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食材に「さん」つけますか?

私は大阪生まれの大阪育ちだ。
でも、特に男性の方から「京都の方だと思いました」と言われることが多い。男性が京都の女性にどんなイメージをもっているかは謎だけど、とにかく私は関西が骨の髄まで染み込んでいる人間だと思う。

対して、私の夫は東京生まれの東京育ちだ。
二人で子供時代の話、特に学校の話になると「東京の学校ってそうなの?」とか「大阪はそうなんだ?」と驚くことが多い。

例えば、東京の小学校はグラウンドが砂じゃないときいてびっくりした。
私の小学校時代は「ドッジボールで遊ぼう」となれば、最初にみんなでラインを足で描くというのがお決まりだったんですけどね。

「アスファルト(コンクリート?)だったら、どうやってドッジボールのラインを描いてたの?」
「最初から描かれている」

なるほど。
でもずらずらとみんなが列になって、靴先でザッザッザッとラインを描くのもすごく楽しかったんだけどな。いい思い出です。

結婚して関西にやってきた夫だが、いまだに言葉は標準語のままだ。
でも、なぜか娘に対しては関西弁が時々でる。

「パパはママにはあんなに優しいのに、なんで私にはそんな厳しいの?」と娘に言われた夫が間髪入れずに「なんでやねん」と言い返したときはびっくりした。
まさか夫の口から「なんでやねん」が飛び出てくるとは!
ちなみに私の娘はコテコテの関西弁だ。そして、夫は娘に甘々なパパだ。

数年前のこと。

「あなた。お芋さんがいっぱいあるから、夕食はコロッケにしていい?」

すると、夫が不思議そうな顔で「ねぇ、凛子さん。前々から聞きたかったんだけど」とたずねてきた。

「凛子さんは、どうして食材に『さん』をつけるの?」

ん?
別に不思議なことじゃないでしょ?つけてる人、いっぱいいるよね?

すると夫が「少なくとも、僕は凛子さんしか知らない」と言うではないですか。

ほんと?
みんな、食材に「さん」をつけないの?
少なくとも、私や私の母(大阪生まれの大阪育ち)は、よくつけます。

お芋さん、人参さん、お茄子さんにお豆さん。お揚げさん。
あっ、なぜか飴だけは「ちゃん」だわ。

「お弁当の歌」(これっくら~いの、おべんとばっこに~♪っていう歌)だってつけてるじゃないか。
ごぼうさん、しいたけさんって。

だから、全国みなさん、食材には「さん」づけしているものだとばかり思っていた。
さっそく、友人の博士(東京)に話してみた。

「かわいいな。『さん』なんてつけたら、かわいくなりすぎて料理しにくくならないか?」

ごめん、博士。意味がわからないわ。
というか、料理を全くしなさそうな博士にきいても仕方がない。
ここは料理好きそうな友人に聞いてみようと、北海道出身のママ友にきいてみた。

「そうなの。私もこっちにきて初めて知ったのよ。かわいいわよね~」

かわいいか?
博士といい彼女といい、一体何がかわいいのだろう?
「さん」づけに慣れ切ってる私には、どうにもその「かわいい」という感覚がわからないのだが、どうやら「さん」づけは関西特有のものらしい。

言葉って面白いなと思いつつ、今日も親しみをこめて私は食材に「さん」をつける。