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彼方のアストラという組織論

あんたもマンガ好きかい?

アラフィフになりながらも、俺は未だにガッチリマンガを読んでいる。
出版業界の構造的な課題もあって、書店には星の数ほどのマンガが溢れかえっている。

俺たちはその数多あるマンガの中から俺達の心を揺り動かすマンガをチョイスしないといけない。
いや、いけないってわけじゃないんだが、できるだけ俺たちの心を動かしていきたいじゃんか?

今回は、最近読んだマンガの中から、俺の心を動かしてくれた作品について振り返ってみる回だ。

まあ、ちょいとオイラの心の動きに付き合ってくれよな。

物語の展開が完全にコントロールされているマンガ

最近読んだマンガの中で、俺の40数年のマンガ人生の中で最高に計画通りにストーリー展開がなされているマンガがあった。

連載開始時点で完結までのストーリーが全部作られていないと、こうはキレイに展開出来ないと思わせるほどのキレイさ。
その美しいまでの伏線回収は感動すら与えるほどだ。

そのマンガがこれね。

まあ、2019年マンガ大賞だから、もしかあんたも読んだことあるかもしれないね。

もともと俺は宇宙少年から宇宙オッサンに進化を遂げたヒトなので、この手のSFマンガは大好物なわけだが、その宇宙テイストを抜いても、この作品のストーリー展開は神がかっている。

読み返すたびに、第一話から仕込まれまくっている伏線がものすごく計画的に回収されていく。

反重力シューズに込められた伏線

例えば、第一話から出てくるアイテムに「反重力シューズ」ってアイテムがある。

ヒトのジャンプ力をサポートするシューズらしいんだが、今読み返してみるとそのシューズ、演出の仕方いかんでは、ご都合主義に見えかねないアイテムなんだよな。
だって、普通の生活の中でジャンプ力をサポートする靴なんて、ニーズがなさそうじゃんか?

ところが、この反重力シューズが違和感なく物語の中に溶け込んでいる。

主人公のカナタが、ひったくりを追いかけて捕まえるシーンでそのシューズが活躍するんだが、このシューズ、物語の終盤でもう一回活躍するシーンが出てくる。

読み返してみて、この反重力シューズ一つとっても、作品全体が最初から最後まで作り込まれてから連載が始まったとしか思えないほどの用意周到さなんだよな

組織論としての物語

この周到なストーリー展開に目が行きがちだけれども、結構組織論としても的を射たセリフが目につく作品でもあるんだよね。

「暗闇なら手を繋ぐしかねえ」

だとか

「わかんねえ事いくら考えたってわかんねえんだ」

とか、結構なセリフが散りばめられている。

実際、俺たちオッサンが日々の仕事をこなしていくにあたっても、これらの言葉は血肉をもって感じられる言葉なんだよな。

俺たちシステムエンジニアはプロジェクトという単位で仕事をこなしていくんだけれど、プロジェクトの最初は必ず不安定な状況から始まる。

そりゃそうだ。すべての計画が明確になった上で始まるプロジェクトなんてものはないんだからな。

そんなときほど、「わかんない事いくら考えたってわかんねえ」し「暗闇なら手を繋ぐしかねえ」って言う言葉はものすごく実感を伴って感じられるセリフなんだよね。

物語の中でそれこそ見るものすべてが見たことのないもので、数々のピンチが怒涛のごとくに襲い来るなかで、主人公のカナタを始めとしたメンバーが徐々に団結して立ち向かっていく。

この姿は、俺たちの日々の生活に少なからず力を与えてくれると思えたんだよね。

でも、こう言うセリフって、作者の思いの押し付けって取られてしまいがちなんだよな。
そう捉えられた瞬間に作品としての魅力が十分に発揮できないことも多々あると思う。

その点、この彼方のアストラという作品は安心だ。
びっくりするくらいのライトな感覚で読んでいける。

それも物語の随所に「笑い」が込められているからなんだと思うんだよね。

笑いってヒトに何かを伝えるためのツールでもあるんだなぁ。

なあ、あんたはどうだい?

あんたが好きなマンガ。俺にも教えてくれよ。

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