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40代ミドル女の腱板断裂手術入院記①

40代になって初めて急に、本気で何かを記録しようとするワケ


 もっぱら読む専用としてしかnoteアカウントは使っていなかった40過ぎの女が、にわかに、今日から、思い立ったように、何かを書き始める。そのきっかけとなった肩の腱板断裂に、宿命的なものすら感じる。大袈裟でなく。なぜならば、もっと早くから書き始めるべきだったから。

 具体的な理由を述べるとすれば、30代40代のわたしの人生に起きた出来事の幾つかが、世の中の多くの女性の経験に共通するものだと確かめたいからだし、一方で否応なしに、そこには自分だけの独特な視点、思考、感情があるのかもしれず、やはりこれも確かめたいからだ。
 とはいえ何よりまずは、腱板断裂の回復手術と入院生活の話から記していきたい。

入院1日目(手術前日)


手術前夜の夕食メインはロースかつ

 
 手術の前日10:00から入院手続きをして、血液検査などをこなして、そうこうしているうちに正午になり初の食事が提供された。メニューは、白身魚(たぶん鱈)のソテー、ごぼうと人参のきんぴら、キュウリとキャベツの和え物、おかずはどれも想像を裏切らない薄味だったけれど、白米が150グラムも出てきて完食は難しかった。ふだん白米は一食に100グラムくらいしか食べないので、初日にして「これは苦労するかも…」という予感が謎にちらつく。デザートにシロップ漬けの黄桃、そして番茶。
 入院しているのだから食事に贅沢を言ってはいけない、という話では当然なく。ここ数カ月、利き腕のケガのせいで包丁を持つこともままならなくなり、家族どころか自分の食事の世話さえ満足にできなかったことを思うと、誰かにつくってもらい提供してもらえる(しかも下膳など後処理もしなくてよい)環境は、ありがたいという状況のほかの何でもなかった。
 荷ほどきをしつつ、理学療法士の先生に面会したり、早い時間に指示されてシャワーを浴びたりと(以降7日間も浴びられなくなるとは、この時はまだ知らなかった…!)、わりとせわしなく過ごしたらあっという間にまた夕食。メニューは、豚ロースカツ(すごく薄い)、野菜サラダ、わかめと玉ねぎの酢の物、お豆腐の味噌汁、番茶。手術内容が説明された書類や、入院生活の経過予測スケジュールなどに目を通して過ごすうちに緊張で少し落ち着かなくなっていたので、受験生のゲンを担ぐようなロースカツにほっこりした。
 手術前日の指示書が、看護師さんよりA4横の用紙で届く。手術は明日の9:30、今日は21:00以降絶食、明日の7:30までお水は飲めるとのこと。けれどもお肌の曲がり角をとうに曲がって最終上り坂をぜえぜえ言いながら走るミドルエイジ・ウーマンにとっては、「あ、それから」と思い出したように看護師さんが付け加えた口頭指示が一番ショッキングだった。「明日の朝は洗顔後、化粧水とか一切つけないでください。今夜のうちにたっぷり保湿しておいてね」。
 ……えええええええっっっ、そんな殺生な……。
 なんでも、呼吸器などを固定するテープを顔に貼る際に、お肌が潤いに満ちてトゥルントゥルンでは剝がれやすいとのこと。なるほど、納得。
 
 かくして、前夜これでもかというほどていねいにスキンケア・ステップを進め、友人から陣中見舞いにいただいた韓国の潤いマスクシートも投入したスペシャルケアを施して床についた翌朝、ちゃちゃちゃっと軽く流す程度に洗顔をとどめ、なにも添加せず、天然の油分を自ら分泌する力が40代のお肌にもあることを信じて、いざ、手術へと向かうことになる。
 これから始まる手術への恐怖と期待が入り混じるほかに、頭のどこかで「次に化粧水を塗れるのはいつになるのだろう…」と考えていたことは、緊張すると手汗びっしょりになってしまうわたしにとって、ナーバスな手術前の精神によい効果があったといえるかもしれない。
 次回は、手術室へ入るシーンから、全身麻酔から覚めて病室へ戻ってきたお話、その日の身体や心の状態、夜は眠れたのかというお話を…。


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