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外国株式オプションの損益通算と損失繰越について(サクソバンク証券の場合)

日経225先物OP取引については、確定申告時に、雑所得の損益通算、損失繰越が下記により認められております。

ただ、サクソバンク証券が提供する外国株式オプション取引については、日経先物OP取引と同様に損益通算、損失繰越が可能なのか、ネット上の情報を調べても意見が分かれておりました。

今回、税務署で相談に乗っていただきましたので、その回答をご紹介したいと思います。ただ、今回の記事は、税務署の職員の方の意見を私が理解した範囲でお伝えしているので、正確ではない可能性がございますので、確定申告の際は税務署に相談を行ってください。

外国株式オプション取引の概要(サクソバンク証券の場合)

まず、サクソバンク証券は親会社がデンマークのコペンハーゲンに本社をもつ外資系企業ではありますが、日本の金融庁の登録を受けた日本の証券会社という位置づけです。海外口座でトレードを実施するIB証券の外国株式オプションとは、扱いが異なることを理解願います。

まず、外国株式オプションの申告区分ですが、以下のようになります。

①オプション取引によるオプションプレミアムの利益:雑所得
②現物株売買による利益:譲渡所得
③現物株の配当による利益:配当所得

譲渡所得の損益通算と損失繰越

上記②譲渡所得について確認してみたところ、他の日系証券会社の株式の利益と損失通算はOKであり、損失繰越も可能と回答がありました。

また、特定口座、一般口座を問わず、損益通算、損失繰越は可能ということでした。

雑所得の損益通算と損失繰越

問題は、①雑所得が、日経225先物OPのと同様に損益通算、損失繰越が可能か?という点についてですが、これについても可能との回答がありました。

ただ、この意見について、私が気になっていたのは、先ほどのリンク先のNo.1522には「先物取引に係る…」という言葉があることです。

先物取引と限定されると、日本だと大阪証券取引所に上場されている日経225先物、TOPIX先物等の先物商品として上場されているものだけが適用されないのではないか?と考えてました。

この話をすると、税務署の職員の方から「OP取引って具体的にどんな取引ですか?」という質問があり、ここから、私のOP講座が開始となりますw

一通り説明を終えると、ちょっと確認しますのでお待ちくださいということで、約1時間くらい法律の条文を確認いただき下記回答をいただきましたw

No.1522 先物取引に係る雑所得等の課税の特例

まず、こちらの特例の中に、「適用対象となる先物取引」についての記載があります。この「適用対象となる先物取引」に外国株式オプションが適用すると判断できれば、日経225OP取引と同様の扱いで確定申告ができることになります。

特例の中に下記文章がありました。これがもっとも外国株式オプション取引に近いと思われます。

(2)金融商品先物取引等の決済
   金融商品先物取引等とは、次に該当する取引をいいます。
   1 省略
   2 省略
   3 平成19年9月30日以後に行う、金融商品取引法第2条第21項第1号
      から第3号までに定められている取引

No.1522 先物取引に係る雑所得等の課税の特例

外国株式オプション取引は、金融商品先物に近い印象があります。3によると、「金融商品取引法第2条第21項第1号から第3号までに定められている取引」と記載がありますので、これに外国株式オプションが該当すれば、問題なさそうです。

こちらが「金融商品取引法第2条第21項第1号から第3号」の文章となります。

21 この法律において「市場デリバティブ取引」とは、金融商品市場において、金融商品市場を開設する者の定める基準及び方法に従い行う次に掲げる取引をいう。
一 売買の当事者が将来の一定の時期において金融商品及びその対価の授受を約する売買であつて、当該売買の目的となつている金融商品の転売又は買戻しをしたときは差金の授受によつて決済することができる取引
二 省略
三 省略

「金融商品取引法第2条第21項第1号から第3号」

これを読むと、「ある時期までに金融商品の授受を約する売買」というのは、確かに外国株式オプション取引も該当しそうです。

また、「金融商品の転売又は買戻しをしたときは差金の授受によつて決済することができる取引」というのは、オプションプレミアムの決済も該当しそうです。

よって、外国株式オプション取引は、「金融商品取引法第2条第21項第1号から第3号」該当する取引であるので、「No.1522 先物取引に係る雑所得等の課税の特例」が適用可能。つまり、日経225OP取引と同様に扱えるとの説明を受けました。

最後に

今回は、税務署の職員の方に、とても親切に対応をいただいて感謝しております。最初は若い20代くらいのお兄さんが対応してくれていたのですが、金融商品の知識にあまり明るくなかったので、先輩社員も登場となり、法律の条文からすべて調べて回答いただきました。本当にありがたいと思いました。

まあ、損失繰越とかしないトレードを心掛けたいものですw

ありがとうございました!