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オンラインリサーチ、手法あれこれ。

「Better Dicisions,Better Result」
(よりよい意思決定が、よりよい結果を生む)
というvisionを掲げています、Dynataです。

 そんなみなさまの意思決定にお役立ていただきたいのがリサーチ。

これまで、リサーチの前段についてお話をまとめてきました。
よかったらご覧ください。
オンラインリサーチをはじめよう(その1)そもそもの話。

これからは、さまざまな手法についてお伝えしたいと思います。

調査に必要なサンプル数の検討

ネットモニター調査において、どの程度の回収数を確保すればよいのかについて説明します。

全数調査 or サンプル調査

調査の対象となる集団全体のことを母集団と呼びます。
調査の対象の範囲を検討する際には、全数調査(悉皆調査:しっかいちょうさ)とサンプル調査(標本調査)の2種類があります。
全数調査は、母集団の全てを対象にして調べる方法で、サンプル調査は、母集団の一部を抽出して調べる方法です。
母集団の一部を抜きとることを標本抽出といい、抽出された集合体をサンプルといいます。

全数調査は、母集団の全てを対象にするため誤差なく正確な結果が得られる反面、母集団が大きい場合には膨大な費用や手間がかかるという欠点もあります。国勢調査や経済センサスなどが代表例です。その他に来場者や会員全てを対象とするようなケースもあります。

他方、サンプル調査は対象となるもの一部を調査して、全体を推定する方法であるため、全数調査に比べて手間や費用を省くことができます。
ただし、標本誤差が生じてしまうため、標本は偏りが生じないように選ぶ必要があります。母集団全てにアプローチできない場合に行われ、通常、ネットモニター調査はこのサンプル調査の方法が採用されます。

サンプル抽出について

一般に母集団からのサンプルの抽出にはいくつかの方法があります。

  • 単純任意抽出:調査対象を母集団から無作為に抽出する方法、最も基本的な方法

  • 属化抽出法:母集団を、いくつかの部分母集団(層化)に分割し、各部分母集団から標本を抽出する方法

  • クラスター抽出法(集落抽出法):母集団がいくつかの個体からなる「集落」から構成されている場合に、その集落を抽出し、集落内のすべての個体を調査する方法。

  • 多段抽出法:母集団をあらかじめいくつかの層(グループ)に分け、更に細分化して各層の中から必要な数の調査対象を無作為に抽出する方法

ネットモニター調査では登録モニターが調査対象であるため、どのような調査であっても母集団に合致しません。
そのため一般にこのような抽出による対象選定は行わず、登録されているモニターから対象となる母集団の特性に応じたターゲット設定やスクリーニング設問による対象設定が行われ、それによって母集団と近い対象や属性をターゲットにした調査が行われます。

他方で多くの市場調査では対象となる母集団を厳密に特定できないため、自己申告の登録情報に基づいたサンプル回収であるものの、ネットモニター調査は多様な対象をターゲットにすることが可能です。

サンプル調査に必要な回収数の検討

こちらはぜひ前回のお話をご参照ください。

分析に必要な回収数の検討

他方でアンケート調査では調査結果を属性等により分析すること、一般的にはクロス集計することが一般的であるため、実際の調査では上記より多くのサンプル数を回収します。
男女別、地域別、属性別といった軸での回答結果の集計・分析です。

そのため回収の割り付けを前提にしたサンプル数の検討が求められます。

例えば20から69歳の男女別のサンプル回収をする場合には、年齢階層5×男女2の合計10の回収セルを設定することになります。仮に各セル100の回収を見込む場合。回収数は1000になります。ここで各セル間の回答の差異が1の場合、1%として解釈されます。

他方でこれを各セル1000として合計10000回収とした場合には、回答の差異が1の場合、0.1%となり、より正確で厳密なデータ収集が可能となります。男女間、年齢階層間での違いもより正確に明らかにすることができます。

反対に回収数を各セル10、合計100として集計・分析すると、回答の差異が1の場合、0.1%となり、年齢間、男女間の差異は10%として解釈されます。

差異が1でも回収は10セルあるので、10倍。
母数が大きいほど、差異の影響は少なく、より正確なデータ収集が可能です

このようにネットモニター調査の回収数は、母集団の数と、分析に必要な回収数、2つの側面から検討します。

ターゲット設定

ネットモニター調査においては、通常、モニターとしての登録の際に様々な属性の登録が行われています。

例えば、
年齢
性別
国籍
婚姻歴
職業
業種・職種
年収
職位
その他には趣味やスポーツ、所有している物、例えば車や家、スマホなどについて、事前に登録されています。

属性が明確なので、例えば住宅販売の市場調査のターゲットとして、正社員(full-time-worker)で所得一定水準以上で、家を所有していない方…といったターゲティングをしてからの調査も可能です。

登録されている情報はネットモニター調査会社によって異なります。全ての事項について登録情報でターゲット設定できるとは限りませんし、属性情報は任意登録であることが多く、全ての人が対象ではない可能性にも留意が必要です。

例えば婚姻歴や所得などは匿名のモニターとしての登録とは言え、伝えたくない人もいます。そのためターゲティングした対象はモニターの全員ではなく、一部であるという点に留意が必要です。

事前のターゲティングをせずに、スクリーニング設問で対象を絞っていく方法もあります。
どちらが良いのかは、回収と費用の両方の観点から検討しましょう。

さらに登録されている情報の更新も重要です。年齢などは自動更新されるのかなど、リサーチ会社に確認したほうがよいでしょう。

属性を集計・分析に利用する場合は、最新の情報を確認するために、ターゲットに関する質問も調査票に入れることをおすすめします。

スクリーング設問

スクリーニング設問とは、本調査の前段においてターゲットを特定するため、および基本的な属性を問う設問を意味します。上記のターゲティングにおいて特定できないような場合においては、スクリーニング設問において対象者かどうかを確認します。

スクリーニング設問は一般的には10問程度以下にて設定することが通例です。性別、年齢、職業、業種、その他に調査対象を判断するための設問が設定されます。
たとえば、事前登録情報のターゲティングでは特定が難しいケースをご紹介しましょう。

  • 管理職で人の採用に関わっている人

  • 週三回以上は外食している人

  • 年に一回旅行に行く人

  • 新車を3-5年で買い換えている人

  • 化粧品に年間●万円以上使っている人

  • 転職回数が●回以上の人

このような対象者の母集団に関する統計情報は一般的にはなく、また全数特定もできないため母集団からのサンプル抽出は不可能です。

ですが、ネットモニター調査では、ターゲティングとスクリーニング設問により登録されているモニターから該当者を特定することが可能です。母集団の数は特定困難ですが、サンプルとしての属性は確保できるということです。

ただし、注意点をひとつ。
スクリーニング設問の設定です。
多くのモニター調査は、このスクリーニング設問と本調査が別になっており、例えば回答に対する報酬を主たる目的にしているモニターの場合、質問と選択肢から、本調査にすすめると想定される回答を意図的に選択する悪質なモニターも存在します。そのため、明らかに調査対象と判別できるような設問と選択肢は回避する必要があります。

その他では、二択よりは複数回答、複数回答よりは単一回答が好ましいです。また下記のように複数段階で特定すると、より正確に対象特定が可能となります。

OKの例 あなたが所属している部門について下記より一つ選んでください。

A.営業 B.企画 C.研究開発 D.総務 E.人事 F.アシスタント・秘書 
G.製造 H.サービス I.経営

上記で「E. 人事」と回答した方にうかがいます。
どのような業務を担当していますか、下記より1つ選んでください。

a.人事企画 b.給与・社会保障 c.定期・中途の採用 d.育成・研修 e.人事評価 f.労務管理

NGの例 あなたは会社で人の採用に携わっていますか。

A はい  B いいえ

スクリーニング設問より特定するターゲットはモニターの中にどの程度存在するのか、これは調査を実施しないと確認できません。
一般的には事前に先行調査や市場調査などを参考にして推定します。この対象となる層の割合を出現率(IR)と言います。
IRが低い場合、すなわちターゲット層が少ない場合。一般的には回収単価は一般に高くなります。

本日もたっぷりお読みいただきまして、ありがとうございました!
リサーチの回答者(サンプル)のデータベースをメンテナンスし、情報をアップデートしているDynataです。

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