【すっぱいチェリーたち🍒】スピンオフ田中真人編#19
あんたも誰かの企画に乗っかって何か書くことってあるかい?
今回もこの企画に乗っかってみようかね。
企画ページ本体はこっち。
前回のはコレ。
圭子が真人に思いを告げる物語。
で俺の持ちキャラはこいつ。
CV:大塚明夫を想像しながら読むと腹がよじれると評判w
今回も息子の真人視点の物語だ。
真人はCV:梶裕貴で読んでみてくれよな。
記憶への旅
「真人は私のことを真正面から見てくれていたんだよ」
圭子と名乗った女性は俺のことを文字通りまっすぐ見つめている。
「私が学校にいけなくなった理由も、私がやさぐれていたことも、私が人を傷つけてきたことも、全部真正面から受け止めてくれていたんだよ」
情報量が多すぎていっぺんには理解出来なかった。
でも圭子さんが嘘をついていないことだけは分かった。
俺は圭子さんに恋をして、恋人になり、結婚を申し込んだんだろう。
なら話は簡単だ。
「俺と圭子との話を聞かせてくれないか?」
あえて呼び捨てにして女性の名を呼んだ。
すこし、圭子の表情が和らいだように見える。
それから、圭子は俺との出会いからのことを一つ一つ丁寧に、まるで宝物を扱うように話してくれた。
自分の仲間を何一つ関係がない俺が助けたこと。
その娘のことを労っていたこと。
俺が圭子を誘ってデートをしたこと。
バラを見て同じ気持ちだと確信したこと。
そして、俺たちが恋人になったこと。
一緒に行った海。
一緒に行った喫茶店。
一緒に巡った街。
そのすべてが圭子にとって、輝く宝石のような思い出だと言うこと。
にわかには信じられなかった。
俺にそんな行動力があるとは思わなかった。
でも、気持ちはわかる。
目の前にいる圭子に俺が恋をすることは何一つ疑いようがなかった。
こんなに俺のことを思ってくれるヒト。
こんなに俺との思い出を大事にしてくれるヒト。
恋に落ちないわけがない。
なにより、最初の仲間を助けるために単身で見ず知らずの男たちに割って入るなんて勇気を持ったヒト。
たぶん、その時の俺はその瞬間に恋に落ちていたんだろう。
そして、今も。
「なあ、圭子」
「……なに?」
「明日もう一度、会ってくれないか?」
父さん
「分かった。また明日。お父さん呼んでくるね」
圭子はそう言って病室を出ていった。
しばらくして、父さんが病室に入ってくる。
「あの娘さんは大切にしないとダメだぞ」
開口一番、父さんはそう言ってきた。
「俺もそう思う」
俺は答えた。
「お前に渡した金……そうか、あの事も忘れてるか。
もう彼女と話したのかもしれないが、もう一度キッチリ話しとけよな」
お金?
なんだっけ?
ふっとどこかのスナックの光景が頭に浮かぶ。
そこから男たちに向かっていく圭子の姿。
海辺の公園。
喫茶店の振り子時計。
断片的な光景が次々と浮かんでは消えていく。
圭子の話の通りだ。
俺の中にはまだ圭子との思い出が残っている。
「明日は午前中に脳神経外科の先生の診断を受けるそうだ。
MRでなんにも発見されなかったんだから、たぶん診断は変わらん。
一時的な記憶の混乱ってやつだ。
ただ、記憶が戻ろうと、戻るまいと、お前のやるべきことは変わらん」
父さんは病室の窓の外を向きながら話した。
「あの娘を大切にしろ」
父さんが同じことを2度言うことはほとんど無い。
そして、父さんがヒトを褒めた時、そのヒトはもれなく素晴らしい人格者だった。
「俺も、さっきそう思ったところだよ」
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参考にした話
真人は過去を取り戻すのか。
それとも未来を手に入れるのか。
そこに圭子はいるのか。
以下待て次号!