深夜の買い物、陽キャ、線香花火と駐車場
不登校になってからというもの、自炊ができなくなった。昼夜逆転もしているのでQOLがズタボロだ。深夜に近くのバカ安いスーパーで買うジャンクフードやお菓子が主食になっている。学校も行かずに親の金で食っちゃ寝、という罪悪感の味しかしない。
ある深夜、いつものようにスーパーに買い物に行った。駐輪していると男女4人組が先に店内に入るのが見えた。彼らに怯えながら自分も後に続いた。
人気の少ない店内、その広い空間には品出しする何人かの店員と、僕と彼らだけだった。
いつものルートを彼らが練り歩くので、1列ずれて棚で身を隠すようにした。
イヤホンで彼らの談笑をシャットアウトし、なるべく彼らが視界に入らないようにした。心の中で誰かに言い訳しながら歩いた。
途中、シャッフル再生で森山直太朗の「生きてることが辛いなら」が流れた。本当に生きた心地がしなかった。
しかし奇しくも、会計のタイミングが彼らと被った。
彼らのカートには線香花火の詰め合わせのみが入っていた。かたや自分のカートには、お菓子と弁当とジュースである。
別に彼らは自分のことなど眼中にない。だがその線香花火は僕を突き刺してくる。
ひとりぼっちの僕と男女4人の彼ら
怯えながら歩く僕と楽しげに歩く彼ら
ジャンクフードを買う僕と線香花火を買う彼ら
名状し難い敗北感と無力感、嫌悪感と罪悪感で頭が真っ白になった。
会計が済み、彼らの少し後に店を出た。
買い物袋をカゴに入れ、駐車場を歩く彼らの後ろ姿をぼーっと眺めた。
50メートルほどの駐車場を横並びで歩く彼らを眺める時間は、無限のようで、一瞬のようで、僕は放心状態だった。
ふとすると彼らは暗闇に消えていた。
ペダルを踏もうとしたがつまずいてしまった。
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