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ドリアンのシンガク・ノート(キリスト教神学)

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聖書や教会に関するちょっとリクツっぽい話。見えない神がここで見えるはずなのに、違って見えているかも、というところが気がかり。
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#パウロ

シンガク・ノート メモ

めもめも 旧約聖書 新約聖書 その他

異邦人伝道の革命的なスタート

使徒行伝13:4-12 伝統的な考えからしたら絶対に受け入れられないことを、神が始めた。そしたら、どうする?それで命を狙われることになったら、どうする? パウロが、それを経験します。もともと、イエス・キリストの弟子たちを投獄したり処刑したり、迫害の先頭を切っていたパウロでした。今度は迫害される立場になります。 それが、「異邦人伝道」のせいでした。その最初の出来事が、実際、革命的な事だったのです。 バルナバとパウロ(ヘブル名がサウロ)が派遣されて出かけて行った先のキプロ

ローマ人への手紙の目的 ノート

「わたしたちはいかにして生きるか――手紙の受取り手と手紙の目的――」 宛先ローマにいる、神に愛され、召された聖徒一同(ローマ1:7)。 16章をみると、プリスカとアクラの「家の教会」が記されています(16:5)。皇帝クラウデオの命令でユダヤ人がローマから追放されたとき、彼らは一時期コリントに来ていました(AD50) 。その彼らが、クラウデオ帝の死後(AD54)、ローマにもどったわけです。 AD57年に書かれたと考えられるこの手紙は、そうした家の教会を含んだ「聖徒一同」へ

ローマ人へのパウロの手紙 ノート

Epistle of Paul to Romans 「わたしたちはいかにして生きるか」 ~神の義は、その福音の中に啓示され、信仰に始まり信仰に至らせる。これは、「信仰による義人は生きる」と書いてあるとおりである。(1:17)~ 福音書と使徒行伝を通して、福音の事実、神の働きが全民族のためであったという歴史を明らかにしたあと、次に新約聖書が提示しているのは、パウロがローマの聖徒たちに書き送った「義人は信仰によって生きる」をテーマにした手紙。キリストをまだ知らない人にとっては

II.使徒パウロが伝えたキリストの福音 (2)キリストの啓示による福音 ガラテヤ1:11-24

パウロの言うことは信用できない、と、キリストの使徒性すらも疑い始めている人たちに、どのようにパウロの伝えた本来の福音への信頼性を回復できるのでしょうか。そもそも、パウロが伝えた福音とは信じ得るものだったのでしょうか。 聖書の神的起原を認めないこの世に向かってキリストの証言をする時、パウロはしばしば自分の経験を語ります。普通であれば決してありえない変貌を遂げたパウロは、キリストの生き証人なのです。 生ける神がどのように人間に接してくださるのか。ガラテヤの人々は自分たちに人格

ガラテヤ人への手紙 構成

律法の下にある人々に対して、約束の御霊を受け、その導きに従うことを目指すように、律法によって義とされようとすることの間違いをただし、個人的・人格的に神に結び付く唯一の信仰を提示します。 I. キリストの福音による恵みと平安のため 1:1-5 「ガラテヤの諸教会はパウロを通してキリストの犠牲の福音を知った」 「キリストは、わたしたちの父なる神のみ旨に従い、わたしたちを今の悪の世から救い出そうとして、ご自身をわたしたちの罪のためにささげられたのである。」(1:4) (1)

ガラテヤ人への手紙の著者・内容・宛先・目的

ガラテヤ人への手紙は、新約聖書にあるパウロの手紙の中で一番最初に書かれたものだと考えられます。パウロ自身の歴史、活動の実際が端々に現れる内容。推理小説を解き進めるように、パウロの履歴や、手紙の内容に迫ってみます。 推定されるパウロの初期の履歴◆推定誕生 紀元前後?(使徒22:3そこで彼は言葉をついで言った、「わたしはキリキヤのタルソで生れたユダヤ人であるが、この都で育てられ) ◆ユダヤ教指導者ガマリエルのもとで学び、訓練(使徒26:3ガマリエルのひざもとで先祖伝来の律法につ

ガラテヤ人への手紙

「キリストの形ができるまで」使徒パウロが書いた手紙が、新約聖書に13通(一説には14通)あります。その中で一番最初に書かれたものがこのガラテヤ人への手紙です。紀元49年頃と考えられます。「自由の憲章」と言われる内容で、私たちが宗教に縛られることなく自由に神に生きることを目的に書かれました。 キリスト教会の草創期、教会に神を敬う異邦人が大挙して流入し始めたところで、大事件が起きます。神の民であるイスラエルが握りしめていた神の約束を盾に、神の国に入るには神の契約のしるし割礼を受