2023.07.05

何の気なしにYouTubeのアプリを開き、ホーム画面でおすすめされる動画のサムネイルとタイトルを見ながら、下へ下へと画面をスクロールする。何十、何百もの動画がそこには並んでいたけれど、興味を惹かれるものがひとつもなくて、結局何も見ずにアプリを閉じた。

生産も創造もなく浪費されていく数分間。そのような時間が最近増えつつあるなとふと思い、何となくの焦燥感に駆られる。と同時に、その焦燥感こそが逆に悪なのではないかとも思い至る。

なにも生産せずとも、創造せずとも良いじゃないか。別に。何を焦る必要があるのだろう、と。どこか、自分自身が100%フル稼働して人生を充実させなければ、というような感覚がずっとあるけれど、そこには資本主義と情報化社会がもたらした都市的な病理性を感じる。

成長とか、勉強とか、スキルアップすることが礼賛される周りの雰囲気にも、段々と疲れてきた。ただ自分が自分でいられる、ささやかな日常だけがあれば良かったはずなのに。

小説を読み、ゲームをやる時間が日常の癒しになっている。それは単なる情報のインプットではなく、体験に近いものだからだと思う。物語は、長ければ長いほどいい。とにかく浸っていたいから。終わりが見えないほど長い物語を、今は強く求めている。

人生は偶然もたらされた旅のようなもので、こちらの意志とは関係なく気づいた時にはもう出発してしまっていたのだから、諦めて腹をくくって、色んな場所をふらふらと彷徨いながら、自分として存在できる場所を見つけるしかないのかもしれない。そんなことを思う。


そういえば、先月行った家主のライブが良かった。

ああいう場所は自分にとってすごく貴重だ。また行きたいな。



読んでくださり、ありがとうございました。 今後より充実したものを目指していきます。