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「資本論」を読んでから「売上最小化、利益最大化の法則」を読む

マルクス著の「資本論」を読んだあとに木下勝寿氏の「売上最小化、利益最大化の法則」を読むとどうなるだろうか?

資本論はカール・マルクスによって書かれた本である。マルクスは1800年代のドイツで生まれ、当時の過酷な労働環境を目の当たりにし、労働者の惨状を変えるべく革命家として活動をしていた。また過酷な労働環境を解き明かすべく、資本主義のメカニズムについても研究し、フリードリッヒ・エンゲルスとともに、資本論を執筆しました。

売上最小化、利益最大化の法則は北の達人コーポレーションの木下 勝寿氏によって書かれ、アマゾンでは星4.4、880の評価が投稿されている書籍です。

資本論を読んだあとに、売上最小化、利益最大化の法則を読むとどう感じでしょうか?資本論は3巻ありますが、初学者でもあり1巻を対象とした下記の書籍を拝読いたしました。

資本論では、商品と交換から資本による市場の形成というある種、人間中心の市場観ではなく、商品を起点としたメカニズムで市場を捉えます。普段、我々が何か事業を考えたり、仕事について考えるさいに、自分・組織・会社を中心に考えて、市場の力は人間によって制御できる感覚になります。しかし、それは偏った(ときには誤った)見方ではないかということを示唆します。
そのような示唆を意識して、資本主義の考えを前提とした本を読むとどう感じるかを試したものです。では、読んだ中で印象に残った点をいくつか上げますと、

「無収入寿命」を長くする

売上最小化、利益最大化の法則
  • 資本家の特別剰余価値を最大化する動きとは反している

  • 関心事が利潤を追求することから、会社を存続することへと変わっている

  • 資本に対する経営者および労働者からの信頼を獲得する動きをしている

売上最小化、利益最大化の法則では収入がない状態でも、従業員の給与や家賃などを払える状況(無収入寿命)を作ることを重視しています。資本の活動による利益を得ることを最優先するならば、2年の無収入寿命は過剰ですが会社の存続を重視する価値観になっています。現代では、資本家の価値観にはバリエーションがあることを感じます。

最終的に「売上」ではなく「利益」につながっているかだ

売上最小化、利益最大化の法則
  • 剰余価値の追求をしている

  • 資本に取り入れた商品が価値に貢献しないものがある

無収入寿命と代わって、この文章では利益の追求という資本家らしい表現になっています。一方で、売上を最重要視しない点で、大量販売による利潤追求ではないことを示しています。また、資本家が購入し、資本に取り入れた商品が利潤を産まない(トントンかマイナス)ため、当然ですが資本の蓄積は単純ではないことでもあります。

ライバルがいないので、競争コストがかからず、利益率は高くなる。

売上最小化、利益最大化の法則
  • より多く売るため個別的価値を社会的価値より下げる必要がない

  • 生産力の過剰な向上を引き起こさない

資本論から離れますが、差別化戦略になります。差別化戦略によって、値下げによって販売優位になる必要がありません。
また、生産効率化→大量生産→値下げで大量販売の流れが発生しないため、過剰な生産力へと陥らない面があります。

売上最小化、利益最大化の法則のタイトルに対して、資本論における資本家像と一致するものの一部異なる考え方を読み取れたことは面白かったです。
資本論自体、難解で理解できたか怪しく、2巻3巻相当部分も読めていないので、理解が深まるとまた違った発見があるかもしれません。

参考

図表も多く、とても読みやすいです

約550ページで文字がぎっしりの大ボリューム。一度では理解できないので、2回は読むので実質1,100ページでお得です。

わかりやすくコンパクトにまとめられています。事前インプットにおすすめです。

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