に帰った彼からの連絡は
少し懐かしく感じた。



時を遡る事、7年前。

18歳の私はminimoで安くて自宅から近い美容室を探していて、理容室と美容室の違いも知らずに予約した。

その時に会った彼が、のちに札幌でお店を出す男で
その際はここまで長い付き合いになるとは思っていなかった。
当時の彼は専門卒業し 実務経験1年未満の理容師だった彼は、      
終始タメ口で私が上司なら『友達ですか?』と怒るレベル。
理容師としてというよりかは、社会人としてめちゃくちゃな人だった。

初めて切ってもらった時に、印象に残っている事は首をハサミで切られた事だ。
『痛っ』と感じた際に当時の彼は第一声に謝るのではなく『やべっ』と言っていた。
血がそれなりに出たにも関わらず、小さな絆創膏で処置された事を未だに根に持っている。

もう絶対に行くかと決め、店を出たが
自宅に帰ったところ、母の第一声が
『ここ最近で1番良いね!』だった。
それでも尚、私は母に首を切られた事を主張したが、
カットの出来自体は満足しており
まぁ、結果良ければ全てよしかと思い、その日を終えた。

その後も近い、安い、話が合う
で何となく通っていた。
今思えば初めてブリーチしてもらったのも、就活の時に相談を乗ってもらったのも、
定期的に7年間コミュニケーションを
取っていたのも彼しかいなかったのだ。
最後に切ってもらった日は、少し感動して少し多く払った。


そんな彼がついに2022年3月に
札幌に自分の店を出す。


やはり成功する人は
成長途中の実力で凹んだりしない。
ビジョンに向け、淡々と積み重ねるだけだ。

ただ、それを続けるのは難しい。
高校卒業した時に先生になる!と
言った者は、果たして叶えたのか。
専門卒業した時に業界で活躍する!と
言った者は、果たして残っているのか。


だからこそこの
自分のお店をグランドオープンという
少しダサい言い回しでも感慨深いのだ。


混沌とした世の中でも
彼の船出がどうか素晴らしくありますよう願うばかりだ。

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