【読書感想文】世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?
なぜ読んだのか
課題解決のためのデザインと、クリエイティビティの関係性についてモヤッとしたので。
本の内容
本書の序盤に下記のように書かれています。
本書の内容は、すべてこの短い回答の脚注に過ぎないということになります。
(中略)
これまでのような「分析」「論理」「理性」に軸足をおいた経営、いわば「サイエンス重視の意思決定」では、今日のように複雑で不安定な世界においてビジネスの舵取りをすることはできない
感想
心に刺さったところを連連と、
「論理的、理性的にシロクロがつかない問題」について、あくまで論理的かつ理性的に答えを出そうとすれば何が起きるでしょうか?答えは一つしかありません。それは「経営における意思決定の膠着と、その結果としてのビジネスの停滞」です。
ビジネスの世界では時間というのは競争資源ですから、これはいたずらに資源を浪費していることになってしまいます。
ここ一年でスクラムを初めて、直近はより少人数の意思決定の早いチームで働いているので、早いことのメリットは強く実感してます。
論理思考というのは「正解を出す技術」です。私たちは、物心ついた頃から、この「正解を出す技術」を鍛えられてきているわけですが、このような教育があまねく行き渡ったことによって発生しているのは、多くの人が正解に至る世界における「正解のコモディティ化」という問題です。
デザインとテクノロジーだけを拠り所にして実現された製品には、悲惨な末路しか待っていません。なぜならデザインとテクノロジーというのは、サイエンスの力によって容易、かつ徹底的にコピーすることが可能だからです。
参入障壁も無く、競合も多いToB SaaSを開発運用している身として、ユーザーヒアリング、競合分析を繰り返した先にあるのは、各社同じものが出来上がるだけなのでは?と考えることがあるのでとても腑に落ちた。
経営というものは「アート」と「サイエンス」と「クラフト」の混ざり合ったものになります。「アート」は、組織の創造性を後押しし、社会の展望を直感し、ステークホルダーをワクワクさせるようなビジョンを生み出します。「サイエンス」は、体系的な分析や評価を通じて、「アート」が生み出した予想やビジョンに、現実的な裏付けを与えます。そして「クラフト」は、地に足のついた経験や知識を元に、「アート」が生み出したビジョンを現実化するための実行力を生み出していきます。
「アート」と「サイエンス」や「クラフト」が主張を戦わせると、必ず「サイエンス」と「クラフト」が勝つからです。なぜなら「サイエンス」と「クラフト」が、非常にわかりやすいアカウンタビリティを持つ一方で、「アート」はアカウンタビリティを持てないからです。
「アート」と「サイエンス」と「クラフト」のバランスを取れる組織を目指していきたい所存です。
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