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他者の言葉が怖い(後)

前回の記事に、ご丁寧なコメントをいただき本当にありがとうございました。
夫に相談したとき「あなたの記事をよく思わない人はもちろんいると思うが良いと思う人も必ずいるから」と言われました。
温かいコメントを読み、夫の言葉を目の当たりにした気持ちです。

この件にかんしては、もう何も書かない方がいいのかもしれませんが、ヨーグルとキョウからもらった言葉、そこから考えた私なりのnoteへの思いを書いておこうと思います。

ヨーグルと私には「書く」という共通点がありますがプロとアマチュアです。でも一度も彼はそういう態度を見せたことがない。私と彼はいつだって同じ「書く人」でした。

その彼が初めて「僕はプロとかプロじゃないとか、そういう線引きをするつもりはないけど、今から言うことはそんなふうに感じると思う。気を悪くしないでね」と前置きして話してくれました。

「僕は自分が書いたものは商品だと思っている」

商品は読まれないと話にならないし、読んでくれた方の意見は大事なものだ。悪名は無名に勝るという人もいるぐらいだから。ただ僕がそう受け止めることができるのは金銭が発生するからだろう。

でも、凛子はそうじゃない。

仕事とか商品じゃない。ましてやお金でもない。
凛子はただ好きで書いている。ただ楽しくて書き続けてきた。
この子は本当に書くのが好きなんだなと思った。

彼が読んでくれていたことを知りました。
何も言わなかったけど。
いいね、もくれなかったけど。

「やりきれないよな」

その声の響きに胸がぎゅっとなりました。
私が悲しいことが彼は悲しい。それが伝わったからです。
私が悲しんでることが彼が悲しいのなら、私は悲しんでばかりいられないです。
私も彼が悲しむのが嫌だからです。

キョウには「あなたには書き方のスタイルとして独善的なところがあるとは思う」と言われました。
そして意味のある面白いことを言おうとするとある種の乱暴な断定にならざるを得ないということ。これはフォロワーさんのおっしゃる「振り切って書く」に繋がると思うのですが、それは一概に悪いことでもないと思うというのが私と彼の共通の意見です。
そして(ここで書くのもなんですが)私はあなたの書くものが大好きです。

noteを始めたころのことを思い出しました。
当初、溢れかえる(?)不倫の記事にずいぶんと心を痛めました。
両親や元彼のことを思い出すからです。
彼らが不倫の記事を書くのは、私のような人を傷つけるためではないことはわかっています。それでもつらくてヨーグルに訴えました。

でも、彼の回答は「彼らは書いていい」でした。

「それを読んで私のように傷つく人がいる」と納得できないでいる私に「いるだろうね」と言いながら、それでも「彼らは書いていい」と言い切りました。
「あなたがあんなの書いたら非難されまくりなのに」と言っても、彼は考えを変えなかった。
そして、私に「どうして彼らは書くと思う?」と問うてきた。

わからなかった。
不倫の鉄則は秘密にすることなのに、何故、彼らは書くのか?想像でしかないので的外れなことを書くかもしれませんが……。

以前、お菓子の包装紙に百人一首の「玉の緒よ 絶えなば絶えね ながらへば 忍ぶることの弱りもぞする」という歌が書かれているのを見つけました。
内容は「秘めた恋を忍ぶ力が弱ってしまうから、いっそのこと、私の命よ、絶えてしまえ」というもの。

「気の毒よね。秘密にしておきたいのに百人一首に選ばれて、しかも何百年経っても忘れられるどころか知られ続けるんだよ。しかもお菓子の包装紙にまでなって。忍ぶどころかバレバレ」

そう言った私にヨーグルは「凛子はそう思うの?」と驚いた顔をしました。

「僕は、この人はむしろ知ってほしかったんだと思うけどね」

どうして彼らは書くと思う?
あの答えが、まさかお菓子の包装紙から導かれるとは思いもしませんでした。

知ってほしい。
秘めた恋心、誰にも言えない恋心。
せめて、ここでは明かさせてほしい。

noteがその「ここでは」になってもいいのかもしれないな、と今は思います。
また、不倫に傷つけられた人がその気持ちを綴ることもよいと思います。
書くことは自分を保つことでもあるから。
noteの面白いところは「いろんな人がいろんなことを書いているところ」だと思うから。

こう答えられるようになったのは、noteを始めて良かったなと思うことの一つです。

最後に。
キョウに面白いことを言われました。
noteを書き続けるか否か悩んでいることをキョウに相談したときのことです。

「私は攻撃的な言葉に弱いし、性格的に不特定多数の人に向けて何かを言うことに向いてないんでしょうね」

「攻撃的な発言に対する耐性が強い人ばかりが多くの人に言葉を届けるようになる、というのは端的に地獄じゃないか?」

キョウらしいな、と思いました。
そうね。いろんな人の声が届くというのはすごく大事なことだね。