見出し画像

悪いバリデーターを捕まえろ! dYdXがSkip Protocolと共同でバリデーターの不正を明らかにするダッシュボードを開発

要約

  • MEV抽出を防ぐために、Skip Protocolは各バリデーターが抽出できるMEVの量を示すダッシュボードを開発しました。バリデーターにデリゲートする前にぜひチェックしてみてください!

  • dYdX Trading Inc.(「dYdXトレーディング」)の研究チームは、パブリックテストネット上に「悪いバリデーター」を意図的にデプロイし、ブロック提案者として行動する際に全ての適格な注文に対して、サンドイッチ攻撃(他のユーザーの注文を見てから自ら大量の注文を出した後で売り注文を行うことで不公平に利益を得る行為)を仕掛けました。

  • ダッシュボードは、「悪いバリデーター」の不正な行動を明らかにします。それは以下のスクリーンショットの緑色の線で表示されます。

  • dYdX Tradingは、MEV抽出を抑止するためのオープンソースのメカニズムとプロトコルレベルのデザインを構築することに専念しています。

どうやってユーザーに害を与えるMEVを防ぐか?

MEV抽出は、公平で透明なトレーディング環境を阻害するため、受け入れることはできません。以前のブログで我々は、dYdXチェーンにおいて、注文が執行される前にインメモリオーダーブックに保管されることから、バリデーターがMEV抽出をすることができることを説明しました。MEV(Maximal Extractable Value)は、不誠実なバリデーターが注文・キャンセルの状況を検閲または順序変更することで不当に得る利益を指します。これはトレーダーにとって好ましくない状況を作ります。注文がベストな価格で執行できなかったりキャンセルが無視されたりするからです。

バリデーターの悪意を持った行動を防ぐため、dYdX TradingはSkip Protocolと共同でダッシュボードを作りました。これによって各バリデーターがどのくらいMEV抽出をしていたかが分かります。MEV抽出の量は、ブロック提案をするバリデーターと正直なノードの注文板の情報を比較して推測します。このデータを使うことで、dYdXコミュニティは、バリデーターによる悪意を持った行動を罰することができます。

また、バリデーターにトークンを委任するデリゲーターは、どのバリデーターにデリゲートをするかの意思決定をする際にダッシュボードを参考にできます。

悪いバリデーターを特定

パブリックテストネットの間、dYdXトレーディングのリサーチチームはサンドイッチ攻撃を行う「悪いバリデータ(dydx-research)」を意図的に立ち上げました。緑の線は、このバリデーターの注文板と正直なノードの注文板との乖離の積み重ねを示しています。他のパブリックテストネット参加者より大きく乖離しているのが分かります。

しかし、取引板との乖離がないからといってバリデーターがいつも正直であるとは限りません。他のバリデーターとどのような関係にあるかによって、ネットワークのレイテンシーなどが乖離具合に影響を与える可能性があります。バランスを取るため、我々は取引量によって乖離具合を示すメトリックを標準化しました。

どのバリデーターがMEV抽出をしているかどうかを決めるのはアートの世界と言えます。一部の稀な出来事に注目するのではなく、バリデーターの行為を長期目線で他のバリデーターとの比較の中で観察することをお勧めします。

次の展開は?

今後、ダッシュボードはアップデートされることになります。次のアップデートでは、ネットワークのノイズに対応する予定です。ノード間の取引板の乖離を測るためにMEVをもっと確実に発見するためのツールができる予定です。透明性と信頼の向上のため、MEVを発見するための仕組みづくりをプロトコルレベルでも検討し続けます。とりわけ、Vote ExtensionsやTrusted Executation Environmentといったアイデアを使ってプロトコルレベルでMEVを排除する方法を模索しています。

MEV抽出に対抗するための取り組みについて、今後の発表を楽しみにしてください。

Appendix

MEVの計測

悪意のある行動を計測するために、我々は「取引板乖離メトリック」を作りMEV抽出量を推測できるようにしました。不誠実なバリデーターが注文のマッチングを操作して他人の口座を犠牲に特定の口座を利する事態を防ぐことが目的です。悪意ある行動によって、口座間のPnL(利益と損失)に差が生まれてしまいます。全てが正直なバリデーターの場合には起こり得ない事態です。

以下の例を見てみましょう。

2つの注文AとBがあります。

A: 100を101ドルで売る
B: 100を99ドルで買う
ブロックにおいては
C: 100を102ドルで買う注文が存在

正直なバリデーターは、Aの売り注文をCの買い注文とマッチングします。このマッチングによって最終的な価格は101ドルになります。

しかし、不誠実なバリデーターは、自らの注文を間に差し込み、Cに対して102ドルで売りAから101ドルで買います。これによってこのバリデーターは不正な利益を獲得し、Cは本来より高い価格を支払うことになります。

全てのブロックにおいて、ノードとバリデーターは、ブロック提案者の注文マッチングが他のネットワークで観察されたものとどう異なるのかを記録します。Skip Protocolのノードは、ダッシュボード向けにデータを集めてオープンソース化します。誰もが計算できるようになるので、ご確認ください。

公式の「取引板乖離メトリック」の定義についてのさらなる詳細は、今後発表するホワイトペーパーで明らかになります。

メトリックの計算式

MEVのメトリックは、以下のように定義されます。

メトリックや計算方法に関する詳細はこちらです。

免責事項

dYdX トレーディングはSkip Protocolと一部の問題解決のために協業しましたが、両社には一切の関係がありません。dYdXトレーディングは、第3者がこのブログや関連リンクを使うことで生じるどんな行動にも責任を持ちません。

*上記はdYdX Tradingのブログ「Catching a Bad Validator」を翻訳・編集したものです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?