ハートの強さの話し ③

お巡りさんの応援は数分で来た。
最初に来た2人を合わせて6人くらいになった。
お巡りさんが、応援に来た仲間に
「寝たフリしている可能性がある」と伝えていて、
そーゆー可能性が薄い意見も取り入れるんだなと思った。

取り敢えずお巡りさん6人でゴリラを囲って、
揺りまくっていた。
生肉を囲んでいるカラスみたいだ。
カラスに突かれまくるゴリラはまだ寝ている。
が、
ある程度突いたトコで
ゴリラが突然大声を上げて立ち上がった。
「てめぇら！さっきから大人しくしてりゃ、好き放題やりやがって！コラァ！！話しも全部聞いてたからな？コラァ！」
「！！？？」
いきなりの出来事で目が点になった。
ゴリラはマジで寝たフリをしていたのだ。

自分達は笑いを通り越して、ドン引きした。
「コイツマジかよ・・・」
ゴリラはお巡りに飛びかかって、大声で暴れている。
が、6対1で勝てる訳もない。仮に1対1でお巡りさんに勝ったとしても、そのまま即逮捕されるし、
いらん罪状まで付いてくる。
結果お巡りさんに武力で喧嘩を売るのはどの道
悪手でしかない。

秒で取り押さえられるゴリラ
凄い体制で取り押さえられても、
「俺は〜組の〜が知り合いで、てめぇら警察なんて〜」
という感じで、あーじゃねー、こーじゃねー叫んでる。
お巡りさんも、最初に来たヤツは軽くビビってたのに、応援がゴリラを取り押さえると
「こーやって色々言ってくるヤツは全然大した事ないんですよ」と超素人的な表情でヘラヘラしている。
やっぱり、お巡りも本職周りの人も俺は好きじゃないと再確認できた。

とりあえず、自分、友人2人と店主の4人は展開の速さと、まさかの出来事、ベロベロだったのもあり
対応できずボケーっと眺めてた。

結局動けないように座る体制で取り押さえられたゴリラ。
ウホウホ吠えていたが、突然マリオネットの糸がプツッと切れたように倒れこんだ。
お巡りも、「!!??」になって
「大丈夫ですかぁ！？？」と叩いていくが、
一切反応がないし、完全に脱力しており、目も瞑ってる。
もう何が何だか分からずに、軽くパニクってる自分らに
お巡りの「すいません、また寝ちゃいました。。。」という
報告がツボに入り全員吐くくらい笑った。

お巡りに
「もう勘弁して下さい！」と笑い過ぎてボロボロ涙を流しながら話している内に
お巡りの1人が拘束具付きのタンカを持ってきた。

暴れると思いきや、一切の抵抗なく
「寝たまま」で拘束され運ばれるゴリラ。
そのまま、パトカーに乗せられて連行されて、
騒動は幕を閉じた。

結局このあり得ない狂った騒動から
人に迷惑しか掛けてないが、
ゴリラのハートの強さを見た。
多分言い方を変えると
「唯のキチ●イ」
なんだろうが、
分かりやすく、やり抜く強さをここまで体現して
ギャグセンも高いゴリラは
そうそうお目にかかれない。

日常では、一切絡みたくない、何なら一生会いたくないゴリラだったが、
あの日の、ハートの強さは認めざるをえない。

皆さんも、やり抜くハートの強さを忘れずに！

ハートの強さの話し fin