フィルムカメラの種類 自分に合ったカメラとは
僕はフィルムで写真を撮ること自体も好きですが、同じくらい、カメラ自体も好きです。
バネや歯車の力で動く機械式のカメラが特に好きで、初めて手にした機械式の一眼レフを動かしたとき、指先に微かに感じる緻密な部品の動きに涙が出るほど感動したのを覚えています。
それから、いろいろなタイプのカメラを触りたくなって買い集めて使い比べたのですが、現在では当時買い集めたもののうち一眼レフを残して他はすべて手放してしまいました。
手放す前に記念に撮ったカメラたちの画像がでてきたので、それぞれどんな特徴のカメラなのかという紹介と、なぜ僕が最終的に一眼レフを選んだのか、というお話をします。
フィルムカメラの種類
フィルムカメラにはたくさんの種類があって、製造国も製造年代も、機能や形も様々なものが存在します。
ある程度、いくつかの特徴別に分けて捉えれば、基本的な使い方はそう大きく変わることはありません。カメラの基本はフィルムを入れて絞りとシャッタースピードを決めてピントを合わせてシャッターを切る、これができればカメラは使えます。
たとえ売っているお店の人も詳細がわからないカメラであったとしても(これはよくあることです)カメラでありさえすれば、そしてちゃんと動くものであれば、写真を撮ることができます。
分類の仕方にはいろいろあってすべてのカメラをカテゴライズしていくのは難しいのですが、特に撮影スタイルに影響が出てくる特長に、ピントの合わせ方の違いがあると思います。
ピントの合わせ方の違いによって撮影スピードが変わったり、カメラの持ち運び方が変わったり、結果的にそれらが撮影する対象物や作品に影響してくるようになります。
使ってみて、合わなかったカメラ
買って使ってみたけどどうもしっくりこなかった、というのは残念ながらあり得ることだと思います。
見た目は最高に好き。ストラップをつけていつも首から下げたい。けど、いざ撮るとなるとこのカメラじゃないような。
これから紹介するのは、過去に僕が使って、しっくりこなかったカメラ達です。はじめに断っておきますが、あくまで僕の撮り方との相性が悪かっただけで、カメラ自体はどれも間違いのない素晴らしいカメラだということをお伝えしておきます。
ハーフサイズの自動露出カメラ。OLYMPUS PEN EE3
通常の35mmネガの1コマを半分にして撮影できる枚数を倍にしたカメラで、ピントは固定、露出はカメラが勝手に制御してくれます。ユーザーはフィルムを巻き上げて、シャッターボタンを押すだけ。写ルンですと同じ使い方で使えます。
僕はサブカメラとしてこれを使っていたのですが、シャッターを押す以外にすることがないので写真に撮影意図を反映させにくく、撮っていて手応えがないので次第に使わなくなっていきました。あと、撮影枚数が倍になるのは一見経済的に感じますが、なかなかフィルムが終わらないので惰性で撮ることが増えて結局勿体ないことになりました。
逆に、日々の日記代わりに一枚、なんて使い方をするには手間もかからないしたくさん撮れるし、もってこいのカメラだと思います。写ルンですをつかうならレンズの差でこちらを選びます。
目測ゾーンフォーカス式のカメラ。OLYMPUS TRIP35
ルックスが好きで買ったカメラです。この時代のオリンパスのこれ系(普及機コンパクトカメラ全般)のカメラはデザインがいいと思います。
撮影対象までの距離に応じて近景、中景、遠景でピント位置を手動でセットします。露出はカメラが制御してくれます。
PEN EE3がフルサイズになってピントがちょっといじれるようになった、という感じのカメラ。距離のセットを忘れがちでピンボケ写真を多発させたため苦手意識があります。また、厳密なピントを合わせるわけではなく、あくまでだいたいの位置で合わせるため、一眼レフを使っているとピントの甘さが気になるようになり使わなくなりました。
コンパクトさ、軽さは最近のミラーレス並かそれ以上なので、携帯性は抜群にいいです。あと見た目は手放した今でも大好きです。
レンジファインダーのコンパクトカメラ。OLYMPUS 35 SP
オリンパスのこれ系のカメラの中では高級機にあたるモデルだと思います。ボタン電池を入れれば自動で露出を合わせてくれるし、マニュアルで絞りとシャッタースピードを設定することもできます。
コンパクトカメラという扱い(のはず)の割に大柄ですが、この時期の高級機は皆こんな感じでした。一眼レフとそうかわらないサイズ感。レンズが交換できないレンジファインダー機、という意味を含んでコンパクトカメラという事だと思います。
レンジファインダー式なのでピント合わせは正確にできるようになりました。しかし、やはりこのサイズなら一眼レフでもそう変わらないのでは…という気持ちがどうしてもあり。
一眼レフとレンジファインダーの大きな違いは、ファインダーを覗いて見ええるものがそのまま撮れる画かどうか、というところだと思います。見たままに撮れる一眼レフの方が、最終的なプリントの状態までイメージしやすかったので、僕は最終的に一眼レフを選ぶことになりました。ピント合わせの精度に関してはレンジファインダーの方が上、という説もあります。
この手のコンパクトカメラのレンズの焦点距離は40mm前後のものが多く、個人的に一番撮り方がわからない焦点距離なので、コンパクトカメラ自体がそんなに向いていないようです。コンパクトなレンズ設計で明るく、多少のピントの誤差でも許容できるレンズがこのあたりの焦点距離なんだろうなあとは思うのですが。
蛇腹の中判カメラ。MAMIYA SIX
僕がはじめて手にした中判カメラです。中判の画質の良さは思っていた以上に凄くて、それはもう衝撃的でした。
このカメラはzuikoレンズが付いていますが、ボケが溶けるように美しくてとても好きでした。ほかにsekor付きの物やシャッターユニットの違うものなど、結構マイナーチェンジのバリエーションが多い機種です。この画像では接写用のクローズアップレンズをつけています。
このカメラはかなり好きで、僕がMAMIYAを好きになったきっかけでもあるカメラでした。手放したのは蛇腹が劣化して光線漏れをするようになったことと、レンズにくもりがでていたこと(zuikoレンズは特に曇っている個体が多いようです)で気持ちよく使えなくなったためです。あと、これは6x6フォーマットのカメラなのですが、正方形のフォーマットが思いのほか難しかったのも手放す要因になりました。でも、いまでも中古で蛇腹の状態がいいものを見つけると買いなおしたくなる気持ちになります。
重さはそれなりにありますが畳むとぺちゃんこになるので携帯性は良いです。露出計はついていないので勘で露出を決めるか単体露出計、アプリなどを使って露出を決める必要があります。
ピント合わせはレンジファインダー式ですが、MAMIYA SIXだけの独自の機構によって抜群にピント操作がしやすいので、蛇腹の中判カメラで迷っているならこれをおすすめします。
嵩張る荷物は持てない、でも画質は妥協したくないというときに、荷物の中にひとつ忍ばせておくと幸せになれるカメラかもしれません。首から下げるお散歩カメラというよりは、いざというときにきちんと仕事をしてくれるカメラだと思います。
蛇腹の中判カメラ。 MINOLTA SEMI MINOLTA P
MAMIYA SIXとの違いは、こちらは6x4.5判のフォーマットであることと、ピント合わせが目測式なこと。廉価版機種のためシャッター速度があまり選べないこと。
とにかく小さく軽い中判カメラが欲しくて購入したものの、目測式は合いませんでした。当初は頑張って「1m…2m…だいたい3mくらいか」と勘で距離を測って使っていましたが、距離指標がfeet表記だったため変換計算するのにストレスを感じて使わなくなりました。
徹底的にコストダウンをはかって作られているので、シャッターの感触があまりにも頼りなく、ちゃんと動いているのかばかり気になってしまいます。
アウターのポケットに入ってしまうほどコンパクトで軽いカメラなので、じっくり時間をかけて一枚を撮る、ゆったりとした撮影スタイルに向いていると思います。35mmの蛇腹カメラよりも軽いです。
二眼レフ。RICOH RICOHFLEX NEW DIA
上のレンズでピントを合わせて下のレンズで撮影する、用途の違う2つのレンズが付いているのが二眼レフのおおきな特徴です。
ピントグラスを覗いて撮る二眼レフ独特の撮影スタイルは、その撮影中の佇まいが絵になるとか、ポートレートで使うとモデルと目が合わず緊張させないとか、色々言われているようです。
僕も、撮っていて一番わくわくするのは二眼レフだと思います。これは本当に、二眼レフを使ったことがある人にしかわからないのですが、他のカメラとは違う心持ちになります。
撮影スタイル自体は大変気に入っていたのですが、全金属ボディ故の重さとサイズ感が、ハードに自転車を乗り回したり山を歩く僕の旅のスタイルには合いませんでした。
旅は旅でも、ドライブやリゾートなどゆったりとした旅行にはとても相性がいいと思います。
RICOHFLEX NEW DIAはシーソー式と呼ばれる独自のピント合わせの機構により、とても使い勝手が良いカメラになっています。また二眼レフを買うとしたら、もう一度このシーソー式がいいなあ。使いやすいです。
現在使っているカメラ
このように、いろんなタイプのカメラを使って比べた中で、やはりこれが一番しっくりくるなと感じて最終的に手もとに残ったのが一眼レフでした。
現在の愛機、機械式の一眼レフ。KONICA AUTOREFLEX T3
露出はマニュアル、ファインダーで見たものがそのまま写るカメラを使うのが、印画紙にプリントした状態までイメージして撮影しやすい。というのが一眼レフを選んだ一番の理由でした。
それとは別の理由で、買い集めたのは学生の頃でしたが、社会人になって撮影や暗室作業に割ける時間に限りがある中で、いろいろなタイプのカメラをゆったりと使い分けるだけの時間の余裕がなくなってしまったという理由もあります。
撮影して、現像して、プリントする。この流れに無駄なく集中するために、自分の中で一番実用的だと感じたカメラのみを使うことを選びました。
使わなくなってしまったカメラは、カメラの修理や整備をして大切に販売してくれる信頼できる人に引き取っていただきました。
時間の余裕があれば、以前のように二眼レフなども使いたいなあと思っています。
ちなみに、画質や使うフィルムの種類、撮影スタイルに応じて他にも中判の一眼レフと、大判カメラを使い分けています。
自分の撮影スタイルに合ったカメラを探すのはなかなか大変ですが、それが面白くもあります。
是非、自分だけの一台を探して素敵な写真ライフを過ごしてほしいと思います。
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