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生き残りを賭けた「アーチェリー」というマイナースポーツの戦い

7月26日、東京にてアーチェリー日本男子チームが史上初となる銅メダルを獲得しました。
対戦相手のオランダに同点に追いつく形で迎えたシュートオフ、世界中が固唾を飲んで見守るなか、日本の武藤弘樹選手が10点のド真ん中に矢を入れ日本の銅メダルが確定しました。河田悠希選手、古川高晴選手からつないだバトンが武藤選手に回ってきた時点で、彼に許されるのは最高点の10点のみ。それもオランダ選手が射った10点よりも中心を射たなければ日本は敗退、メダルを逃してしまうという場面でした。

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特に決め手となる最終射を放った武藤選手は大きな注目を浴び、3人はいまやテレビに新聞に、連日メディアに引っ張りだこ。続く個人戦での活躍にも大きな注目が向けられています。
ネットでは日本の劇的な勝利を伝えるニュースが飛び交い、SNSでは「メンタル強すぎ」「鳥肌立った!」「カッコよかった!」という声とともに「アーチェリーって楽しそう!」「自分もやってみたい!」という声も多く見られました。

「アーチェリーをやってみたい!」と思ったとき、まず何をしたらいいのでしょうか?
おそらく、この記事をお読みの少なくない方がすでにアーチェリーをやっている、またはアーチェリーの経験がある方なのではないでしょうか。
では、こう言い換えましょう。

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“周囲の人から「アーチェリーをやってみたいんだけど、どうしたらいい?」と聞かれたとき、あなたは何と答えますか?”

とりあえずアーチェリー場に連れていく? 初心者教室を紹介する? それともLINEでプロショップの地図を送ってあげる?

どれも良い選択だと思います。
しかし、アーチェリーをやったことのある人なら、
「アーチェリー場はどこにでもある施設ではないこと」
「初心者教室はいつでもどこでも受けられるわけではないこと」
「気軽に通えるプロショップが生活圏内にあるとは限らないこと」

も知っていることでしょう。
場合によっては隣県まで行って、なおかつ、あなたや他の誰かがつきっきりで教えてあげる必要があるかもしれません。

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現在、日本人がアーチェリーを始めるにあたって最も一般的なファーストコンタクトは何といっても部活動です。
全国の中学、高校、大学では多くの生徒・学生がアーチェリーに取り組んでいます。
しかし、社会人になっても競技を続ける選手はごくわずかです

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実は日本のアーチェリーにはプロ制度というものがなく、競技専業の選手はほぼ皆無と言って良い状況です。
いくつかの企業がもっている実業団チームの選手を除き、または彼らも含め、選手たちは会社や学校に通いながら全国大会や世界大会に出場しています。五輪に出場するトップ中のトップも例外ではありません

そうした状況の背景にはアーチェリー選手のマネタイズの難しさがあります。
海外では大会の賞金やスポンサー企業から受け取る収入が年間1,000万円を超える選手もいる一方、日本では賞金が出る大会は存在せず、アーチェリーに出資している企業もごくわずかで、多くの選手が自身の休日や貯蓄を使って練習や遠征に行きます
仕事や学業と競技の両立は並大抵の苦労ではありませんし、選手自身の生活や資金面に大きな負担がのしかかります。

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また、企業側の視点に立ってみても、アーチェリー選手に出資するメリットが見出しにくいという面があります。全日本ターゲット選手権が地上波で生中継されることもありませんし、アーチェリー選手にCMでハムを食べさせたり最新ウェアを着せてみたり、あるいは高級マットレスで熟睡させてみたところで、御社の商品が大ヒットするとはお約束できません。少なくとも現状では。

このように、他の多くのメジャースポーツ、あるいは近年のフィギュアスケートや体操、ラグビー等とは違い、多くの企業にとってアーチェリーはビジネスパートナーとして魅力的な存在とはみなされていません。
「食っていけないから」
そうして数え切れないほど大勢の選手たちが志半ばで弓を置いてきました。

みりょく

私たちは今年、SUMMER SHOOT’21<サマーシュート ニーイチ>というイベントを開催します。第一回サマーシュートは昨年、「新型コロナウィルス感染症の影響で活躍の場を奪われた学生に集大成の舞台を」という理念のもと、有志による全国大会として開催されました。
反面今年は、昨年中止に追い込まれた多くの全国大会が、多くの制約を受けつつも無事に開催されてきました。

では今年の開催意義は?
私たちは再び何をしようとしているのか?

私たちの願いはただひとつです。

“アーチェリーを日本の人気スポーツに”

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アーチェリーの魅力を広く知ってもらいたい。
アーチェリーの楽しさや、トップで戦う選手のすごさを感じてもらいたい
と、私たちは考えています。
サマーシュートはそうした目標に近づくための、実験的試みでもあります。

従来の緊張感あふれる淡々とした競技会とは別に、
エンターテインメント体験としてシンプルにアーチェリーを楽しむ「場」を提供します。
選考点もバッジ取得も必要ありません。
会場には初めてアーチェリーに触れる人に向けた体験ブースを設置、
さらに全国から名店たちがフードトラックで集まり、選手や応援の家族、観客が至高のグルメを楽しむことができます。
新聞やテレビ、サポーター企業を募集し、会場でCMも流します。パンフレットやゼッケンに広告も打ちます。

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第一線で活躍する日本代表選手たちを招致し、参加者には彼らと同じステージで弓を引いてもらいます。講演会では気になることをたくさん質問してみてください。
憧れのあの選手にサインもお願いできるかもしれませんね。

テレビをつければ世界に誇る日本のアーチェリー選手たちが出ていて、買い物に出かければ大きな広告が掲げられている未来。
選手本人が街中を歩けばサインや記念撮影をねだられる未来。
ジョークだとお思いでしょうか。
でも私たちは、彼らがそれ相応の扱いを受けるべき人たちであると本気で考えています

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私たちはサマーシュート等イベントの運営のほか、アーチェリー用品メーカーDYNASTY<ダイナスティ>として弓具の開発・販売事業をおこなっています。
ホビーとして取り組む方から世界の表彰台を目指す選手まで、皆さまに喜んでいただける製品を届けるべく邁進しています。
また、国内外で活躍するトップ選手たちと独自の契約を締結し、国内で先駆けて大会成績に応じた報奨金の授与をしています。

同時に、メーカーの立ち上げに先んじて設置したYouTubeチャンネル、Unitube<ユニチューブ>にてアーチェリーの楽しさを発信中です。
DYNASTYウェブサイトでは全国に点在するアーチェリー場を一挙にご紹介しています。このページも、情報を寄せていただいた皆さま、掲載アーチェリー場の皆さまのご協力があって初めて実現したものです。

イベントやYouTube動画でアーチェリーに興味をもってくれたみなさんが気軽にアーチェリーを楽しむことができるように、また、普及活動や運営に尽力いただいている皆さまの活動をサポートできるように、私たちも一層の努力を続けて参ります。

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アーチェリーをスポーツビジネスの世界に引き込むことに抵抗を感じる方もいらっしゃると思います。プロアマ関係なく選手みながフェアに腕を競うアーチェリーの素晴らしさ、ビジネスではなくアーチェリーが好きだからやるという純粋さ。
紳士淑女のスポーツとして生まれ発展してきた美しさも理解しているつもりです。
それでも私たちは言い続けます。

アーチェリーを日本の人気スポーツにしたい。


アーチェリーが好きだから。このスポーツが途絶えることなく、次の世代に続いていくために

今夏には普及活動に的を絞ったNPO法人 JAS(Japan Archery Syndicate)を設立しました。私たちの活動にご賛同いただけるサポーター様を募集しております。また、記事を読んで、

アーチェリー選手をサポートしたいという企業様、サポーター様がいらっしゃいましたらぜひ私どもまでご連絡ください。

ご相談、選手とのコンタクト、マッチングのお手伝いをさせていただきます。(すでに2社問い合わせをいただいております)

まだ歩き始めたばかりで覚束ない私たちの足取りですが、見守っていただけますと幸いです。
応援いただいている皆さま、いつも本当にありがとうございます。
そして、今後ともよろしくお願いいたします。


【大会公式HP】SUMEER SHOOT'21 笑ってアーチェリーしよう。https://www.japan-archery-s.com/
【クラウドファンディング】今年は世界が相手! パワーアップしたSUMMER SHOOT'21 - うぶごえ https://ubgoe.com/projects/34

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