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オンラインリサーチをはじめよう(その1)


オンライン上のモニター調査について

ネットモニター調査とは、インターネットの回線を利用してアンケート調査を行うことで、質問と回答データをブラウザを利用して送受信し、回答者はパソコン、スマートフォン、タブレットを通じてブラウザにてアンケートに回答する方法を意味します。

回答者はアンケート調査への実施・協力に対してインセンティブとして謝礼を受け取ります。インターネットの普及に応じて広く利用されるアンケート調査の方法で、現在の市場調査、マーケティングの中核的な情報収集の手段になっています。

オンラインリサーチは日本ではとてもさかんで、マーケティングリサーチの代表施策のひとつともいえます。
とはいえ、実際のところ、

「まだ導入したことがない」
「無料のツールもたくさんあるよね」
「どう依頼していいのかわからない」

などなど、比較的新しい手法だからこそ、みなさまのご不明点もあるのではないでしょうか。

「もっと知ってもらい」
「理解してもらい」
「ぜひ多くの皆様に活用していただきたい!」

…ということで、まずはちょっとためになる?オンラインリサーチについての一考をまとめたnoteをはじめました。

では、続きです。

ネットモニター調査は自社の登録モニターを通じて行うこともありますが、ネットモニター調査会社を通じて行うことが多いです。
ネットモニター調査には多くのモニターが登録されており、実施する者はそれらのモニターを対象にした調査を行います。
国内では現在、大手各社でモニター数は1000万人以上が登録されており、多様なテーマを対象にした調査の実施が可能です。

ではネットモニター調査はどのような特性があるのでしょうか? 

一つはターゲティングです。
例えば、正社員を対象にした住宅ローンに関する調査、10代、20代の女性を対象にした美容院利用に関する調査、スポーツ観戦をする人を対象にした調査、このような層を対象にした調査を行う場合、どのような方法が可能でしょうか。従来の書面形式の調査では対象者の住所はもちろん、属性がわかっていないので、適切な対象層にアプローチすることは、現場での配布と回収以外はほぼ現実的ではありません。

ネットモニター調査では各社において異なりますが、モニターとしての登録時に性別、年齢、家族構成、学歴、職種、勤務地、趣味、収入など、様々な属性を登録しているため、調査対象を特定しての調査が可能です。

二つ目は品質と回収スピードです。
ネットモニター調査では例えば選択肢を一つ選ぶ場合、複数を選択できないよう制御します。また、ある問を回答した方のみ回答を求める設問では、該当設問を回答していない方は除外します。書面調査ではこのような制御はできないため、どれか一つを選択する設問で複数回答した場合には、一つ目を正とする、あるいは全てエラー処理するなどのデータクリーニングが必要となります。
ネットモニター調査では基本的にはそのようなことを全て事前に制御するため、調査票に対応したデータの品質は確保されます。
また、実施から回収まで、例えば1000票の回収の場合、多くの場合、配信から数日以内に回収が可能です。書面調査では、印刷、封入、発送、回収まで数週間から一か月以上は要しますが、圧倒的に速いスピードでの回収が可能です。

そして三つめは国境を越えた調査も可能ということです。
( ↑ ここ、得意分野です。)

ネットモニター調査を運営する会社は国内の自社モニターの他、海外にもモニターを持っている場合や、あるいは提携会社を通じて海外のモニターにもアクセスが可能です。例えば、訪日経験がある観光客、日本製製品を所有・利用している購買層などへのアプローチも国内調査と同様のターゲティング、品質と回収スピードで行うことが可能です。従来の書面調査では、海外の調査は国内からの発信とコントロールはほぼ不可能でした。

さらにターゲット層の回収したい割り付けに応じた回収確保が可能であることです。書面調査の場合には事前のコントロールは不可能ですが、ネットモニター調査の場合、例えば年齢層、地理的状況に応じて事前に回収数を設定して、想定した回収数を確保するまで調査を継続することが可能です。
これにより、特定年齢層の回答か少ない、特定地域の回収数が少ないといったサンプルの偏りを回避することが可能です。

このようにネットモニター調査は、従来は行えなかった対象へのアプローチがインターネットを通じて可能で、国内外の市場調査、マーケティング、ブラントイメージ調査、商品開発リサーチ、潜在需要調査、満足度調査など、様々な場面で価値ある情報の収集が可能となります。

ネットモニター調査のメリットと限界

では、ネットモニター調査の利点と問題点、限界はどのようなものでしょうか。
まずはメリット(利点)をみてみましょう。

  • ターゲティング モニター登録時の属性により的確に調査対象にターゲティングでき、効果的かつ効率的な調査が可能です。

  • 回答の品質 事前の制御により誤った回答選択や不適切な回答を排除することが可能で、調査結果の品質か確保できます。

  • 回収スピード 書面調査では数週間から一か月以上要する配信から回収までの期間が約一週間以内に短縮されるなど、スピーディな調査が可能です。

  • 国境がない 国内は海外の対象者へのアクセスも可能で、国内調査と同様の調査が海外でも実施することが可能です。

  • 回収割り付けが設定可能 特定の年齢層、地域を設定したサンプル回収において特定層が極端に少なくなることを一定程度回避できます。

つぎに、限界といえる点を考えてみましょう。

  • 母集団とサンプル ネットモニター調査では様々対象にターゲティングすることが可能なのですが、該当する属性のモニターは母集団の全部ではなく、一部です。そのため母集団の数は別途に推定することが必要で、それに応じた適切なサンプル数の計算も必要です。アンケート調査は母集団の属性を把握するためのサンプル調査であることが通例で、サンプル数は母集団に応じて個別の検討が求められます。回収割り付けにおいては年齢層、性別、地域などへの配慮も必要です。なおネットモニター調査はモニター登録が任意であるため、どのような場合でも統計的な妥当性は確保できませんが、ネットモニター調査の普及と定着から品質は向上しており、確からしさは確実に担保できます。

  • 属性は任意登録 ネットモニター調査では登録時に様々な属性登録を行いますが全て任意です。そのため、性別、年齢、職業などを偽って登録した場合、当該モニターは本人の属性とは異なる内容でターゲティングされてしまうことがあります。医師、弁護士、会計士などの職業を偽って報酬を得ようとする者も存在しえます。

  • 報酬インセンティブ ネットモニター調査では回答に応じて報酬が支払われます。通常はスクリーニング設問から本調査に該当するターゲットを特定して調査が実施されますが、そのスクリーニング設問の内容から本問に行くことが可能な選択肢を意図的に選択して本問の回答権利を得ようとする報酬コレクターも僅かですが存在します。そのため例えば、スクリーニング設問で電車通勤をしている者を特定しようとする場合には以下の例のように、利用について〇×で聴取するのではなく、どの回答が本調査の対象であるのかが一読して判別できないように工夫します。例えば、質問の聞き方にも工夫が必要です。

よい質問例 
「あなたは通勤、通学、日常生活でどのような手段を利用していますか。主にあてはまるものを1つ選択してください」

1 徒歩  
2 バイク 
3 自転車 
4 電車 
5 バス 
6 タクシー 
7 自家用車 
8 その他

◆あまりよくない質問例 
「あなたは普段、電車通勤をしていますか」
1  はい  
2 いいえ

  • ネット利用者に限定 言うまでもなくネットモニター調査はインターネットを通じて行う調査であるため、パソコンやスマホなどのディバイスを所有していない方は対象になりません。その意味では全ての方ではなく、必然的に特定層を対象にした調査になってしまい、そのため母集団の特性の反映にも一定の限界があります。総務省によると2020年のインターネット利用率(個人)は83.4%となっていることから、大半の方は対象に入りうるのですが、テーマによっては対象にアプローチすることができず、調査できないものがある点には留意が必要です。

このようにネットモニター調査には利点と問題点、限界があります。市場調査、マーケティング調査は本来的には厳密性より確からしさが優先されることから、ネットモニター調査が広く普及・定着した現在では問題点、限界についても一定の策を講じればある程度の回避は可能です。

得られた調査の仮設に対する回答については概ね現実と大きなズレはないと考えて良いでしょう。

このように、一見、簡単に手軽に始めることができるように見えるオンラインリサーチ(ネットモニター調査)も、理解をしてから始めないと、誤った結果が出てしまうことがあります。

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dynata marketing&PR でした。



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