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【レビュー】Rise of the Roninに見る快適さ≠面白さ

難易度:宵闇
研ぎ方:無研ぎ
メイン武器:素手
サブクエは因縁ミッションは全部やった。無縁の強者も全員倒した。

77点

減点を避けるデザイン、だが加点できるポイントも少ない。

アクションはまあまあ楽しい。ただ期待していたより大味で、難易度は低い印象。強い技とか好きな技とかガンガン使って気持ちよく戦ってねっていうデザイン。モーションは過去作Wo Longや仁王と比べるとモーションキャンセルができないor受付が遅いことがあるので微妙にテンポが遅いと感じた(なお、自分がクリアした後、一部アクションが早くキャンセル出来るように修正パッチがあった。修正後はプレイしていないので知らない)。
サブクエやってるとレベル上がりすぎて難易度がどんどん下がる。かと言ってサブクエやらないのは登場人物への理解度が下がる。途中からスキルポイント余ってたけどスキル取得を避けた。無研ぎを選択しても難しいのは序盤のみ。システムはソウルライク的な死にゲーみたいだが、実際は気軽にできるアクションゲーム寄りだと感じた。
ちなみに武器種や流派は多彩だが使い分ける必要性は感じなかった。まあ私は素手メインだったので、複数武器を使いこなした人から見るといやいや流派切り替え奥深いよとか思うのかもしれない。

オープンワールドのデザインは退屈。基本的にマップに表示されるアクティビティに走って戦って終わり。オートラン機能や自動アイテム拾い機能があるので移動は操作不要で快適。だが同時にオープンワールドを冒険する楽しみは薄い。いや、薄いからこそ様々なサポート機能でストレスを排除したのだろう。オートラン機能を搭載しているのは、手探りで冒険して楽しいゲームではないと開発者自身が判断したからだ。マイナスをゼロにする判断ができたのは偉い。逆に、冒険を楽しめるゲームだと開発者が思っていればオートラン機能をつけることはない。過程にコンテンツが無ければスキップ機能はあるべきで、コンテンツが有れば当然スキップするべきではないのだ。そこを考慮せずに、スキップがない=古典的だと言うようになってしまうと、今後のゲームは視覚的にわかりやすい戦闘シーンばかりが連続することになるだろう。

ストーリーはかなり悪い。ある人物を暗殺しに行って失敗(顔を隠さないので普通に顔を見られつつ)、その後、暗殺対象と再会した際には「お前はあの時の」と覚えているのに「お前の腕前を見込んで協力してほしい」とか言い出す。こんな感じのことが沢山ある。主人公が無条件に信頼される支離滅裂さをスルーできないと物語に集中できない
ファスト幕末と言えるスピードで物語が展開するため、人物描写が薄い。攘夷浪士たちの言動から「吉田松陰という人物を信頼している」という事実はわかるが「なぜ信頼しているのか」「吉田松陰は信頼に足る人物なのか」という背景描写が足りない。このゲームは感情移入できるかどうかがプレイヤーの知識量に依存している。つまり、ゲーム内で不足している背景をプレイヤー側で補えれば、吉田松陰のために戦うぞと意気込む攘夷浪士に共感できる。海外メディアからの評価が低いのは必然だ。その補完ができないのだから。
分岐があるように見せかけてほぼ無い。大筋は史実通りに進むので、倒幕派に協力しても史実で負けてたら負ける。敵のトップを倒した後のムービーシーンで味方のトップが切腹していた。理由はよくわからない。

Rise of the Roninの一番の見どころはオートランやアイテム自動売却といった機能の快適さであろう。それがもたらすテンポの良さによってクリア率も高そうだ。goodかbadかボタンを押せと言われたらgoodを押すだろう。だが、点数をつけろと言われたら名作以上の点数にはならないだろう。マイナスを無くす快適さはあるが、プラスになる面白さが少ないからだ。Uberが料理を配達してくれることは快適だが、それは料理の味とは直接関係ない。快適に食べられるけど薄味、それがRise of the Roninだ。


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