DXD 常滑ツアー レポ(第二回OB会(TAKIBIKAI)スピンオフ企画)
Reported by 伊藤紀雄(NES)
今回の参加メンバー
・常滑駅集合組 4名
・現地集合組 4名
・運営組 4名
何故常滑ツアーが企画されたか?
きっかけはDXDキャンプ修了生同窓会
今回の常滑ツアーはDXDキャンプ5期修了生のSさん(LIXIL ビジネスインキュベーションセンター所属)の提案で実現された企画です。
2024年5月10日に開催された「DXDキャンプ修了生同窓会」の準備中にコクヨさんとSさんとの間で交わされた何気ない会話から「常滑ツアー by2024実行委員会」が結成され、今回のイベントが実現されました。
何故常滑なのか?
常滑は、瀬戸、信楽、越前、丹波、備前と並ぶ日本六古窯のひとつで、鈴木さんが勤めている会社「LIXIL」の前身のひとつ「INAX」の創業地です。
INAXは1887年に創業者の土管作りから始まり、陶器を中心とした事業を展開していきます。トイレや洗面器などの衛生陶器はTOTOとINAXで国内シェア90%を占めており、タイルに至っては世界最大のメーカーだそうです。
2011年に事業統合してLIXILになった今もINAXの名前はブランドとして残っており、その歴史やモノづくり体験を「INAXライブミュージアム」にて楽しむことが出来ます。
今回はその「INAXライブミュージアム」と焼き物の街常滑をDXDメンバーで訪問し、焼き物を通してメンバー同士の関係を深めよう!ということになりました。
常滑はどんなところ?
常滑は名古屋から南へ約40キロほどの距離にあり、公共交通機関では名古屋鉄道常滑線の特急であれば名古屋駅から30分位で行けるところにあります。
東海地区の空の玄関口である中部国際空港「セントレア」が常滑にあるので、飛行機使って訪れる方はよく通過する地区です。ギャンブルが好きな人は常滑競艇場で有名かもしれません。SONY創業者のひとり「盛田昭夫」さんの生家である「盛田酒造」も常滑市にあります。
常滑市は伊勢湾に面したのどかな街であり古くから漁業が盛んでした。
焼き物が作られるようになったのは平安時代後期だそうです。
常滑市を含む愛知県西部は300万年程前に「東海湖」という今の琵琶湖の6倍もある巨大な湖の底だったらしく、湖に堆積した良質な粘土が豊富に取れたことが常滑市で焼き物が盛んになった理由のひとつだそうです。
今回のツアーで訪れた場所
INAXライブミュージアム
窯のある広場・資料館
実際に使われていた窯を中と外から見学できます。
不思議なのは、窯の下に煙を逃がす通路があり、その通路経由で窯の外にある煙突から煙が逃げていく構造になっていること。煙は上に上がっていくものだと思っていたのでどうやって下に逃げていくのか不思議です。
あと所々窯の横壁にゴルフボール大の穴が開いているのですがこれは何だろう(空気を取り入れる穴ですかね?)。この穴から火が噴き出てこないか心配になります。
火は窯の両サイドの壁あたりから燃焼させるっぽいです。
土・どろんこ館
中に入ると沢山の親子が何かを作っていました。
ここでは「ひかるどろんこだまづくり」や「土のパステルづくり」を体験できるみたいです。
建物の内装も凝っています。壁が積四角いレンガだけでなく、竹細工の様な組み方だったり・・・。写真は撮れていませんがトイレもINAXらしいカラフルなタイルで彩られていました。
この館の前には建築家黒川紀章さんが手がけた「中銀カプセルタワービル」のひと部屋がおいてあり、外から部屋の中を覗くことができます。
この部屋のユニットバスの製造にINAXが携わっていたそうです。
建築陶器のはじまり館
「帝国ホテル旧本館(ライト館)のレンガやテコラッタは常滑で作られたそうです。20世紀の建築界の巨匠フランク・ロイド・ライトが帝国ホテルの建設で使う理想のレンガの原材料を追い求めた結果、常滑に行きついたとのこと。その後「帝国ホテル煉瓦製作所」が常滑に建てられた際、当時土管製造を営んでいた伊奈初之烝さん(後のINAX創業者)とその息子がこの工場の技術指導の顧問として招かれました。伊那さんは土管製造技術をこのレンガ製造に惜しみなく注いだそうです。
後にこの工場設備と従業員はINAXの前身である伊奈製陶株式会社に引き継がれていきます。
建物の外には色々なテコラッタを飾ったテコラッタパークも見学できます。ここに展示されている顔型のテコラッタはどれも海外の悪魔や鬼の様な顔が多くて「なぜだろう・・・」と思ってしまいますね。
魔除けの類ですかねぇ。どの顔も睨まれている様に見えます。
世界のタイル博物館
世界の装飾タイルを展示しています。
5500年前のメソポタミアのクレイペグからはじまり、エジプトやイスラムのタイル空間、ヨーロッパの装飾タイル、そして風呂屋に代表されるような日本のタイル文化についても展示されています。こうやってみるとタイルはアートの世界だなと感じますね。冗談混じりでタイルに企画書書いてプレゼンするイメージを思い描いてみましたが、体力的にキツいプレゼンになりそうです(笑)。
ミュージアムショップ
花瓶や皿など色々な焼き物やデザインタイルの他、焼き物に関する書籍などを販売しています。ここでは「トイレの最中」というお菓子が衝撃的です。最中の皮で出来たトイレの中に上から黒い餡子を流し込んで食べるっぽい。
写真は「大蔵餅」通販ページから借用させて頂きました。
気になる方はここから購入できます(笑)。
ここに商品説明の記事もあります。
常滑やきもの散歩道
今回の神明社からスタートし、陶磁器会館目指して歩きました。体力温存のため神明社まではタクシーでの移動です。
ゴールまでの散策は途中、展示工房館や土木坂の休憩所に立ち寄っても片道1時間ちょっとあれば散策できるのではないでしょうか。散策路には古民家を使ったカフェが何軒もあるので灼熱の真夏でも休憩しながら散策出来そうです。全てがっつり見て回るのであれば2時間半くらいは確保しておいた方がいいかもしれません。
散策路のあちこちに猫をはじめとする動物や謎のオブジェがありますので探しながらの散策も楽しいですね。
登窯
展示工房館
土管坂
その他街の雰囲気
街のあちこちで見かける猫たち
常滑市は招き猫の生産量日本一らしいですね。
散策道や駅周辺のあちこちで招き猫を中心とした様々な猫の焼き物を見ることができます。駅と散策道の間には「とこなめ招き猫通り」という歩道があり、色々なテーマで作られた猫が壁に張り付いています。巨大な招き猫「とこにゃん」もここで見ることができます。
可愛らしい猫たちを探しながら散策するのは楽しいです。
聖地巡礼?!
陶磁器会館のレジ前にポスター貼ってあったのですが「泣きたい私は猫を被る」という常滑市を舞台にしたアニメ映画があるそうです。常滑市から「「泣きたい私は猫をかぶる」ロケ地探訪マップ」も公開されています。今回の散策路が結構ロケ地になっているようです。映画見たあと再び訪れたら新しい発見があるかもしれませんね。
今回のツアー参加で得られたもの
INAXは水セキュリティ事業の先駆者
環境問題やネイチャーポジティブでも水問題、特に水セキュリティに関する課題が出て来ます。蛇口を捻れば綺麗な水が出て、洗い物や入浴などで汚れた水は生活圏から自動的に排出されるインフラは日本ではもう当たり前ですが、世界からみればそれは決して当たり前ではないところも。
LIXILは土管製造から100年以上も続けた水回りを中心とした環境開発により、個人の快適な住生活、社会の衛生環境向上に貢献してきた先駆者ですね。それは日本国内だけでなくグローバル、例えば発展途上国向けの衛生ソリューションやリサイクルシャワーなど、本当に必要としている地域に安心安全そして快適な価値を提供し続けたこともあって、環境への影響に関する情報を開示する国際NGOの「CDP」から「水セキュリティ」に対するAリスト企業として最高評価を頂けたのだと思います。
新規事業やプロダクトを考えている人の話は楽しい
今回の参加者とはINAXライブミュージアム内のレストランや「CAFE & ZAKKA ni:no」、その後の懇親会で色々な会話を楽しむことができました。
今回はコクヨの方からお話を聞いたのですが、一見イノベーションの余地の無さそうな「机」や「椅子」に対しても、脳みそからアイデアをひねり出して製品作りに励む現場の苦しみ(?)に、共に苦しいのは自分だけではないという共感が得られて変に嬉しかったりもします。
新規事業開発の道のりは険しく時々心が折れそうな気持ちになるのですが、この様な時のに同じ苦しみを感じている方たちとの会話はありがたく感じます。
環境問題対策✖️宗教の力
参加者との雑談の中で「ネイチャーポジティブな世界観が実現できる様な人々の意識改革に必要なものは?」を聞いたところ「宗教を絡める」という話が出ました。確かに宗教は人の言動を根本から変える力がある気がします。流石に事業として宗教を絡めるのは難しそうですが、宗教を深掘りすることで何かヒントは得られるかもしれないですね。
宗教の持つ「強烈なビジョンを見せる」力と「強い信頼」の力によって洗礼を受けた信者は、最終的に神に導いてもらう為に一生懸命になるといった感じでしょうか。
なんとなく新事業開発にも通じそうな気がしますね。信頼出来そうなイメージの人が強いビジョンで想いを伝えるとなんとなく頑張れ!と応援したくなる様な感じ。
新興宗教の成り立ちとかを研究したら面白いかもですが、とりあえず私は構造が少し似てそうな「推し活」を先に深堀してみようかなと思います。
常滑の夜は怖い
夜の常滑はほんと真っ暗で怖いです。
そんな真っ暗なところで光る「とこにゃん」がまた怖い(笑)
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